マネーの動きで見抜く国際情勢 (PHPビジネス新書)

著者 :
  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569790770

作品紹介・あらすじ

イラク戦争、サブプライムローン、ギリシャ危機…、世界情勢を巡る数々の事件で莫大な利益を手にしているのは誰か。覇者達はあの手この手で搾取を目論んでいる。ならば我々はさらに目を見開いて、彼らの思惑を見破る必要がある。その手段が「誰が得をしているのか」というB面を探る方法だ。次々と明らかにされる衝撃的な国際情勢の裏側と各国の思惑。次の標的となるのは莫大な日本資産かもしれない。どうすれば我々の財産を守れるのか。

感想・レビュー・書評

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  • 政治と為替の関係の見方が変わった。
    8年前だからこそ今に通用する内容と感じる。
    世界の情勢に合わせて誰の思惑があるのか必ず考えるきっかけになる。

  • 必読書

  • レーガン政権では、ミルトン・フリードマンが非公式な経済顧問を務めて、小さな政府を推進した。それが中曽根政権に受け継がれて、NTT、日本たばこ、JRが民営化された。

    金兌換が停止された1971年からユーロが誕生した1999年までは、原油価格とドルの相関関係があり、マルクは逆相関関係にあったが、ユーロ誕生後は原油価格とユーロが相関するようになり、ドルは逆相関となった。イラク、OPEC、ロシア、イランが原油決済を変更する動きを見せるたびに、ユーロが動いていた。

    基軸通貨であっても、自国通貨高に誘導するのは難しいが、自国通貨安を仕掛けるのはやさしい。サブプライム危機後、輸出増加を目指してユーロ安に誘導するために、ギリシャ危機が利用された。

    アメリカが中国元の切り上げを要求したり、反米感情をあおってドル売りを誘発したのは、輸出を倍増する目標を目指してドル安に誘導するためだった。アメリカの中間選挙の年は、11月の選挙に向けてドル安に進む傾向がある。

    ITバブル崩壊後、日本が経験したようなバランスシート不況を避けるために、FRBは住宅バブルを発生させることで企業の借金返済の機会を与えた。

    アメリカには、石油・軍需産業を主体とした勢力と、金融機関の勢力の2つの相対する勢力があり、敵対しつつも順番に利益を得ている。

  • すばらしい!

    本書にあるA面、B面という考え方。これに近い思考は持ち合わせていたが、各事象に対してここまでせまれる見識も経験も持ち合わせていないために非常に新鮮な捉え方であった。
    陰謀論と紙一重ではあると思うが、仮説思考といえないこともない。根拠(ロジック)がしっかりしているのであれば、必要な考え方であると思う。搾取されないために。

  •  表だけしか見れない日本国民と裏の存在を見て見ぬふりをするマスコミ連中。やらねばならない何事かを詳しく解説された一冊。

     あまりう期待していなかったけれど過去の同様な本に比べ自分の欲しい情報がふんだんにちりばめられている。

     裏とか陰謀となると世の中はその話を違った見方で解釈するしかし、B面という言われ方をするとまた感じ方は違うだろう。日本の経済が悪いままなのは中国でも韓国でもましては北朝鮮でもないだろう少なからず関与しているかもしれないが大きく関与しているのはアメリカなのだとはっきり言える人が本当の政治家にならなければいけない。

     日本が所有するアメリカ国債、日本有利に処分できる政治家は来るのだろうか。すべてはアメリカが裏に手を回しているのだから。

  • 【内容】
    <米国の歴史的な借金棒引き戦略> 
     ドルの価値はこの40年の間に対円で1/4になった。この米ドルの戦後一環したドル安も短期的にはドル高とドル安を繰り返した結果である。これには訳があり、米ドルの長期的なトレンドから米国の一環した通貨戦略が垣間見える。すはわち、借金をするときは徐々にドル高にもって行き、借金によって旺盛な消費を喚起し経済成長を享受し、やがて赤字が膨らむとバブル崩壊や金融危機を利用し、ドル安を仕掛ける。一気に3〜5割程度にドル安にしてしまうことで何が可能か?一つは通貨安であるが輸出促進であり、もうひとつ長期的な戦略としてドル安による債務の相対安=「借金棒引」が可能となる。そして、そのようなドル安に、一番健気に付きあってきたのはまぎれもなく日本である。

    <海外で使われるジャパンマネーと放置される国民> 
     かつては国際協調の名のもとにプラザ合意、ルーブル合意とドルの減価に甘んじたが、本来、日本の民間企業が合法的に稼ぎだした経常黒字であり、介入自体は米国の自由貿易に悖るものである。為替介入は米国の赤字をファイナンスすることに使われている。昨今まで続いた量的緩和では外資系金融機関を通じた資金の米国環流によって日本マネーが米住宅バブル高騰を支えた。このような政府の金融政策は、全く国民の利益にはつながらにどころか、バブルを支える要因となっている。消費税を上げ、法人税が国際競争力の名のもとに下げられる結果、足りない税収のしわ寄せは、国民の労働環境の悪化、消費衰退、デフレの悪化として生じている。輪をかけて緊縮財政がもてはやされる。
     日本の公的債務は内国債で賄われている。世界からは不安視されておらず、ギリシャのようにはなり用がない。今こそ、通貨戦略を問い、日本の資産を日本人のために用いるべきだ。

    【感想】
     
     偏見だが、エコノミスト、経済コンサルタントと言えば、はっきり言って信用に足らない。彼らは常に、日本の資産の新しい活用を促すために、つまり新たな市場を開拓するために危機を徒に煽ることに精を出す。彼らの主張は、日本の貸し方の多さ=負債総額の多さだけを指摘し、借り方=資産については触れない。例えば、土地を買って借金をしたことだけを嘆くバカたれだ。多くは日本は世界第二の債権国であり、政府の借金は国民の資産であることを指摘せず、財務省発増税に加担する。
     そんな自分の固定観念を打ち払ってくれたのが、岩本沙弓さんであった。彼女は元ディーラーで現在は金融コンサルタントをなさっている。日米加豪の金融機関で働いた実績を持っている。市場の目から述べるだけあって、それだけでもマーケットがどう考えるのかに触れられ面白い。もっと知られるようにいろいろ友達にも紹介しよう。筆者のブログ↓
    http://pub.ne.jp/negiyaki/
     
     ドルショック以降、基軸体制は石油決済と結びついていると言う。ユーロ導入後は原油とユーロの相関があることを示し、サブプライム危機以前に米ドル基軸の立場が危うくなっていることを主張している(基軸体制自体がノンシステムであるので、定義次第でなんとでもいえる。例えば危機後は質への投資から米国債が買われているし…)。
     さらに、歴史的なプライスアクションから導くのは、ほとんど意識されない、ジャパンマネーの米国への資金還流の存在である。統計を分かり易く用いてくれるので読み易くなっている。

  • 衝撃でした。
    歴史、経済の見方が変わりました。

  • どうして日本がデフレなのか、ゆうちょの民営化はどうゆう意味があるのか、現在起きているギリシャ問題もわかりやすかったです。どの本を読んでも、日本はアメリカの言いなりで犠牲を払っている構図が書かれていますが、これも金融面からどのようにアメリカにお金が渡っているか書かれています。テレビや新聞で言われていることを鵜呑みにせず、本当の問題は何か、何が問題なのか見極める力が必要ですね。

  • 元々ドルの価値は金との関係で保たれていたが、原油にそれがシフトし
    原油が高騰するとドルがあがるような相関関係を作り出した。
    しかしながら原油との相関関係はドルからユーロへシフトした。

    ユーロ高を招くためにギリシャを2002年にユーロの仲間入りをさせた

  • グローバル経済に影響を与える世界情勢の様々な事件について、マスメディアでの表面的な報道に惑わされず、誰がどんな思惑で仕掛けて、どんな得をしたのか、という裏側を探る本。自分が今まで物事の表面しか見ていなかったことを痛感させられる。これからの日本の進むべき道についても考えさせられる。

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著者プロフィール

大阪経済大学経営学部客員教授。91年より外資金融機関にて外国為替を中心にトレーディング業務に従事。金融専門誌『ユーロマネー』誌で為替予想部門の優秀ディーラーに選出。為替のプロとして、いま大注目の経済評論家。『新・マネー敗戦』『世界のお金は日本を目指す』など著書多数。

「2013年 『経済は「お金の流れ」でよくわかる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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