みんなの図書室 (PHP文芸文庫)

著者 :
  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569677552

作品紹介・あらすじ

次の世代にも残したい文学作品-いわば"文学遺産"と呼ぶに相応しい50作品への思いと読みどころを、読書家として知られる小説家・小川洋子が綴った一冊。森鴎外『舞姫』、角田光代『対岸の彼女』、チェーホフ『桜の園』、ジュンパ・ラヒリ『停電の夜に』といった小説だけでなく、児童文学やノンフィクション、詩集にいたるまで、バラエティに富んだ古今東西の名作を取り上げている。

感想・レビュー・書評

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  • 『みんなの図書室』は、“文学遺産”と呼ぶに相応しい本を紹介する、小川洋子さんがパーソナリティーを務めるラジオ番組
    『Panasonic Melodious Library 』
    の、2008年7月から2009年6月に掛けての放送分を活字でまとめたものです。

    春の本棚、夏の本棚、秋、冬と季節ごとの章となっています。50冊が紹介され、小川洋子さんが、作品への思いと読みどころを語っておられます。

    50作品のうち、わたしが読んだことがあるのは10冊程度です。
    例えば『舞姫・森鴎外』がありました。
    わたしのブクログレビューを読み返すと、その頃かなり主人公豊太郎の友人、相沢を気にいっていたようです 笑
    「かなり仕事の出来る男だ。時に冷酷な決断をし、他人に対して非情になることを厭わない奴」とかなんとか。タイプなんですよね、実は。
    その反面、主人公であるはずの豊太郎に対しては、けっこう辛辣。
    別れを自分で告げることの出来ない男は、エリスへの罪悪感と負い目を背負いながら生涯を過ごすことになればいい!とか(……そんなにきつくは書いてません、悪しからず)
    とにかく、豊太郎の恋愛に対する煮え切らない態度とか、複雑な心境とか、そんなことを中心に感想を書いていたのだけれど、小川洋子さんの言葉を読んでハッとさせられました。

    小川さんは、
    「表面的な構造としては、エリート官僚の愚かな恋愛ということになるけれど、十九世紀末という時代に日本人がヨーロッパで生きる“孤独感”を描き出した文学ともいえる」
    とおっしゃってます。
    「人間は長い人生の中で、いつでも居心地の良い環境にいられるとはかぎらない。その社会でたった一人の余所者として生きなければならないことも、起こり得る。
    そうした時、いかに人間が脆い存在になってしまうか、その脆さにどうやって打ち勝ったらいいのか、豊太郎を通して考えさせられる」
    と綴られています。

    たしかに、そうだなぁ。
    「この人ってこういう人」
    その人の状況とか立場とか、そういうことを深く考えずに、見た目とか噂話とか、そういうことで何となく決めつけてしまってることってあるよなぁ。
    こうやって、一歩下がって大きな視野で眺めると、相手の立場に立ってみること、こういうこともあるんじゃないかと想像力を働かすことで、いろんなことが見えてきます。
    まだまだ分かってる「つもり」だった自分に気がつきました。
    豊太郎への印象も変わってきますよね。

    読んでみたいなと思った作品のうち、一冊をあげるとすれば『夜と霧の隅で・北杜夫』です。
    小川さんによって、
    “「夜と霧」とは、ナチス政権下のドイツで1941年に発令された特別命令のことです。
    ユダヤ人をはじめとする“非ドイツ国民”を、一夜のうちに拘束し、霧のように消し去る─というものです。
    その「夜と霧」作戦が吹き荒れる中、もうひとつのある指令が下されました。それは、不治の精神病患者を安楽死させよ、というものでした。 
    『夜と霧の隅で』は、その指令に抵抗し、患者たちを救おうとする精神科医たちの苦悩を描いた作品です。歴史的事実を踏まえながら人間の狂気に迫ってゆく、という困難なテーマに真正面から挑んでます……”
    と紹介されています。
    このテーマを日本人作家が書いているということに驚かされ、読みたいと思ったのです。

    番組では紹介した本に因んだ楽曲を、3曲ずつ放送されているそうです。
    実は『みんなの図書室』がいいなと思った1つは、その楽曲をちゃんと放送一覧として掲載してくれているところです。
    知らない曲が殆どですが、それでもこうして紹介されていると聴いてみたくなります。
    例えば
    『桜の園・チェーホフ』
    「四季」より5月「白夜」(チャイコフスキー)/ミハイル・プレトニョフ(ピアノ)
    ロシア間奏曲/オデッサ・バラライカス
    LECHO FUSILLE/ウラジミール・ヴィソーツキ

    『東海道中膝栗毛・十返舎一九』
    伊勢音頭/檜山さくら
    Soul Man/ブルース・ブラザース
    イージュ★ライダー/奥田民生

    『対岸の彼女・角田光代』『押し絵と旅する男・江戸川乱歩』『老人と海・ヘミングウェイ』
    などなど、どんな選曲なのか気になりますよね。

    わたしはラジオはあまり聴いたことがなかったのですが、『みんなの図書室』を読んだことで、小川洋子さんがどのように物語について感じておられるのかを、小川さんの声で聴きたいなと思いました。きっと一生懸命、読書好きのリスナーに語りかけてくださってるのだろうな。

    家で過ごすことが大切な時期である今。
    大好きな小川さんのお喋りに耳を傾け、ともに耳を傾ける読書好きさんたちと大好きな本で繋がることができる……素敵な時間なりそうです。
    今度の日曜日の朝は、ラジオの電源を入れようと思ってます。

    • 地球っこさん
      ハイジさん、お返事ありがとうございます。

      なんと!お好きなバンドの曲が入っていたとわ。
      とてもびっくりです☆
      そして何だか嬉しいで...
      ハイジさん、お返事ありがとうございます。

      なんと!お好きなバンドの曲が入っていたとわ。
      とてもびっくりです☆
      そして何だか嬉しいです(わたしが選曲したのではないのですが)
      教えてくださり、ありがとうございます☆


      参考までに、
      『Panasonic Melodious Library』のホームページ(本棚になっていて可愛いのです♡)には、ちゃんと選曲の理由も載ってるんですよ。
      でも、知らない方が想像を掻き立てられてワクワクしますよね(*^^*)


      2020/04/27
    • 5552さん
      地球っこさん、こんばんは!
      『Panasonic Melodious Library』のホームページ覗いてみました。
      ほんとですね、かわ...
      地球っこさん、こんばんは!
      『Panasonic Melodious Library』のホームページ覗いてみました。
      ほんとですね、かわいい♪
      表表紙と背表紙の違いはあれど、何となくブクログっぽいですね。
      このホームページ見ているだけで幸せな気分になります(^_^)
      楽曲の紹介もありがとうございました。
      トム・ウェイツ、YouTubeで聞きました。
      渋い!素敵なお声!
      『夜と霧の隅で』もいつか読みたいです☆
      2020/04/28
    • 地球っこさん
      5552さん、おはようございます。
      お返事ありがとうございます。

      たしかに!
      ブクログっぽいですね☆
      あのデザインは、本好きさん...
      5552さん、おはようございます。
      お返事ありがとうございます。

      たしかに!
      ブクログっぽいですね☆
      あのデザインは、本好きさんの心をくすぐりますよね。
      時々覗いては、ウキウキしてます(*^^*)

      ところが、ラジオは聴けてないのですよ。つい、忘れてしまうのです。
      今度こそ、楽曲を聴きながら小川さんのお話を聴いてみたいものです。
      2020/04/28
  • 小川洋子の読書案内。
    ラジオ番組が元だそうです。
    さらりと心にしみる内容でした。

    優しい語り口で丁寧にポイントを読み解いていく。
    こんな本があったとは。
    一冊については短い文章なので、切り口が色々変えてあります。
    すいすい読めますが、深い‥
    どれもこれも読んでみたくなります。
    次の世代にも残したい文学作品というラインナップで、ほとんど非常に有名な作品を取り上げているため、年の功で~読んだ作品のほうが多いけれど、細かく覚えていない作品もありますから。
    児童文学やドキュメンタリー、「家庭の医学」まであるのが面白い。

    毎週スタッフとどの本を取り上げるかわいわい話し合ってきたが、取り上げたい本が尽きることはないそうです。
    選んだ本のリストを改めて見ても‥
    「自分の生かされている世界の果てのなさ、その果てのなさを受け止めるだけの包容力が文学にはある」と前書きに。

    「あしながおじさん」を子供の頃に読んだときには主人公が生き生きと楽しそうで羨ましかったが、実は普通では想像もつかない孤独な子供がけなげに努力していたと今はわかると。
    「桜の園」は生まれ育った家を売り渡さなければならない話だが、かみ合わない会話や登場人物になんともいえない喜劇の味がある。

    ケストナー最初の児童文学「エーミールと探偵たち」
    母思いのエーミールがお金をすられ、知り合った子供たちとお金を取り戻そうとする痛快な冒険の楽しさ。
    乱歩の「押し絵と旅する男」の精緻な描写と、何度読んでも深まる不思議な印象‥
    「竹取物語」を再読して初めて知る意外なエンタメ性。
    「若草物語」のささやかな日常の幸福は、なかなか実現しにくい至高の理想でもあった、と。

    山田詠美の「放課後の音符」では予想外の恋が。
    良い大人と悪い大人を区別できる目を養ってください、という作者のメッセージも。良い大人とは人生のいつくしみかたを知っている。悪い大人とは、ケチな大人だと。
    「若きウェルテルの悩み」ではウェルテルは自殺してしまう。そんな弱さが自分にもあるかもしれないと考えさせられるが、ゲーテ自身は失恋の苦しみを作品を描くことで乗り越えた‥

    書き抜きたくなることばかり。
    そして自分も~好きな作品のここがね!と伝えたくなりますね。

  • 小川洋子さんの読書案内ということでいつか全部読んでやろうと思いながら読み進めていたが、未読の本よりも、読了済みの本の方がそうそう、そんな話だった、と思い出すと共にちょっとした解説があって面白く感じた。共に、それぞれで流された曲を検索して、その作品思い出しながら聴いてみると心地よかった。
    せっかく文庫化したのだから、それぞれもっと長ければなと思う。未読本はものによっては読んでいてあまり頭に入ってこない。

    ちなみに現時点での読了本は、あしながおじさん、海と毒薬、センス・オブ・ワンダー、深夜特急、クマのプーさん、竹取物語、不思議の国のアリス、キッチン、若きウェルテルの悩み、の計9冊だった。

    https://www.tfm.co.jp/ml/
    ラジオ放送は終了してしまったが、このサイトはずっと残しておいて欲しいと切に願う。

  • 『みんなの図書室』は著者がラジオ番組で、毎週一冊ずつ紹介した本をまとめたもので、あらゆるジャンルから厳選された秀作50作品が収められた一冊である。

    (愛)読書家である小川さんの書評は、
    すうっと心に落ちた言葉を、そのまま盆の上の乗せ、(どうぞ♪)と、差し出されている様な感じでとてもシンプル。

    しかし、間違いなく最も美味しい所をサクリと切りとっており、本の中から掬い取った生の言葉を程よいスパイスとして添えていたり、と。最後まで飽きる事無く50冊の本を堪能する事が出来た。

    そして、その余韻が、(丸ごと一個、いや一冊すべて読んでみたい…)更なる読書欲を掻たててくれるのである。

    本選びに困った時の為にバッグに忍ばせておきたい一冊。

    • 円軌道の外さん

      MOTOさん、レビュー上手いですよね!

      小川さんはこれから開拓していきたい作家だし、
      うんうんと頷きながら読ませてもらいました...

      MOTOさん、レビュー上手いですよね!

      小川さんはこれから開拓していきたい作家だし、
      うんうんと頷きながら読ませてもらいました(^O^)

      好きな作家が読んでる本って
      やっぱ気になるし、

      自分は文庫派で
      最近の小説には疎いので(汗)、
      勉強のためにも
      これもチェックしてみますね(笑)


      2012/05/01
    • MOTOさん
      円軌道の外さん

      コメント&お気に入り登録ありがとうございます!
      レビューは上手いわけではありませんが、書く事はとても好きです。
      そして、レ...
      円軌道の外さん

      コメント&お気に入り登録ありがとうございます!
      レビューは上手いわけではありませんが、書く事はとても好きです。
      そして、レビューを読む事も好きなのですが、
      ブグログはわりとあっさり感想をUPしてる人が多く、本の良さが伝わりきれていない所が残念でした。
      そんな中で、円軌道の外さんのレビューは本当に本好きな人なんだな~という事が伝わるので、読んでいて楽しいです。

      小川さんの書評もその本好きが良く伝わっています。
      2012/05/02
  • 大きな図書館や書店に行く。そこに並ぶ本の全てを読み尽くすことはできない。優れた本として話題になる一握りの本ですら、全てに目を通すことはできないだろう。

    一般的な、本にあまり関心のない人からすれば月に20冊以上というペースは、たくさん本を読んでいると判断されることが多い。それでも生涯かけて読んでも、この世界に溢れる本のほんの一部しか読めない。常に新しく生み出される本があり、また時代を経て読み継がれるべき本もある。

    そのほんの一部しか味わえないで人生を終えるのか、と思うと悔しいような悲しいような気持ちになる。

    だからこそ、良い本を確かな目で選んだ本書の存在は大きい。

  • しばらく前から、本屋の前をとおると、小川洋子の『みんなの図書室2』というのがあって、2があるなら1もあるんやろと図書館で1冊目を借りてきた。

    本を紹介するラジオ番組の放送をもとにまとめたというもの。毎週1冊の本について自由におしゃべりするという番組は、今も続いているらしい(日曜午前の30分、全国38局ネットだそうだ)。

    この本にまとめられているのは2008年の夏から2009年の夏までの1年でとりあげた50冊のこと。
    ▼物語のどこに心揺さぶられたか、登場人物の誰が一番気になるか、どの場面でうなずき、怒り、涙ぐんだか、一生懸命しゃべっているうち、マイクの向こう側にいる読書好きの皆様の、共感や異議申し立ての声が聞こえてくるような気がしてきます。会ったこともない、名前も知らない人々と、たった一冊の本を仲立ちにして繋がり合っているのを感じるのです。(p.3)

    とりあげらている本のうち、半分くらいは読んでいるのだが、小川洋子の紹介する文章を読んでいると新鮮で、まるでその本に新たに出会うようで、また読みたくなるのだった。

    それは、小川洋子自身が、過去に読んだ本をあらためて読みかえして、こんな本だったかというような新鮮な気持ちをもっているからだろう。子どもの頃に読んだ私はこうだったけれど、いま読むとこんなことを感じるというように。

    読んだことのある本も、知らなかった本も、いま読んでみて、そしてまたこの小川洋子の"ラジオのおしゃべり"を読みたいと思う。

    『みんなの図書室2』も読みたいが、いましばらく時間をおいて、この1冊目を反芻してから、と思う。

    (12/2了)

  • 小川洋子さんが本の紹介をするラジオ番組からの本。2008~2009年に紹介した50冊が紹介されている。「あしながおじさん」「生れ出づる悩み」「桜の園」など、紹介されている本のほとんどが名作として読み継がれているもので、若いうちに読んでおいて欲しい本として選んだのかなというようなリストになっている。既に読んでいる本は小川さんの読み方が興味深く再読したくもなり、早速「海と毒薬」を読み直した。未読の本も何冊か読んでみたくなった。番組は今も続いていて、この本をきっかけに聴き始めた。先週は「ごんぎつね」今週は「沈黙の春」と、この本に収録されていた「手袋を買いに」「センス・オブ・ワンダー」の作者の別の本が紹介されていた。本の目次には数冊の本に丸印が書き込まれていた。2人目の読者の丸もつけて、手放そうかな。

    #みんなの図書室 #小川洋子 #PHP文芸文庫 #読書 #読書記録 #読書記録2022

    • 111108さん
      ひーらさん、こんにちは。

      小川さんのこのラジオ、私も時々聴いています!面白いですよね。紹介されてる本のほとんどが未読のものばかりなので、読...
      ひーらさん、こんにちは。

      小川さんのこのラジオ、私も時々聴いています!面白いですよね。紹介されてる本のほとんどが未読のものばかりなので、読みたい本が増えて困ってます‥
      2022/05/28
    • ひーらさん
      111108さん、こんにちは。
      小川さんと藤丸さんの会話も楽しいですよね。次に紹介される本の予告は、宿題を出されているような気にもなったり...
      111108さん、こんにちは。
      小川さんと藤丸さんの会話も楽しいですよね。次に紹介される本の予告は、宿題を出されているような気にもなったりしますねー(^^;;
      2022/05/28
    • 111108さん
      ひーらさんお返事ありがとうございます♪

      そうそう、お二人の会話でどんな癖の強そうな本でも読める気がしてくるんです。嬉しい宿題ですよね(^-...
      ひーらさんお返事ありがとうございます♪

      そうそう、お二人の会話でどんな癖の強そうな本でも読める気がしてくるんです。嬉しい宿題ですよね(^-^)
      2022/05/28
  • 本を紹介するラジオの内容を書籍化したもの。
    1冊1冊の紹介は決して長くないが、自分の好きな作家がどんな本を好み、どんなふうに読むのかというのを知るのはとても面白い。ジャンルも、小説・詩・絵本など、多岐にわたる。
    巻末に、それぞれの本を紹介した際に流した音楽まで掲載されていてとても丁寧だと思う。

    知っている本は「ああ、そんなふうに感じるのね…」と、知らない本は「読んでみたいなぁ」と思わせてくれる。
    読みたい本が増えた。読書の素晴らしさに触れられる本だった。

  • 本好きによる、皆のための読書案内
    日曜日。
    車に乗ってラジオをつける(TOKYO FM)と、Panasonic Melodious Libraryというコーナーが始まっている。
    好きな作家の一人である、小川洋子氏が一冊の本とそれに応じた曲を紹介するというものだが、これがなかなかいい。
    残念ながら毎回聞けるわけではない。
    もっと聞きたい、そう思っていると.....図書館で私をいざなうように本書が!

    読書案内として、なかなかに選りすぐられたものなので、読みたい本が見つかるはずだ。

    『あしながおじさん』は言わずと知れた名作。
    手紙形式で進む物語に自分を重ね合わせるのも面白い。
    著者が一番にもってきたところを見ると、一番のお気に入り?

    『一千一秒物語』『ナショナル・ストーリー・プロジェクト』はぜひとも読んでみたい。
    短編が好きな私にとっては前菜や小鉢(なんていうと怒られてしまうかもしれないが、褒め言葉だ)がたくさん並んでいるようでたまらない。
    好きなものがたくさんあるので、いろんな種類をいっぱい食べたいのだ。

    『竹取物語』、今は昔、竹取の翁といふものありけり。野山にまじりて竹を取りつつよろずのことに使ひけり。名をばさかきのみやつことなむいひける。
    今も暗唱しているこれ。
    「結婚とは何か」「貴族も庶民もどうしても手に入らないものがあるという点では平等」。
    この視点に気づけると、言葉は古くてもとても現代的なテーマを扱っていると著者は言う。
    もう一度読んでみたくなる。

    『にんじん』大嫌いで大好きな話。
    まさかまたここで出会うとは。
    不条理を感じさせる物語なのだ。

    他にもたくさん紹介してあるので、気になったら手に取って見るといい。
    一冊一冊を簡単に、しかし丁寧に紹介しているので、読みやすい。
    自分自身もこんな本の紹介がしたいものだ。

  • 生まれ出づる悩み:君よ、春が来るのだ。冬の後には春が来るのだ。君の上にも確かに、正しく、力強く、永久の春が微笑めよかし・・・僕はただそう心から祈る 舞姫:わからないことの前で頭を垂れるような喜びこそが、世界の偉大さを教えてくれます 赤めだか:努力して皆偉くなるんなら誰も苦労しない。努力したけれど偉くならないから寄席に来ているんだ。「落語とは人間の業の肯定である」。よく覚えときな

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著者プロフィール

1962年、岡山市生まれ。88年、「揚羽蝶が壊れる時」により海燕新人文学賞、91年、「妊娠カレンダー」により芥川賞を受賞。『博士の愛した数式』で読売文学賞及び本屋大賞、『ブラフマンの埋葬』で泉鏡花文学賞、『ミーナの行進』で谷崎潤一郎賞、『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞受賞。その他の小説作品に『猫を抱いて象と泳ぐ』『琥珀のまたたき』『約束された移動』などがある。

「2023年 『川端康成の話をしようじゃないか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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