なぜ貧しい国はなくならないのか(第2版) 正しい開発戦略を考える

著者 :
  • 日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532358488

作品紹介・あらすじ

●開発経済学のベストテキストを全面改訂
今年のノーベル経済学賞は、行動経済学を経済開発に応用した研究でした。残された国々の浮上はなぜ困難なのか。それは誤った戦略がとられているからです。適切な政策さえとれば、貧困国も浮上可能なのです。貧しい国から貧困をなくしていく戦略的学問、それが本来の開発経済学の目的。本書は、経済学は知らないけれども貧しい国を浮上させる術について知りたい人びとのための書です。
筆者は農業と製造業の双方について、アジアとアフリカで現地調査型の研究を重ねてきました。また、世界銀行に出向した時期は、開発戦略という視点から各国への資金援助を詳細に分析しました。筆者が研究対象としたのは、中国、台湾、ベトナム、フィリピン、タイ、インドネシア、インド、ネパール、スリランカ、ガーナ、エチオピア、ケニア、ウガンダ、マラウィ。また、農業や産業の発展ばかりでなく、環境問題、国家の役割、ジェンダーについても関心を払ってきました。カバーする地域も分野も内外の研究者でこのレベルに達している開発経済学者はほとんどいません。
本書は、2015年に刊行された『なぜ貧しい国はなくならないのか』を最新のデータに基づいて全面改訂したものです。前作は教科書で記述されている理論を自ら検証した上での入門書であり、強い説得力が高く評価されました。その意味で、本書は定説をまんべんなく解説した通常の教科書や入門書とは異なります。
筆者は、日経・経済図書文化賞を2度受賞し、シカゴ大学でシュルツ(唯一のノーベル経済学賞受賞農業経済学者)、フリードマンから直接教えを受けた世界的な開発経済学者。2018年には学士院会員となり内外から高く評価されています。

感想・レビュー・書評

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  •  開発途上国はなぜ貧しいままなのでしょうか?考えられる原因は教育を受けていないから、働き口がないから、などいくつもあります。では、どうすればよいのでしょうか?学校に通えるように学費を無料にする、貧しい農民がお金を借りられるようにする、など解決策もいくつもあります。では、どれが効果的なのでしょうか?このような正解のない問いを考えるのが開発経済学です。
     「途上国の貧困は一体どうなっているのか?」そんな漠然とした疑問を経済学の知識を用いて紐解いていきませんか?本書は経済学の知識がなくても読めるように分かりやすく書かれています。もちろん、経済学の知識を知っている人にとっても十分読み応えがある内容です。途上国や貧困というワードに興味がある人はぜひ手に取ってみてください。
    (ラーニング・アドバイザー/国際公共 IKEMOTO)

    ▼筑波大学附属図書館の所蔵情報はこちら
    https://www.tulips.tsukuba.ac.jp/opac/volume/3882096

  • 主観もあったけれど読みやすくて一気読みした。

  • むずい

  • 開発経済学って何?という人向けの入門書。
    淡々と課題を分析、考察しながら進むが、序盤はデータの解説がメインで、それが非常に良い。

    「人生の質」の指標、と著者が言う定量データ。乳幼児死亡率、平均寿命、就学率、貧困者比率。世界銀行の定める貧困ラインは、1日あたりの所得が1.25ドル。

    この問題を分析するに、次に見ていくのが、産業構造の国際比較。どの先進国も、農業国からスタート。それが豊和してくると、胃袋には限界があるから、農業の増加率は緩慢になる。所得が増えれば、次は工業製品需要へ。物資が満たされれば、より良い教育、旅行などのサービス。だから、先進国ほど、農業、工業に比べサービス業の比率が高くなる。こうした流れを成立させるには、国民の教育レベルがある程度必要だし、汚職に塗れぬ民主的な政府が必要。これが難しい所。

    開発経済学の用語だろう、雁行形態論という考えを初めて知った。これも産業構造の移行を示す考え方。労働集約的から、資本集約的、最終的に、知識集約的発展というモデル。この段階は、経済発展に不可欠なのだという。

    本著には書かれないが、結局は、日本も戦国時代を経て外圧に備えた近代化や統一に成功したから民主化を成し得たし、中国は民主主義ではなくとも、共産主義による統制下で国家資本主義に転じられた。しかし、政治が混乱する国はいまだ多く、それが貧困の元凶。経済発展のために、先ずは政治モデルが必要だろうが、発展しない国の文化や国民性が弊害、あるいは先進国とはそもそも価値観が異なるという事もあるのだろう。必ずしも押し付けが良いわけではない。これもまた、難しい所。

  • SDGs|目標17 パートナーシップで目標を達成しよう|

    【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/756951

  • 先進国が途上国に今よりもっと多くのお金を拠出したとしても貧困はなくならないことが多少理解できた

  • 東2法経図・6F開架:333.8A/O88n//K

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著者プロフィール

政策研究大学院大学

「2013年 『ポリヴァレント化する農業・農村経済学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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