- Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784560082720
感想・レビュー・書評
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誕生から、革命運動への傾倒、流刑と亡命、レーニンとの出会い、十月革命までを精細に描く評伝。「20世紀の社会主義」に一石を投じる、英国の泰斗による注目の大作! ダフ・クーパー賞受賞作品。
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トロツキーというのは本名ではなく、彼が逃亡中に拝借したパスポートの名前からだというのは知らなかった。性格は傲慢で配慮に欠け、同士の中で最も難癖をつけない人物からも「心底嫌なやつ」と評されるほど。流刑地のシベリアでは妻子を置き去りにして逃げる。感傷嫌いで、誇張した文体を好む彼はこのことをただ「人生が私たちを引き離した」とつづる。人生すべてをイデオロギーに捧げ、それと矛盾する私事は歪曲する。一九一七年と内戦においては革命の英雄で、才能もあふれるほどあるのだが、出会う人すべての感情を逆なでにする孤立した狼。
しかしすこぶる魅力的な男だ。外国にいる指導層の中では、逮捕の危険を顧みず、いち早く帰国する。頭の中は、帝政に対してどうやって暴力革命を実現できるかでいっぱいで、体系化した思想など必要ない「出たとこ勝負」の人間。弁舌は党内随一で、その動員力は凄まじく、哮り狂う水兵の前に単身乗り込み、野良犬のように追い散らすこともできる。
「抱きしめるべきところでいちいちパンチを繰り出す」悲劇の政治家でもある。上巻の後半では、乗り越えられないレーニンとの力の差をあらためて痛感し、党内ではうまく立ち回れず孤立して、「彗星は、墜落への長い下降を始め」ている。
読書中に何ヶ所も誤字を見つけたのはひさしぶりだ。翻訳もまずく、訳者と共に編集者もロクな下読みをしていないことがよくわかる。 -
白水社の独裁者シリーズには外れがないが、今回も期待を裏切らない出来
トロツキーがレーニンとともに頂点に上り詰めるまで
ふと、数年前のゲバラの二部構成の映画を思い出すが、勢いに溢れた前半生 -
トロツキーの伝記。
上巻では生い立ちからボリシェヴィキ政権が樹立し
内戦が収束した1920年頃までを描く。
かなり骨太でトロツキーの人となりが生き生きと描写されている。
人物が多く把握が難しいことや、
地図が少ないため地理が掴みにくい点など難点はあるが、
全体的に読みやすく丁寧に書かれている印象。
下巻も楽しみ。