- Amazon.co.jp ・本 (490ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532356422
感想・レビュー・書評
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■"法人"という法律上ヒトとして扱われるモノであり、ヒトである存在について、大げさに言えば人間は自分が生み出したこの存在をどう理解していいのか、その誕生の時から戸惑っている。
会社はヒトであるといっても、株主に所有されているから、モノという性質を完全には失っていないという点が見て取れる。会社という法人は、モノとしてもヒトとしてもまだ不純なのだ。
だが、会社という制度の中には、会社という法人を純粋にモノにする仕組みと、会社という法人を純粋ヒトにする仕組が、ともに仕込まれている。
■「法人名目説」(人間の集まりに対して与えられた単なる名前であるという説)と「法人実在説」(法人というのは、それ自体が社会的な実態であり、社会の中でそれ自体が意思と目的とを持ってひとりの人間のように行動しているという説)。
■1980年代以降、世界銀行やIMFの強力な指導のもとに全世界的に資本移動が自由化され、グローバル化が加速されていった。
金融革命とは、産業革命からポスト産業資本主義への構造変化のひとつの表れにすぎない。金融とは、字義通りにいえば資金を融通することだが、広義では時間やリスクや空間の「差異」を交換することになる。
もはや機械正工場が利潤の源泉でなくなり、「差異が利潤を生みだす」という利潤創出の基本原理を意識的に実践しなければならなくなった時代において、どのような形の「差異」でもよいから見つけ出し、その「差異」自体をきめ細かく商品化していくこと――それが金融革命なのだ。
■おカネが支配力を失ってくポスト産業資本主義の時代には、会社システムの中軸的な形態は、法人名目説=会社主権的会社から法人実在説=組織自律的会社へと変化していく傾向がある。
日本型の会社システムとは、産業資本主義、特に後期産業資本主義(19世紀後半から20世紀にかけての重化学工業開口の産業資本主義)に適応した会社システムであった。
戦後日本の人本主義的、労働者管理企業的、共同体的な会社システムは、この後期産業資本主義にあまりにも適応した会社システムを作り上げてしまっていた。
ポスト産業資本主義という新たな時代と親和性をもっているという側面では"会社は変わらなくてもよい"が、従業員や経営者が自ら率先して再生を生み出しつづ得ていくことの出来るような人的組織をいかに育成し発展させるか、という側面では"会社は変わらなくてはいけない"。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
アダム・スミス、ケインズ、マルクスについての基本的な学説を押さえておくことが最低限必要か。
著者の学者としての人生を振り返りつつ、経済学の深化について、追想できる。
資本主義論が白眉か。 -
優秀な方には専門を掘り下げるのだけでなく、学際的な研究を進めて欲しいと切に願うのです。岩井氏に追随する人がたくさんでてくると良いと思います。
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まとめとしてとてもわかり易い。
エッセンスをもっとギュッとまとめていれば更にあわかりやすそう。 -
20160801くらい〜0826 岩井先生の経済学に対する捉え方、思想の変遷を辿りつつ、さらに深い学際的?な知的深堀を追体験出来る。専門的な用語も多いけど、先生の語り口を堪能出来る
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経済学者が自分の人生の歩みと合わせて経済学を語っています。著者の著作に慣れ親しんだ読者であれば、読んでみる価値は十分にあるでしょう。また、タイトルだけ見ると難解な印象を受けますが、インタビュー形式で進んでいくので、専門的な注釈を除いては、わりと読みやすかったです。
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本格的に経済を学んでない私には、何が面白いのかよく分からなかった。
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331.04||Iw
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分かりやすい。
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新着図書コーナー展示は、2週間です。通常の配架場所は、3階開架 請求記号:331.04//I93