- Amazon.co.jp ・本 (503ページ)
- / ISBN・EAN: 9784560040775
作品紹介・あらすじ
バイエルン森国立公園の広い囲い地で飼育されたオオカミの繁殖行動、成長、社会行動、コミュニケーションなどを綿密に記載し、イタリアの山地に生息する野生オオカミの生態を報告するとともに、オオカミと人間の関わりあいの歴史をもドラマティックに描き、保護対策にも触れている。
感想・レビュー・書評
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群れとしての狼を観察・研究しており、単独あるいは人間に近しく飼っていた研究者では得られない情報を多数載せており、群れとしての狼の行動について色々発見がありました。
・雌雄でアルファ狼がそれぞれいること
・アルファ雌による他の雌排除が厳しいこと
・アルファ雌は場合によってベータ雄を受け入れること
・群れから追われた単独雌や雄は交尾しない。雌がアプローチしないし、雄も順位の低い雌に興味をしめさない(犬は興味を示すが)。
・雄オオカミのいないところで主に犬と発情期の雌と交雑が起きる。しかし、狼犬はほとんど残らない。
・群れである狼にとって犬は敵であり獲物とみなされる。
・狼が単独であれば犬と馴れる風になる。
・人間慣れした狼でも順位が高くなったり、その指向が強くなると人間にも攻撃的になる。
・しかし老衰などで一度アルファを追われるとエレベーター効果で下の順位になり最悪群れを追われる。そうなるとまた人間にも友好的になったりする。
・群れとして子狼の生育に熱心になるのは、近親の遺伝子を残す意味?
後半はイタリアでの狼保護活動について書かれている。
イタリアにおいて、狼はその数を減らしながら、しかし残っている狼はとてもしたたかに人間の生活を把握し、殺されないよう身をひそめながら、人間の出すゴミなどから恩恵をかすめて生きている。
ヨーロッパにおいて、猟師が自分たちの権益を守るため狼に否定的な意見、反対を唱えるが、植物を食べる有蹄類を保護するならその数の制限のために天敵である狼を入れるべき、それがエコである、という意見の方が頷けるし、住民も納得するとのこと。
人間が突き進む破滅への道と、狼保護が、どう交わるか、それとも無意味なのか、分からないが、私個人として、保護活動を続けたいという作者の意見に胸が打たれる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
オオカミの群れのイメージってオオカミ王ロボから得た知識だけだったんだけど、そのイメージが他の群れにも当てはまるのかどうかとかわかって面白かった。オオカミを巡るエピソードも豊富で燃えるし萌える。