十三回忌 (ミステリー・リーグ)

著者 :
  • 原書房
3.17
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本棚登録 : 128
感想 : 29
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784562041879

作品紹介・あらすじ

ある素封家一族の、当主の妻が不審死を遂げたが、警察はこれを自殺として捜査を打ち切ってしまう。それが始まりだった。当主の妻の一周忌には「円錐形のモニュメントに真上から突き刺さった少女」、三回忌には「木に括りつけられさらに首を切られた少女」、七回忌には「唇だけ切り取られた少女」…と忌まわしい殺人が続いていく。そして十三回忌を迎える。厳戒態勢のなか、やはり事件は起こった。

感想・レビュー・書評

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  • 田舎の名士の家にて、ある女性の命日ごとに、少女達が不可能犯罪で死んでいくといういかにも本格探偵小説。作者の長編デビュー作。とにかく物理(ぶっとび)トリックの鬼です。小説としてはおかずが多すぎて一品一品が薄味な定食という感じ。フーダニットもホワイダニットもないも同然なのだが、とにかくトリックが楽しい。そしてわかる訳がないので、頭を空にして読める。

  • 資産家の館で法要のたびに起こる殺人事件
    不可能犯罪に密室殺人、鉄道事故に聞こえる死者の声…、たっぷり詰め込んでこれが噂のやりミス(やりすぎミステリ)!
    謎はまだまだ残っているのに、どんどん少なくなっていく頁。これは大丈夫なのか?と心配したけど大丈夫でした

  • 長編デビュー作。

    プロローグ
    第一章 一周忌
     幕間一
    第二章 三周忌
     幕間二
    第三章 七回忌
     幕間三
    第四章 探偵
     幕間四
    第五章 十三回忌
    第六章 犯人
    第七章 対決
    エピローグ

    静岡の大富豪・宇津城家で、当主の恒蔵の妻・律子が不審死を遂げてから、周忌の度に家族が殺されていく。

    密室や不可能な殺害方法、家族全員のアリバイ。

    殺人鬼は家族の中にいる。

    警察と探偵の双方で事件を解明していく。


    正統派のミステリーで、この中の誰かが!!という前提で、少しずつ謎解きが展開されていく。
    やや強引さもありましたが、デビュー作ということで他の作品も読んでみようと思います。

  • 読了日2013/05

  • 事実上、これが小島氏のデビュー作かな。
    文章がうまく、流れるように読んでいける、反面、残念ながらキャラが薄い。長い期間にわたって起こる事件だけに捜査陣も入れ替わるせいもあるし、探偵役の登場も遅いためか、どのキャラも中途半端な感じはある。

    謎自体は魅力的で、その謎解きは強引な部分もあるが、これだけしかないクローズドサークル的な容疑者の中で、次々に人が死ねば犯人は絞りやすくなる中でうまくラストまで読ませてくれる。
    トリックはあまりにも仕掛けが大きいというか偶然に左右されそうな気もするが”謎”としては面白い。
    次回作に期待。

  • ある資産家の当主の妻が不審死を遂げ、その法事の度に一族の者が殺されていく。

    初読みの作家さん。予備知識なしに読んで、倒叙ものかと思っていたら、バリバリの叙述トリックにやられた。
    後で知ったところでは、「やりミス」を自称している作家さんだとか。それも納得できるほど、大がかりな仕掛けやトリックが満載。

    地方の資産家一族のお家騒動、殺害状況の異様さ、少し古い時代設定も合わさって、横溝正史のような雰囲気が少し漂う。
    そんな中、探偵役の海老原の軽さが際立つ。シリーズ一作目らしく、まだキャラが読みきれないけれど、他の作品も読んでみようかな。

  • 2011/11/13

  • 初めての長編ながら、ベタランの様な筆力があります。
    探偵が少し頼り無いのと、刑事のキャラに違和感がある以外は、面白く読めました。
    物語もスムーズで、謎解きの面白さも楽しめる佳作です。トリックに無理が見られるのは、犯人が意外な人物だからその辺りが読みどころかな!
    次作も読んでみたくなりました。

  • 横溝的なシチュエーション。久々にこういう本格モノ(?)を読んだような気がする。

    幕間の文章にすっかり騙された。後で読み返すと、確かにミスリードされていることに気付ける。この犯人の意外性にはヤラレた感があった。殺害トリックがかなりの大技なので、評価を二分しそうだが、それが持ち味の作品ならば、私は素直に楽しんでおこうと思う。
    ただ、探偵のキャラが微妙。彼の登場で、それまでの淡々とした感じから一気に軽くおちゃらけた雰囲気に様変わりしてしまった。前半の雰囲気の方が、私は好きだったな、、、、。警察の捜査員の雰囲気まで何故か変わり、終盤のよく分からない捜査員同士の確執とその後の大団円は何なんだ??と変に白けてしまった。正直、その辺のサイドストーリーは要らなかったように思う。
    全体のストーリー構成は面白くて良かったと思う。文章もそれなりに読みやすい。これが著者の長編デビュー作のようなので、変な粗さはあったけれど、まぁ及第点。この探偵さんでシリーズ化されているみたいだが、そのうち彼のキャラにも慣れるかな?次作も読んでみたい気にはさせられた。

  • 島田御大との共作「天に還る舟」後の
    独り立ちしてからの実質的な長編デビュー作。

    本格ミステリーとして楽しめたかといえば、◎。
    序盤に夏澄殺しとして出てくる大掛かりな仕掛けは
    島田氏を彷彿とさせるもので、物語の導入としては
    これ以上ない出来。期待が高まりました。

    第2の殺人であるゆかり殺しも、
    同時期に発生する不可思議現象とあわせて
    これも島田作品への傾倒を感じさせるもので
    良かったと思います。

    が、、これ以降の殺人事件は力尽きた・ネタが付きた感があり
    トリック・仕掛けともにイマイチな印象を受けました。

    夏澄・ゆかり殺しのトリック・仕掛けも
    正直納得感は薄いといえば薄いのですが、
    最初の驚き・何が起こったんだ感が重要なのであって
    トリックの整合性・論理性はまあ
    多少苦しくても大目に見るようにいつもしているので。

    作品の舞台としての宇津城家及びその周辺地形も◎。

    惜しむらくは、幕間として章ごとに挿入される
    犯人の独白がミスリードの範疇を超えて
    反則の域に達していたこと。
    特に、幕間(四)はイエローカードかと。

    ちょっとショックだったのは、探偵役の海老原浩一が
    前作執筆中の島田氏との書簡のやり取りで
    諌められていたにも関わらず、
    天才ひらめき型の変人おちゃらけ人間になっていたこと。
    前作との性格のギャップが激しすぎて興ざめしてしまいました。

    昭和60年に言うとは思えない「◯◯っすね」を
    連発する体育会系刑事がでてきたり、
    キャラクター設定はあまり上手くないですね。

    総論としては、前作の「天に還る舟」では
    強引になりそうなところ、偶然によってできた産物に
    島田氏がチェックを入れて、修正・調整されていたのだけど
    今作では、そのチェックがないので、
    やや強引・無理目なところが残ってしまったなあ、
    という印象でした。

    ただ、島田氏の流れを継承する
    驚天動地の大仕掛けトリックを用いた本格ミステリーを作る
    という意気込みと力量は確かに感じさせる作品で
    その点はすごく評価したいと思います。

    警察に対する見方など、島田氏の悪いところも
    一緒に継承してしまっているのはどうかと思いますが。

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著者プロフィール

埼玉県生まれ。2005年、島田荘司氏との共著により『天に還る舟』(南雲堂)を上梓。2008年、『十三回忌』(原書房)で単独デビューを果たす。2015年、『扼殺のロンド』(双葉社)で第6回「駅の中の本屋さんが選んだエキナカ書店大賞」を受賞。スケールの大きなトリックと、どんでん返しを得意とする。趣味はリバーカヤックと散歩。ビールが大好物!主な著書に『怨み籠の密室』(双葉社)、『ブラッド・ブレイン1~3』(講談社)、『モノクローム・レクイエム』(徳間書店)、『愚者の決断——浜中刑事の杞憂』(南雲堂)など。

「2022年 『仮面の復讐者 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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