オ-トバイ (白水Uブックス 54)

  • 白水社
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本棚登録 : 202
感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560070543

感想・レビュー・書評

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  • 半分くらいまでは、正直おもしろいのかどうかよく分からない感じで読んでいたけど、途中からおおーっとのめりこんで結果、非常に面白かった...と思う。早朝に家を抜け出してハーレーに跨り恋人に会いに行くレベッカ。彼女の意識の流れを追うので、現実と過去が交錯するけれど、それほど読みづらくはない。恋人に会う期待や過去の情事を反芻して夢想する一方で、段々と意識と現実両方に不穏な影がちらついてきて、結末に収束していく様子が、すごい書き手だなあと思わせた。

  • そういえば白水Uブックスのマンディアルグはほとんど制覇したのに、これだけあまり興味を引かず読んでなかったっけ、と突然思い出して読むことに。そもそもオートバイというアイテムにあまり興味がなく、マンディアルグのわりに耽美要素薄そうなのも手に取らずにきた理由だったのだけど、うん、予想通り、バイク乗りではない(車の免許すら持ってない)私には、ヒロインがハーレイで走っている間の描写や心理などにも共感しづらく、ちょっと退屈。

    さらに黒革のツナギというコスチュームのせいで何故か若かりし日の三原じゅん子@映画版ハイティーンブギなどを思い出してしまい、ヘルメットではなく「頭巾」なのも謎で、火垂るの墓の節子みたいな戦時中の防空頭巾を被った若き三原じゅん子がバイクで疾走している姿を想像して、著しくヒロイン像を損なうはめに(苦笑)

    主人公レベッカは19歳で、27歳のさえない教師の夫とまだ新婚にも関わらず、結婚前からつきあっているダニエルという愛人のおっさん(自分の倍以上の年の)がいて、国境を越えてそのおっさんとエッチするためにバイクを飛ばす。物語はその移動の途次で彼女がダニエルとの出会いからセフレになるまでの経緯を回想する形で進むのだけど、どうもこのダニエルも、最初のエッチの際に彼の頭に腕をまわしたレベッカがその頭頂の「ハゲ」に気づくくだりでなぜか「トレエンの斉藤さん」を思い浮かべてしまい、脳内イメージがさらに大変なことに(苦笑)

    60年代に映画化された(「あの胸にもう一度」)際のキャスティングはマリアンヌ・フェイスフルとアラン・ドロンだったそうですが、もはや脳内イメージを修正することができず・・・ああ、せめて先に映画を見てから原作を読めば良かった・・・!

    まあそんな脳内イメージはさておき、オチは意外だったし、後半回想シーンの「薔薇浴場」のくだりなど、ところどころにいかにもマンディアルグ的な中年男が若い娘を調教するテーマがみられて興味深かったです。

    • mkt99さん
      「♪足~もとに~からみ~つく~、赤い波を~蹴~って~、マシンが叫ぶ、狂った朝の光にも似た~あ~」(チャーリー・コーセイ)

      yamait...
      「♪足~もとに~からみ~つく~、赤い波を~蹴~って~、マシンが叫ぶ、狂った朝の光にも似た~あ~」(チャーリー・コーセイ)

      yamaitsuさん、こんにちわ!(^o^)/

      自分は原作は未読で映画のみ観ました!

      BGMはあったと思いますが、自分の脳内イメージはこの曲になりました。(笑)
      2016/10/30
    • yamaitsuさん
      mkt99さん、こんにちわ!

      アニメ版の峰不二子はくだんの映画の影響を受けているいうのをWikiで見て、ああせめて「じゅん子と斉藤さん...
      mkt99さん、こんにちわ!

      アニメ版の峰不二子はくだんの映画の影響を受けているいうのをWikiで見て、ああせめて「じゅん子と斉藤さん」ではなく「ルパンと不二子ちゃん」で脳内変換すればよかった(>_<)と後悔していたところでした(苦笑)
      2016/10/31
  • あとがきは走り読み
    オートバイの性的描写、全てが主人公の空想とも捉えられる描き方が面白かった
    ラストが分かるだけにもどかしい想い

  •  自分も単車乗りだ。長距離ライディングは孤独な道行き。8時間、10時間、誰とも会話せず、ただ自己の内面との対話のみを伴侶に走り続ける。次々と眼前に現れては後方に流れ去る風景。いつしか風景は思考の中に混然と溶け合い、抽象化してゆく。バイク乗りの誰もが実感する主客一如の境地である。

     女主人公レベッカが、フランス北西部の町から愛人の待つドイツ南部の街へと通う。黒い鋼鉄の機械・ハーレーを駆って。

     フランスからドイツへ。田舎道からアウトバーンに移り変わる実走風景が克明に描かれる。そこに愛人との逢瀬や背徳の情事の点景が織り交ぜられ、連想を通じて瞬時に転じる。
     思い出や情熱が風景と融け合う大胆な構成。そしてSMを思わせる情事の場面。
     なかなかとんがったフランス産の現代文学である。

  • 裸に革のつなぎでハーレーにまたがるマリアンヌ・フェイスフルがあまりにも美しくてかっこいい「あの胸にもう一度」。ストーリーは、寝ている夫を置いて不倫相手(アラン・ドロン)に会いに行くだけという極めて単純。原作を読む気もなかったが、「城の中のイギリス人」を読んだついでに読むことに。まあ、そのままの話。主人公レベッカが19歳ショートヘアでボーイッシュ、不倫相手のダニエルが倍以上年上、しかも頭が薄い、と映画とは印象が違うが、ほぼそのまま。夫の寝ている横から不倫相手にオートバイで会いにいくだけ・・・。でダニエルとの回想が間に挟まれるが、豪華ホテルでの夜這い、青姦、薔薇での鞭打ち(笑)とまあ、雰囲気重視。

    第二次世界大戦が終わって間もない時期、中立国のスイス出身の主人公が、敵国同志のフランスからドイツへと国境を抜けてバイクで走る・・・・というのに何か比喩はあるのか??

    レベッカ視線で書かれた妙にクールな小説だけど、夜這いをかけた自分の年齢の半分以下の十代の若妻が自分に夢中になり、裸に革つなぎで会いにきてくれるって・・・オヤジの妄想小説だな。

  • 中高生の頃憧れた。

    今現在、バイクに乗っている理由の数パーセントであるかもしれない…(笑

  • ものすごいローアングルから始まって、どんどん複雑になっていく。
    回想がメインだからストーリーが進むという感じではないんだけど、ラストがああだから進まなかったのかと思うとなんとも言えない感じ。

    レベッカが強気のあばずれっぽいんだけどあるエピソードを読み終えてからはがらっと印象が変わる。
    彼女はまるで奴隷。

  • ハーレーに跨り愛人に向ってアウトバーンを疾走する若き女。時代は違うけど、高級車で疾走している方々は少なくないだろうな。

  • 密会のための「足」として贈られたバイクを駆って、
    夫を置き去りにし、国境を越えて愛人の許へ通う女。
    しかし、彼女は男と逢うことにもまして、
    バイクのスピードに身を委ねるスリルに心を奪われていく……。
    レーシングスーツ(いわゆる「つなぎ」)の下は
    すっぽんぽん(笑)で、
    途中、警官に不審尋問されて「それ脱いでみて」とか
    言われたらどうしよう――なんて考えてるところが
    ちょっと笑える。

  • 早朝、ハーレー・ダヴィッドソンを駈り、愛人に逢いに行く19歳の人妻レベッカ。フランスからドイツへの道すがらに過去の回想、夢想が入り混じる。レベッカが途中のカフェでキルシュを飲んだあたりでイヤな予感がしていたが、バッカスに祝福はされなかったのか(否、祝福されたのか)。読後、天野可淡の最期を思い出させた。

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