マネジャーの仕事

  • 白桃書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (339ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784561242185

感想・レビュー・書評

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  • ある媒体で「マネジメントの基本」として、紹介されていたので、手にしました。
    1993年発刊。
    インターネット前の、郵便と電話の時代のマネージャーのお仕事分析。
    なぜ今この時代にこの本を紹介するかな?
    、、、正直、ピンときませんでした。

  • ミンツバーグ先生は、経営学者として一般的な知名度はあまり高くない。ドラッカーやポーターのような華々しさや、麗々しい飾り言葉は、ミンツバーグ先生には、無い(と、思う)。

    ただ、その中身、いや読後の”効き目”というか、腹落ち感は、極私的な感想としては抜きん出て高い。雑な言い方をお許し頂けるならば、「煙に巻かれた」感が無い、という感じだろうか。

    <目次>
    日本語版への序文・序文・緒言
    第1章 マネジャーの仕事
    第2章 マネジャーの職務に関する現代の学説
    第3章 マネジャーの仕事にある明確な特徴
    第4章 マネジャーの仕事上の役割
    第5章 マネジャーの仕事の多様性
    第6章 科学とマネジャーの職務
    第7章 管理業務の未来
    訳者あとがき・参考文献

    第一に、この本はもともと1972年執筆である為、今日当たり前に使われているネットやメール、SNSというツールは無く、電話と郵便、テレックス(わかるかな?)が主なツールの時代なので、時間の使い方やコミュニケーションが本書が(今現在の)実態と合わないのでは?と思うかも知れないが、ここがミンツバーグ先生の偉大なところで、そういう違和感は、ほぼ無い。

    では、何故色褪せないのか?

    それはp.54あたりから書かれている、マネジャーの時間配分、受け取る郵便の内容別比率、継続時間(一つの事を続けてやっている時間)などを事細かに測定して、それらのファクトから考察を加えているからだ。つまり、理論から理論を生むのではなく、実際の経営者やマネジャーの行動を記録し、分析した結果から理論を紡ぎ出しているのだ。

    なので、ツールは変われどもやっている事自体は変わらないので、ちゃんと腹落ちするのだ。そう、本質を掴んでいるからだ。また、次のような記述でマネジャーの仕事を解き明かしていくのだ。

    ---
    マネジャーには自分自身の活動の大半について、これを決定する力がないという命題を支持する証拠がある。電話のベルが鳴り、日めくりカレンダーには一群の会議日程があふれ、部下がひょっこりと訪れ、予想もしないときに問題がもちあがる。そして、これらすべてにつきまとうのは、どれもが同時進行で、郵便物の処理を滞らせると大変だという恐怖である。確かに、この職務は弱い者を飲み込み、強い者を閉じ込めるようにデザインされている。(p.82-83)
    ---

    郵便をメールやビジネスSNSと読み替えるだけで、特に違和感が無いのではないだろうか?

    そして本書で最も価値があるくだりが、第4章にある「マネジャーの10の役割」だ。

    これは私個人としても、ノートに貼って常に見直す程、マネジャーの役割を明解にまとめてある。p.151に表になっているのだが、価値がありすぎて引用が憚られる。是非、自分で読んで会得して欲しいところだ。

    また、第7章のp.303以降で、「能力(スキル)開発」という項目で、ミンツバーグ先生は8つの管理に必要なスキルを挙げている。

    ・ピアー・スキル(同僚とのネットワーク構築と維持)
    ・リーダーシップ・スキル
    ・コンフリクト解決スキル
    ・情報処理スキル
    ・曖昧さのもとでの意思決定スキル
    ・資源配布スキル
    ・企業家的スキル
    ・自己反省のスキル

    この8つのスキル、今でも多くのビジネスノウハウ本で取り上げられているのではないだろうか?

    そう、ミンツバーグ先生の本は、泥臭くて汗臭い記述から、クリアな芯を引き出してくる感動というような何かがあるのだ。

    多くの報われない戦い。強いられているマネジャーという名の実務家の皆さんに本書が届いて、癒される事を願うばかりだ。

  • 原題:The nature of managerial work
    著者:Henry Mintzberg(1939-)
    訳者:奥村 哲史(1959-) 
    https://www.tus.ac.jp/fac_grad/p/index.php?6d00
    訳者:須貝 栄(1951-)

    この本の主題は、企業の「マネージメント」の仕事の実態について。ミッツバーグが実際の経営者を調査した実証研究。著者が有名なわりに本書は(市井では)ややマイナーかも。

    【版元の内容紹介】
     管理者行動論の古典的名著の邦訳。著者自ら経営者の行動を観察して得た「マネジャーの10の役割」によって管理者の仕事の全体像を浮き彫りにする。リストラが叫ばれる今,自らの仕事を再点検するための指針として推奨。
    http://www.hakutou.co.jp/book/b113003.html


    【目次】
    日本語版への序文 
    序文 
    緒言 

    第1章 マネジャーの仕事 
       読者へのメッセージ 

    第2章 マネジャーの職務に関する現代の学説 
       古典学説 
       偉人学説 
       企業家精神学説 
       意思決定学説 
       リーダーシップ効果性学説 
       リーダー・パワー学説 
       リーダー行動学説 
       職務活動分析学説 
       マネジャーの仕事の四つの側面 

    第3章 マネジャーの仕事にある明確な特徴 
       山のような仕事を間断のないペースで 
       マネジャーの活動は短時間で、変化に富み、断片的 
       現実的な活動を優先する 
       口頭伝達というメディアの魅力 
       自分が所属する組織と接触のネットワークのはざまで 
       権利と責任のブレンド 
       マネジャーの仕事の特徴に関する命題 

    第4章 マネジャーの仕事上の役割 
       一〇の役割セット 
       対人関係の役割 
       情報関係の役割 
       意思決定の役割 
       マネジャーの役割に関する命題 

    第5章 マネジャーの仕事に多様性 
       マネジャーの仕事に関するコンテンジェンシー理論 
       環境における職務 
       職務それ自体 
       職務と人物 
       時の経過でみた職務 
       マネジャーの職務の八つのタイプ 
       マネジャーの仕事の多様性に関する命題 

    第6章 科学とマネジャーの職務 
       マネジャーの仕事のプログラム化 
       マネジャーのプログラムに関する諸研究
       政策レベルでの経営科学者の役割 
       スケジューリング活動の再プログラム化 
       情報システムのプログラム化 
       戦略策定システム再プログラム化 
       経営管理の科学に関する命題 

    第7章 管理業務の未来 
       マネジャーの仕事の全体像 
       「環」のなかのマネジャー 
       マネジャーのために 
       管理者教育担当者のために 
       経営科学者のために 
       研究者のために 

    訳者あとがき
    参考文献

  • 簡潔にいえば、
    研究を通して、マネジャーたる者はこういうものだ、っと述べた本。
    そのためか、「確かにマネジャーとしてそういう心理あるよ」とかの賛同はあっても、
    「これは活かせるな」というハウツウ的な箇所は少なく感じた。
    そして、全体を通して、
    期待していたほど、内容に面白みがなかった。
    おそらく学術的な文章が読みにくかったからかも。

  • ◯マネジャーの仕事の特徴に関する命題
    ・マネジャーの活動には、短時間・多様性・断片的という特徴がある
    ・口頭による接触はマネジャーの仕事であり、その手段として郵便・電話・予定外のミーティング・予定に組み込まれた会議・現場視察がある
    ・自分の組織と外部接触のネットワークの間に立ち、様々な方法で両者を連結する
    ・新たに着手する関与事項の多くに責任がある。一度コミットすると、その後は一連の継続的な諸活動にしばりつけられることになる。また、マネジャーは情報を引き出したり、リーダーシップを行使するなど、多くのやり方で自分の責務の持つメリットを活用することができる。

    ◯マネジャーの役割に関する命題
    ・外向けの役割
     -フィギュアヘッド:多くの社会的、精神的、法的、儀式的な任務を要求
     -スポークスマン:自分の組織が活動している活動している領域の専門家として外部に貢献
     -交渉者:他の組織との交渉
     
    ・外と内をつなぐ役割
     -リエゾン:組織のためにロビー活動をし、情報を握っている重要な有力者と関係を保ち、組織の方針を外部に伝え、使える情報を内部に送る
     -モニター:内部と外部の情報を常に探索・受信
     
    ・内向けの役割
     -リーダー:部下が働く環境を決め、動機付け、部下の活動をチェックして緊張感を持続。雇用・訓練・昇進にも責任。
     -周知伝達:外部の情報を組織内に送り、内部の情報を伝播
     -企業家:組織の計画的変革を起ち上げ、デザイン
     -資源配分:あらゆる形態の組織資源の配分を監督
     -障害処理:計画していた対応策がない、予期せざる刺激に直面した場合に、コンフリクトを解消
     
    ◯マネジャーの目的
    ・組織の財やサービスの能率的生産を確保
    ・安定的な組織業務をデザイン・維持
    ・組織を計画的な方法で変化する環境に適応
    ・組織が組織を動かしている人たちの目的に役立つようにする
    ・組織と外部環境をつなぐ重要な情報リンク
    ・組織の地位体系を操縦

    ◯マネジャーの職務の基本形
    ・コンタクトマン(リエゾン・フィギュアヘッド)
    ・政治的マネジャー(スポークスマン・交渉者)
    ・企業家(企業家・交渉者)
    ・インサイダー(資源配分)
    ・リアルタイムマネジャー(障害処理)
    ・チームマネージャー(リーダー)
    ・エキスパートマネジャー(モニター・スポークスマン)
    ・新任マネジャー(リエゾン・モニター)

  • 佐藤郁哉のおすすめ本である。あとがきでもわかるように、社会心理学の領域でのフィールドワークとも考えることができる。

  • わかりにくいマネジャーの仕事を学術的に分析。組織のマネジメントにも役立つ形にまとまっています。スゴイのがアメリカの本なのに日本でも通じる論理を組み立てた事。

  • マネージャの仕事を10個のカテゴリ分けし、各分野に対して深い考察が載せられている。確かに実際の状況と非常にマッチするが、だからなんなの?難解且つ非実践的。読む価値は薄い。

  • 内容の前にまずは装丁。これは何とかした方がいいのでは。売れ行きにも影響しているんではと心配してしまう。
    原書の装丁もこんな感じ↓
    http://www.amazon.co.jp/dp/0060445564/
    何てこともない装丁だが、それでもマシなのでは...

    ---
    内容は、5人の経営者へのフィールド調査を元に管理者の仕事について分析を行なったもの。3章および4章が著者の分析者としての力量を表している。マネジャの仕事の特徴を次のようにまとめて挙げているのは、なるほどと納得する。
    ・終わりなき性質(Open End)
    ・短時間で、変化に富み、断片的
    ・皮相化がマネージャの職業病(Occupational Hazard)
    ・刺激-反応という環境の中で仕事をしており、即時的行動(Live Action)を好むようになる。

    また先ほど酷評した表紙にも図として描かれていたりするのだが、マネジャの仕事を情報のインプット-アウトプットシステムとして捉え、次の10の役割として分類している。

    対人関係の役割 (Interpersonal Roles)
    - フィギュアヘッド (Figurehead)
    - リーダー (Leader)
    - リエゾン (Liaison)

    情報関係の役割 (Informational Roles)
    - モニター (Monitor)
    - 周知伝達役 (Disseminator)
    - スポークスマン (Spokesman)

    意思決定の役割 (Decisional Roles)
    - 企業家 (Entrepreneur)
    - 障害処理者 (Disturbance handler)
    - 資源配分者 (Resource allocator)
    - 交渉者 (Negotiator)

    この分類が適正かどうかは有益性によって判断されないといけないと自ら言っているが、おおむね了解できるところだ。1973年の著作だが、以来職場のIT環境が大きく変化しているにも関わらず、ここで描かれているマネジャーの仕事の特徴や役割が基本的に了解がいくのは実は驚くべきことなのかもしれない。メールの浸透は大きく仕事のやり方を変えているように思われるが、一般的な会社組織の中での仕事は本質的には変わっていないということなのだろうか。逆にここで挙げられたマネジャーの仕事の特徴を先鋭化しているところもあるかもしれない。本の中でのITに関する見識(将来予測)は、6章の決して成功しているとはいえないマネジャーの仕事のプログラム化の部分などでも甘い部分がありますが、その見通せなかったITの変化が仕事に本質的な影響を与えるとしたら、さらにこれからのことなのかもしれない。

    また『MBAが会社を滅ぼす』(Managers Not MBAs)という邦題は書きすぎ?と思われる著作が出ているが、この本が書かれた30年以上前からMBAが実際の経営にはほとんど役に経たないという批判は変わっていないようだ。

    文章構成や分類のまとめ方などは後年の『戦略サファリ』を彷彿とさせる。章によってはまとめが付いているが、それがまとめとしては冗漫で冗長なのだが、この人のやり方なんだ、と納得している。

    星4つかな

  • 2009/6/12

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