古典で読み解く現代経済 (PHPビジネス新書 176)

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569796727

作品紹介・あらすじ

アダム・スミス=既得権、マルクス=金融危機、ケインズ=大不況、負リードマン=財政危機…日本経済の難題に鋭く斬り込む、目からウロコの池田式新解釈。

感想・レビュー・書評

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  • 本書では、アダムスミス、ケインズ、マルクスなどの経済学の古典の解説をしつつ、現代の現実の経済が直面している問題について考察している。
    マルクスやスミスについて解説した前半部分では固有名詞が頻繁に登場し、よみずらいかんじがあるが、ケインズやナイトの理論についての解説は非常にわかりやすい。
    不確実生とリスクの違いについて解説した箇所や、法人税を廃止すべきといった主張が印象的だった。

  • その「古典」に読んでないのが多々あり、まだまだ私には早かったのかも。再読候補。

  • 自分が経済学科卒業の割にはここで出てくる人たちの考え方とかを何一つきちんと記憶していない自分がまず恥ずかしいわけだが、学問として学ぶのと、実世界に出て経済の一翼を担ってから学ぼうとするのだけでも大きくその立ち位置が変わるなぁということも改めて実感しますわな。
    少しずつエッセンスから学ぶことができるので、かいつまんだ理解をするにはいい一冊だが、たぶん専門家からしたら物足りないんだろうな。

  • 経済用語の解説がなかったり、ケインズに関しては一通りの知識があることを前提としていたりするなど、初学者向けではない。
    章末ごとに参考図書がまとめられているので、これから古典を読もうという場合のリファレンスとして役立つかもしれない。
    あと、おそらく著者はハフナー推し。

  • 経済素人なりに読んでみました。
    現在の財政政策や金融政策の立ち位置がよく分かりました。
    政治に対してもどう考えたらよいのかが分かりました。

  • 著者の独自の視点で古典を読み解いている。おもしろかった。

  • 現代社会が抱える問題について、
    古典を読み解きながら考えていく本。

    経済学領域を専門に勉強してきていなかったので、
    やや難解な部分もあったが、
    比較的平易に古典と現代問題について
    書かれていると感じた。

    読書案内として、各章に関連した
    書籍を紹介してくれているところがいい。


    1 既得権を考えるー『国富論』
    2 金融危機を考えるー『資本論』
    3 イノベーションを考えるー『リスク・不確実性・利潤』
    4 大不況を考えるー『雇用、利子および貨幣の一般理論』
    5 自由主義を考えるー『個人主義と経済秩序』
    6 財政危機を考えるー『資本主義と自由』

  • 合理的か否かはわからんが、人間が欲望や保身で行動し、その結果の予測が困難な状況で、経済学という学問は答えを提示できるのか?という疑問を持った。まあ経済学は大学の一般教養でしかやった事ないし、それも殆ど忘れているし、基本的な事は抑えておいた方がよいのかな?と思う。実学というよりは論理・哲学として知っておくことによって、仕事上で使えるエッセンスがあるのなら、多少は日々の生活に役立つ事もあるのかな?と思わないでもない。

  • アダム・スミスの国富論から始まる本書は、マルクスの資本論、ケインズの一般理論から間にハイエクとナイトを挟んで、フリードマンの「資本主義と自由」に至るまでを、現代に通じる経済問題とからめて解説してくれています。

    いつものように解釈に対し賛否あるようですが、私には非常に興味深く、面白く読めました。
    今から国富論や資本論の原著を読み、自分のなりの解釈をはぐくむ、というのは相当時間に余裕のある人じゃないと難しいでしょ。
    そういう生活をしてみたい、と思いつつ、まずは働かなくっちゃね、というのが現実なんで、とりあえずは先生のお話を聴くことに価値を感じます。

    多少?と思う箇所は、池田先生がいつも取り上げる、
    「きのうまで太陽が昇ったことは、あす昇る根拠にはならない」という言葉で、
    これはブラックスワン(不確実性)の問題とは性質が違うのでは、と思うんだよね。
    白い白鳥しかいないと思っても明日には黒い白鳥が見つかるかもしれない。
    これは不確実性の問題だとしても、太陽云々は、地球の自転の話でしょう。
    重さ5.972×10^24㎏の球体が、赤道上で時速1700㎞/hで回っている物理的な運動。慣性の法則の話じゃないですか。
    もし地球が止まれば、椅子に座って安閑としている我々は、追突事故どころじゃない衝撃で壁に叩きつけらるわけで、って壁もすでにないか?
    まあ、そういうことだと思います。
    地球の自転を止める力はいかほどか?
    あるいは太陽を一夜にして消す存在は何物か?というと・・・まあイイケドネ。

    後、重商主義に囚われるのはバカってことだけど、これも半分しか納得できない。「」が本書ですが、
    「重商主義が大好きです。今で言うと国家資本主義ですね」
    重商主義と国家資本主義は、=で良いのでしょうか?
    「金をたくさん貯め込んだ国が豊かなんだ・・・スミスはそれをまったくばかげている・・金それ自体は食えるわけでもないし・・・お金が富を生み出すことはない。これはスミスの昔から分かっていることです」
    哲学的、文学的には議論のある処でしょうが、経済学的には金をたくさん貯め込めば豊かでしょ。
    「真の富は金をつかって買う商品」、と言っても商品だけ積んでおけないでしょう。
    意味不明です。

    後はオモシロかったです。
    特にマルクスが直観した、貨幣の持つ不安感とか、第六講の「資本主義と自由」の章で語られるベーシックインカム制度のもたらす劇的な官僚制度リストラクチャリング。教育バウチャーが引き起こす教育機関の圧倒的効果は、今後の日本が再生する為には、これしかない、ってほど感銘を受けました。

    この本も再読、再再読したいですね。
    教養が詰まっているのは確かです。

  • スミス、マルクス、ナイト、ケインズ、ハイエク、フリードマンの著作を題材に、その思想の解説と、現代において参考にすべき点を解説。ケインズ以降は特に難しくて理解しづらい箇所も多かったが、単なる古典の個別解説ではなく、本書を通して、自由主義経済が現代の状況に有効であるとの一貫したストーリーが流れているため、読後感はよかった。
    経済学は強力な思想のバックボーンとして極めて重要だと思いますが、新書1冊読んだくらいで十分理解できるはずもなく、今後も継続した勉強が必要です。

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著者プロフィール

1953年生まれ。東京大学経済学部卒業後、日本放送協会(NHK)に入局。報道番組「クローズアップ現代」などを手掛ける。NHK退職後、博士(学術)取得。経済産業研究所上席研究員などをへて現在、アゴラ研究所代表取締役所長。著書に『イノベーションとは何か』(東洋経済新報社)、『「空気」の構造』(白水社)、『「日本史」の終わり』(與那覇潤氏との共著、PHP研究所)、『戦後リベラルの終焉』(PHP研究所)他。

「2022年 『長い江戸時代のおわり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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