借金を返すと儲かるのか?: 会計の公式
- 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版 (2009年6月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532314613
感想・レビュー・書評
-
会計知識について書かれている本はゴマンとありますが、本書は、日頃自社の会計にほとんど携わらない人、たとえば営業マンなどのために書かれています。
損益計算書と貸借対照表、キャッシュフロー計算書は会計の三本柱ですが、それぞれを個別に眺めていても、会計を実務に生かすことはできません。
だからこの三本柱が一緒になったモデルからスタートしていて、全体像が見えやすくていい感じ。
会計に関わる事象が起きた(たとえば売上が上がった、借金を返したとか)場合、これをブロックに置き換えて、本書の会計モデルに積み上げていく。
そうすると、利益が増減したり、キャッシュが増減したりする。
重要なのはこの「変化」に注目することであると本書は言っています。
貸借対照表や損益計算書を見るのはその後でいいらしい。
すっきりまとめられているし、たいへんためになった。
けれど、欲を言えばもっと実例を挙げながら解説して欲しかったです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
この本はあたり。
-
当たり前の会計知識を簡潔に説明している本。とはいっても、「貸借対照表」という言葉すら知らなかった昔の私にとっては、とても役立つ本だった。さっそく3年前から、四半期ごとの自分の資産管理に活用している。
-
会計の数字を感覚的につかむのにとても良かった。
-
会計をシンプルに。
減価償却のくだりは分かりやすかった。
さらっと読めてまぁ悪くない。 -
決算書を動的に考える
-
わかりやすく、会計について解説。読みやすかった。
-
会計初心者にはお勧めしたい一冊。
自分には少し物足りなかったが、
基本のおさらいにはなったので良かった。 -
社会人5年目に、研究所から本社へ異動することになり、会社の決算書を読めないことは恥ずかしいことなのだということを認識して以来、診断士や簿記2級を独学したこともあります。
その後、キャッシュフロー計算書も作られることになり、多くの本を読みましたが、経理部や専門家向けに書かれているものが多く、経営者やマーケティング部にいる人向けに絞って書かれていて、分かりやすい概念で説明されいる本に初めて出会いました。
特に、この本で取り上げられている、一見すると仕分項目にみえる”会計ブロック:取引の分類をブロックの種類(資産、負債、資本、収益、費用)にとどめることで、勘定科目の概念を省き、損益への影響部分を可視化(p94)”という概念は、いままでの静的なものから動的に決算書を読み解く上で、分かりやすい概念です。
タイトルで述べられている、「借金を返すと儲かるのか:(答)利益は変わらないがキャッシュフローは良くなる(p118)」ことが、バランスシート上で確認できることが分かりました。
以下は気になったポイントです。
・自分の行動は、自社の決算書のどの箇所に影響を与えるのか、を理解するのが動的な決算書の本質である(p20)
・資産-(負債+資本)=利益、である、会計の世界には、資産・負債・資本・収益・費用、の5種類の要素で成り立っている(p61)
・借金を返済した場合、2つの会計ブロック(資産費用サイドに負債、負債資本収益サイドに資産)を積むと、ブロック全体の大きさは変わる(縮小)するが、利益は変わらない(p71)
・資産が増えた場合、利益は増加するか、変わらないのいずれか(p85)
・会計ブロックは、取引の分類をブロックの種類(資産、負債、資本、収益、費用)にとどめることで、勘定科目の概念を省き、損益への影響部分を可視化している(p94)
・貸倒引当金が資産側にマイナスであるのは、A=B+Cの”B”に相当する部分を移項して、A-B=B-B+C、としたため(p101)
・引当金は負債ブロックになり右側に位置するが、貸倒引当金は売掛金、貸付金等の資産項目に対して設定されるので、会計の移項が行われる、同様に「自己株式:資本を買い戻したことと同様なので」がある(p102)
・キャッシフロー計算書は重要だが、外部利害関係者にとってのもの、キャッシュフローを改善するツールとしてキャッシュフロー計算書を使う必要はない(p111)
・資産ブロックを使用期間に対応して費用ブロックに振り替える作業として、このときに費用:減価償却費(1年分を振替)を使う(p128)
・キャッシュフローの源泉はあくまでも利益、まずは利益の極大化を目指しながら、そのなかでキャッシュフローに影響を与える項目を改善していくのが現実的アプローチ(p137)
・会計書類で重要な3ポイントは、1)現金の変化、2)利益(=資産-(負債+資本))の変化、3)(資本+利益)の変化を理解すること(p182)