書店ガール 3 託された一冊 (PHP文芸文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569761848

感想・レビュー・書評

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  • 理子の言葉の誠実さ。その言葉に心を解されてゆく人たち。気づけば誰もが理子の賛同者になっている。

    こうして書くと新興宗教チックになるのだが、理子と周囲の人々との会話を追うたびに感心させられる。

    今回は少し冷や冷やしながら会話を追った。東日本大震災をメインテーマに据えていたからだ。

    あの震災を巡っては、数え切れないくらいたくさんの異なる視座の人々がいる。だからこそ何年経ってもペンを持つ手がすくんでしまうモチーフではないだろうか。

    碧野さんはきっと、とおりいっぺん被災した方の談話を取材しただけではないと感じた。

    いろんな視座から多くの人の目で見つめ、その上で自身の思いを整理されたのではないだろうか。

    そう感じるくらい、理子の言葉は自然に心に沁み入った。

    書店への愛。書店員への共感と公正な眼差し。
    このシリーズを貫くその空気感も健在。

    本は、いいね。

  • 本から引用・・
    『本は船を漕ぐ櫂のようなものだ。人生という荒波を渡って行くために、我々が手にするただひとつの道具なのだ。
    それを必要とするお客様の手に確実に手渡すのが、我々本屋の使命である』・・・P.77より抜粋

    今回の書店ガールは1、2巻とは趣が違う。
    3・11の震災の事、書店の役割・(書店だからできること)等が、フィクションではあるが真摯に描かれていると感じた。

  • やっぱり最後はきれいにまとまる!?

  • 本を題材にした本。東日本大震災。

    「ビブリア古書堂の事件手帖」「川北新報のいちばん長い日」「お探しの本は」「小説あります」「ウッドストック(漫画)」

    最近読む本に、不思議とよく見られた要素。本書も、それら要素が軸となってストーリーが展開されます。

    東日本エリアマネージャになった理子が、仙台櫂文堂の沢村と出会い、震災から3年が過ぎようとしている現地の状況を知ることに。その内容が、あくまで文章を読んだ感想ではありますが、とてもとてもリアリティを感じさせるもので、ボディブローのように心に響き、残ります。

    宮城に住まい、そこで震災を体験し、その後3年過ごしてきた彼の言葉は、フィクションのはずなのに、本当に現地の人の言葉のように感じられました。綿密な取材のなせる技なのか、筆者の創造力によるものなのか。

    いずれにせよ、私の心を穿つ内容であったことには変わりありません。

    個人的に東北や震災関連に関心があったので、相当な興味をもって本作を読むことが出来ました。それがなかったら、本作に興味を持つことが出来たかどうかは分かりません。

    ただ、育児しながら書店員として慣れない職場で奮闘する亜子の姿も、性別は違うし子供もいない私も不思議と共感させられる内容で、十分楽しめる内容になっていると思います。また、2作目よりもテーマがはっきりとして一冊を通じての「軸」が感じられ、とても良い作品だと思いました。

  • 文芸担当から専門書に替わると相当焦る。専門書のお客様は知識も豊富だから、「は、こんなことも分からないの?」判定を下されかねない。
    だから亜紀の苦労も推察出来る。とは言え、前進あるのみ!の彼女がつかんだモノの大きさは実は亜紀本人が感じてる以上だといつか気が付くのかな。母親業と働く人として現場で手を抜かないことの難しさを痛感した亜紀のこれからが期待。


    一方の理子さんは独身で働く女性の厳しさが伝わってくる。業務を遂行するのは当たり前、なんだもの。新しく加わった地元では有名な書店を傘下に置き、『カリスマ書店員』を部下に持つ、しかも相手は自分のことをあまりよく思っていないようだし。心が折れちゃうでしょ、そんな現場。
    それでも理子の人柄が少しずつ理解されていくのがいい。ただ、ね。早く彼氏が出来ますようにと祈る祈る。


    今回この本では東日本大震災に重点が置かれている。被害にあわれた皆様に軽々しく「大変でしたね」と声をかけることは、何の被害も受けなかった私には出来ない。じゃあ何かすることはないのか、そんな気持ちを作中で碧野さんは表現してくれていた。背筋が伸びる思いがした。

  • 今回は東日本大地震がテーマ。当時を思い出すと就職試験先から大江戸線で最寄り駅まで帰ったっけ。もう13年前になるのか。
    震災の5年後、石巻に行ったとき様子をみて呆然となった。
    何もなかった、というのが感想。今は分からないけど、当時は復興はまだでテレビの情報と実際見るのと違うと感じた。
    そんなセンシティブなテーマだったけど、過去ではなく未来を見ている。前向きになる話で良かった。
    あと裏テーマとしてワーキングマザーの苦悩も等身大で良かった。働きたいけど、周りの人に負担をかける。どうするか。そんな悩みに一緒に考えられた気がする

  • 震災フェアでの書店員の経験談に涙。

    仕事に取り組む姿勢や想いについては下手なビジネス本より良かった。

  • 東日本大震災と本屋の話

  • 亜紀の現状が、近い未来の自分と重なって、感情移入しながら読んだ。
    母親になることで、考え方がどんどん変わっていく様子がかっこいいなあと思った。

  • 灰色とオレンジ色

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著者プロフィール

愛知県生まれ。東京学芸大学教育学部卒業。フリーライター、出版社勤務を経て、2006年『辞めない理由』で作家デビュー。大人気シリーズ作品「書店ガール」は2014年度の静岡書店大賞「映像化したい文庫部門」を受賞し、翌年「戦う!書店ガール」としてテレビドラマ化され、2016年度吉川英治文庫賞にもノミネートされた。他の著作に「銀盤のトレース」シリーズ、「菜の花食堂のささやかな事件簿」シリーズ、『スケートボーイズ』『1939年のアロハシャツ』『書店員と二つの罪』『駒子さんは出世なんてしたくなかった』『跳べ、栄光のクワド』などがある。

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