- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784537255454
作品紹介・あらすじ
住宅地の中、繁華街の路地、ビル群の裏…そこには味わい深い東京の別の顔がある。名階段126、その先に広がる意外な都市風景。
感想・レビュー・書評
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東京都心部の歴史や個性のある、126の階段を紹介。
第1章 美しい階段 第2章 歩いて楽しい階段
第3章 歴史を感じさせる階段
第4章 なくなった階段・変貌した階段
第5章 階段四季折々 第6章 東京の地形と階段
階段のカラー画像と所在地・規模・幅員・高低差・長さ・蹴上
・踏み面・傾斜のデータ、紹介文での構成。評価有り。
参考文献、引用文献、掲載階段一覧有り。
東京の都心部は坂の町。なので、各所に多くの階段が点在する。
山手線の内側エリアだけでも約650の階段が存在しているとか。
それらから、歴史や魅力のある126を紹介。
3段から132段、傾斜も階段の素材も様々。今は無き場所も。
過去にウォーキングで東京都心部のあちこちを巡っていました。
その途中で出会う、階段の数々。
著名な坂の多くには名前の表示がありますが、
階段の多くには名前の表示がありません。
~坂との表示があることも。
でも、この本で、~坂の謎が解けました。
また、写真での階段の姿から、ウォーキングの記憶も蘇りました。
何故か下ってばかりだった神田明神の明神男坂。
永青文庫や椿山荘、講談社を巡る途中で上った胸突坂。
一葉の路地奥の階段は過去に吸い込まれそうだった。
静かな王子権現への参道。賑やかで穏やかな夕やけだんだん。
行きは階段を上って帰りはエスカレーターの日枝神社。
また行ってみたいし、他の階段にも出会いたくなりました。 -
2012年7月7日読了。東京都内に数多く存在する、美しい・個性的な階段たちを紹介する本。タモリの坂道本と似ているが、階段が坂道と異なる大きな点は、階段は車や自転車が通らないため周囲が比較的静かな点と、車が通らないこととも関係があるが多くの階段は通常の道に比べて狭く小規模であり、両側の塀やせり出した木々、それを越えた先に見える景色など景観に特徴がある点にあるようだ。もちろん大規模で立派な階段はそれはそれで楽しめるものだし、段々や手摺のデザインといった楽しみのポイントは他にもあるようだ。個性的な階段があるのは私道が多いためか、地図が掲載されていないこと、私の住む世田谷区周辺の坂が取り上げられていないのが残念。だが面白い。
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階段好きには堪らない1冊。
所在地も書いてあるので、実際に行くのにも行きやすいし、段数や幅員などの詳細データもあるのがgood. -
学生の頃から東京都心部の斜面の景観に関するフィールドワークを行っているという筆者。本書ではその中でも階段に的を絞り、都心部(主に山手線内)にひっそり佇む階段を訪ね歩くややニッチな本。
六本木や新宿などでも、ちょっと裏道に行けば風情のある階段が存在したりしている。中には私道のような、他人は入りづらい場所も。
よく知っている地域でも、ふと横道にそれてみればこういった風景に出会えることがあり、なんだか得した気分になる。そんなぶらぶら散歩を楽しめるようになったのは、歳をとったからだろうか。 -
東京はつくづくコンクリートの階段が多くて、つまらない場所だ。と思っていたんですがこの本を読んで、ああ東京にも良い階段がいっぱいあるんだなと安心しました。
でもちょっと草が生えていて、広葉樹の葉の影があって。という私の好みの階段は整備されて減りつつあるみたいです。
もともと、昔は使われていた階段がだれも通らなくなって、石が辛うじて残っているのだとか、苔だらけで滑りやすい階段とか、ショートカットできる階段とかが好きです。松本さんの本にもそういうのがあっておもしろかった。
あと、地形によって、階段の上がる方向が同じだったりバラバラだったりするっていうのは考えてみればわかることでした。目からウロコ。
地理が楽しくなりそう。 -
東京に潜む、階段という存在にフォーカスし、様々な都心の階段を紹介し、評価・分析している、驚きの一冊です。
世の中にはいろんな人がいます。
ちなみに評価項目は「疲労感」「景観「スリル」「立地」です。
身近にある階段について、そこまで考えずにいると思います。
しかしそこにも歴史がある、ということが強調されます。
その関係が好きな方はぜひ。紹介した階段を記した地図が欲しかった。 -
東京が坂の町であることは、この都市を散歩したり自転車で走り回る人なら実感していると思いますし、山の手や下町という言葉が存在することからもある程度自明の理、と言えるかもしれません。そしてそれはすなわち、階段の町であることも内包しているのです。
いや、坂と階段が必ずしもイコールにはなりませんが……高低差を埋める手段として、坂があるように、階段もある。
ただ、同時に日常的にその階段を使っている人でなければ、階段という存在を意識することは薄いかもしれません。しかしそんな、都内に意外にたくさん点在する階段を、写真とともに紹介する本書を読んでいると、この町の不思議と言いますか、ある種のエアポケットになっているその空間に思いを馳せてしまいます。
またこの「ただの階段」が意外に個性的。それらを撮りわけて、解説を書き分けている、一種の執念にまたすごさを感じるのです。 -
東京の都心には山の手台地と入り組んだ谷があるので、大都市の中でも比較的、坂や階段が多い。
本書は著名な階段だけでなく、生活の中に溶け込んでひっそりと佇む都心の階段にスポットをあてて写真で紹介している。
昔住んでいた近所の階段もあり懐かしかったが、なかなか臨場感が伝わってこないのは、高低差を写真では表しにくいのと、階段単独ではなく、周囲の環境や人の行き来があってこそ階段の魅力が出るからだろう。 -
それぞれの階段道について、史的来歴、空間的特性の他、勾配などの詳細なデータも記載されている比類ない階段道カタログ。
緩急広狭明暗乾湿。これほどの階段道の集積は東京ならではのものだろう。
『東京「スリバチ」地形散歩』とあわせて読みたい。