2022――これから10年、活躍できる人の条件 (PHPビジネス新書)
- PHP研究所 (2012年1月18日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569797601
感想・レビュー・書評
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”2010年12月に癌を宣告された神田昌典さんが、その2週間後に行った講演をもとに書いた本。時代を流れを把握し「日本人の未来は明るい」という論は、破天荒だけど説得力がある。キーワードは、40代人口の推移、成長カーブの周期、会社からNPOへの流れ、エクスフォーメーション&トランスフォーメーション、誰をハッピーにするか。
<読書メモ>
・本書を読み終えたら、すぐに行動に移さないと。
(略)
私はこれから三年ほどで、新しい歴史サイクルがはじまると考えている。明治維新、太平洋戦争終戦に匹敵する社会体制の刷新が起こり、日本という国、そしてアジアという地域のあり方が、いまからはまったく想像できないほどに変わってしまうと予想している。(p.7)
・だけれど、私は、そうした死の誘惑を、拒否した。
その代わりに、「生きる」と繰り返し口に出して宣言した。病気の対策を徹底的に調査・分析し、やるべき行動、治療に専念した。(略)
希望を捨てず、未来を描き、行動を続けた。
その結果、生まれ変わった気分で、再び目の前の仕事に着手できることになった。(p.10)
★未来に対して心の準備をしておくためにも、いま私が想定していることを挙げてみると……(p.23-25から一部を抜き書き)
●2012年には、「効率」「情報」の時代が終焉し、「共感」「つながり」の時代へ本格シフト
●共感の時代のプラットフォームが、フェイスブック。そのアプリの発展により、個人ビジネスがより身近に。ビジネスパーソンが当り前のように副業を開始。
●2016年以降、憲法改正もありうるほどの、社会変化。電力と同様に、教育も自由化の検討へ。今後は中央集権から、地域コミュニティを基盤とする社会体制へ。
●2033年までに、NPOをはじめとした社会事業が、雇用の中心的な受け皿に。国のかたちが変わる。国境に影響されない、新しい世界政府のかたちが見えはじめる。
★はっきりしているのは、これからの10年で、世界は生まれ変わる。その中で、日本は非常に重要な役割を果たせる立場にあるということだ。未来への水先案内人を、日本人が務めることになると言っても過言ではない。(p.25)
・明治維新では、戊辰戦争のときで総死者1.3万人、西南戦争のときも1.2万人。無血革命とは呼べないものの、比較にならないほどの、静かな革命だ。
(略)
そこで、その黒幕は考えた。「どうしたらこの時代の転換点で、犠牲を少なくしながら、スムーズに新しい体制に移れるだろうか?」と。
そして、ある日、彼は、妙案を思いついた。「そうか!『祭り』を使えばいいんだ!」。(p.63-64)
#そして「おかげまいり」が使われた?(人口3200万人中、500万人が伊勢神宮へ参拝!?)
★日本では、なぜデモにならないのか、と疑問に思う人がいる。
それは私たちが戦いではなく、祭りを通して世の中を変えたという記憶が、おそらくどこかに残っているためだろう。
私たちは、ええじゃないかと踊っているように見せかけて、実は、世界より一歩先に、大きな未来の扉を開いていく。日本は、そういう国なのである。
#いいねー。
・デント氏の予測法を極めて単純化して言えば、景気は46歳?50歳の人口の増減によって決まるというものだ。この年代は、人生で最もお金を使う年代であり、節約したくても、出費を抑えられない。(p.86)
#この予測法はたしかそう。
・さっsき話したように、一生のうち、最も消費する年代が、40代後半。とすると、これから10年、彼らが消費を牽引していく。ということは、日本は景気が悪いように見えて、本来は、これから10年は底固いはずなのだ。
「いま不況だから……」という考えは間違いで、「いまはまだいいけれど、これから悪くなる」と考えなくちゃならない。(p.88)
・図3-4(『最悪期まであと2年! 次なる大恐慌?人口トレンドが教える消費崩壊のシナリオ』ハリー・S・デント・ジュニア著 第5章を要約) (p.100-101)
#p.99 にはこんな記述もある。 → 2030年以降、中国に代わって、大きく成長をはじめるのが、インドネシア、マレーシア、タイ、ベトナムをはじめとした東南アジア諸国。その後はインドが躍進。遅くとも2060年には、世界最大のGDP国になると予想されている。
★となると、日本はすごい。
年齢がいけばいくほど、消費が伸びる市場を挙げれば、健康、医療、介護、旅行、そしてスポーツ施設の利用、さらには、なんと宗教がある。ま、宗教は別として、とくに健康医療産業にとっては、とにかく日本は急成長市場であり、今後、国際的に大きな影響力を持つ産業を創れる素地は極めて大きい。(p.107)
★成長カーブにおける各ステージの時期を読み取る3つのヒント
- 導入期、成長期、成熟期は同じ期間
- 成長期のはじまりは、成長スピードが速くなることでわかる
- 導入期のはじまりは、その商品カテゴリーが生まれた(最初に参入した)時期となる
#2007年6月に発売された iPhone だと…成長期のはじまりは iPhone4 が発売され、ぐぐっとカーブの傾きが増した 2010年6月(→サイクルは3年)となると、成長期の終わりは 2013年6月、成熟期の終わりは 2016年6月!
・現実には、ライフサイクルが短い事業に参入することにより、はじめて大きな事業への糸口を見つけることができる。言い換えれば、練習試合に参加しないと、本大会への出場権も得られないのだ。
・企業は、非営利活動を通して、新規事業のための社会ニーズを把握したり、また幹部候補生を養成できることに気づきだすと、自らNPOを創設したり、有望なNPOに対する支援を惜しまないようになってくるだろう。(p.153)
・こうした時代認識のもとでは、「いい大学に入って、いい会社に就職して」という、とりあえずの行動は、もはや限界であることがわかる。鋭い洞察力を持った、未来のリーダーである子どもたちは、すでに、その生き方の限界に気づいてしまっている。(p.157-158)
★以下は、私が自分の息子に伝えるアドバイスとして、書きとめることにする。(p.158-163)
* * *
実際問題、キミがやるべきことは三つ。この三つは、世の中がどんなになろうとも、必ず宝に変わる。だから、つべこべ言わずにやれ。
まず、海外留学。まず英語、そして中国語。(略)
ふたつ目は、ボランティア体験だ。(略)
三つ目は、優秀な人材が集まる場所の空気を吸え。(略)有能な人と同じ空気が吸える日が一瞬でもあればいいのだ。
・そこで変革するのは、いま、混乱し、会社や組織に不平・不満を言っている人なんだ。不平・不満にエネルギーを向けるんじゃなく、変革に向けてリーダーになるほうが、あなたは、よほどハッピーになれるよ。(p.168-169)
・ゲリラ組織がひとつ、ふたつうまくいったぐらいであれば、社会的に大きなインパクトはない。しかし、そうした組織はモデルとなって、まわりに刺激を与える。とくに震災後は、さまざまな社会的な問題に対して、できることからはじめようと、一心不乱に進んでいくリーダーたちが休息に増えだしている。(p.180)
・イン・フォメーションは、世の中から求められている自分を創る。
それに対してエクス・フォメーションとは、自分が求めている世の中を創っていく。(p.182)
・重要なのは、「日本から世界に向けて大切なメッセージを伝えよう」と準備するプロセスそのものが、あなたを世界に近づけていく強力な手段となるということ。
#TEDxイベントを開催し、18分間のスピーチをすることをオススメ。
★図5-4 読書会がもたらす4つの成長ステージ (p.195)
Information(個人にフォーカス 個人能力、スキルアップ)
→ Interformation(身近なチーム 自分で自分を知る)
→ Exformation(自分の世界を外に創りはじめる)
→ Transformation(それぞれが世界観を持っている人とつながる)
・末吉大希氏の読書会
#「Fascinate」からのREAD FOR ACTION:末吉大希
http://www.youtube.com/watch?v=4hXLvZa_T1g
・「何が儲かるかで仕事するのではなく、何に情熱を持ち続けることができるか。それから、はじめないと。つまり、ライフワークだ。ライフワークには、希望退職もなければ、定年もない」(p.205)
★結論から言えば、40代のビジネスパーソンの多くが、これまで組織の中で働いてきた経験を踏まえると、今後、組織を側面から支援するサービス──とくにイノベーションとホスピタリティを提供する役割が、生まれてくるのではないかと、私は考えている。(p.212)
#こういうサービス、やりたいな!
・現在は、終身雇用が崩れ、共同体意識が薄れた。対面ではなく、ネット上での文面でのコミュニケーションが多くなったために、異なる価値観を持った人同士は、何度メールをやりとりしても理解できない。それぞれ自分の価値観に基づき、、会社のために頑張ろうとすればするほど、感情がもつれ、爆発するのは時間の問題。
だから、自社の競争力を生み出すコアの文化を明確にし、不得意分野については積極的にアウトソーシングすることにより、スピーディーに事業展開できる。(p.224)
・もちろん希望退職者は、全員、起業せよ、という非現実的なことを言いたいわけじゃない。ほんの一部から、なんとかしたいのだ。ほんの一握りの人たちが、やる気になってくれれば、その熱が周囲に伝播する。(p.229)
・その不安の中でも、「なんとか、なるっしょ!」と思えるかどうか。「万事塞翁が馬だよね、ははは」と笑えるかどうか。
その違いを、生じる鍵がある。
それは経営者や起業家が集まる場(コミュニティ)にいるかどうかである。(p.234)
★本当に熱中できる仕事に、リスクはない。
そして、それが──ライフワークに出会えた瞬間なのである。(p.238)
・これから10年、あなたが自分らしく活躍したとき、2022年には、どんな夢を実現しているのか。どんな世界になっているのか。描いてみていただきたい。(p.245)
・そこで自戒もかねて、私は人生を七年ごとに分けて、それぞれの年齢で、人間として必要な体験を積むように心がけている。
図7-1 人生ゲームのルールとは?(p.249)
7歳まで 無垢
14歳まで 孤児
21歳まで 戦士
28歳まで 世話役
35歳まで 探求者
42歳まで 破壊者
49歳まで 恋人
56歳まで 創造者
63歳まで 支配者
70歳まで 魔術師
77歳まで 賢人
83歳まで 愚者
★2022年の______と日本(p.266-267)
▼10年後、誰の笑顔を見たいですか?
→妻、息子、(義)弟妹、父母、親戚、
職場で働くすべての人/職場近くの人たち、
ご近所に住む家族、学校に通う子どもたち、
(Facebookでつながっている人を含めた)友人たち(学校、過去の仕事、学びの場 etc.)
日本や世界に住む「この世の中をよくしよう!」と活動している人たち、と、その周りにいるすべての人々
▼そのとき、日本はどのように輝いていますか?
→震災、超高齢化、人口減少、原子力など、2010年代に起こった難題への解決策を見出し、世界に発信&提供している。
その姿を見た世界中の人たちから、敬意と親しみをもって接してもらっている。
▼10年後、あなたが望むことは、すべて叶っています。まわりの光景をイメージして、簡単なイラストで描いてみてください。
→省略
▼あなたが10年後に実現している、とてもワクワクすることを、いくつでも書いてください。
→・自分が関わるすべての人が笑顔でイキイキと毎日を過ごしている。
・自分の得意を活かして、誰かの役に立ち、喜んで対価を払ってもらうことで、生活が成り立ち、後から来る人へそのお金を回している。
・素敵だなと思える活動をしている人を応援し、その人からの応援も実感して、頑張れている。
・想いや志でつながった人たちと、日々新たな仕事にとりくんでいる。そんな組織の中心で働いている。
・あいさつや楽しい声が街中にあふれている。
・日本/海外の敷居がほとんどなく、自由に行き来し、コミュニケートしている。
<きっかけ>
神田さんが「死」を近しいものとして感じてから書いた一冊。今後10年をどのように生きるか。”詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
少し前(2012年)の本だけど、その当時の著者の10年後予測だから、答え合わせ的に読んでも面白いかも。
これからの10年後にも役に立つ内容も多々あった。
・歴史は70年周期で巡る
・人口ピラミッドから未来を予測(特に46〜50歳の人口。そこで経済はピークアウト)
・会社の競争力を作る文化は3つ「経営の効率性」「顧客との親近感」「商品/サービスの革新性」
・この3つは衝突することが多い
・会社の強み、経営者の強みを分けて考える
・夢を抱き外に出よう(英語と中国語を学ぼう)
・イン・フォーメーション、エクス・フォーメーション
・本当に熱中できる仕事に、リスクはない -
著者を踏み台にして、あなたがどう考え、行動するかが大事との言葉に惹かれて読み始めました。
知識を集めるだけでなく、外に発信することも必要だと改めて考えるきっかけになった本 -
これからの未来をみんな考えないといけないと、あらためて思う一冊
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12/3/16 丸善本店
12/3/9
小山哲朗 さま
いつもありがとうございます、
大前研一のアタッカーズ・ビジネススクール(ABS)
事務局 朝倉真希と申します。
昨日、株式会社アイスタイルが上場されました!
代表取締役社長は、ABS第1期卒業生の吉松徹郎氏です。
おめでとうございます!!
今後ますますのご活躍を祈念して、ABSもさらに応援していきます!
さて、いま神田昌典氏の著書
『2022―― これから10年、活躍できる人の条件』
が売れているそうです。
売れている理由のひとつは、
「これから10年、日本人は、世界のあり方に多大な影響を及ぼす」
という冒頭の明るい未来予測が、
政治も経済も混迷期のいま、希望を見出したい人々の心にささっている
からでしょう。
著書によると、2015年まで求められるのは、
描いたビジョンを全世界に提示し、会社の枠を超えて実現できる人材
だそうです。
「多様な人々が触発しあう場を創り、いままでにない価値を創造する能力」
が必要とされているとのことなのです。
そして、特に40代以降の世代には、起業・新規事業立上げの経験を
すすめています。
◇「希望退職を受けても再就職先を見つけるのが困難となっている現在、
会社は、40代社員に新規事業立上げの知識・経験を提供すべき」
◇「この転換期においては、起業力=生きる力になってくる」
(ともに本文抜粋)
年齢にかかわらず、「0から1を生み出す人材」は、
どのような時代でも自らの力で生き抜くことのできる人材です。
ABSはこれまで、新たな価値を創造し、世の中に変革をもたらす人材
を養成してきました。
これから10年、どのように生きるかは 小山哲朗 様次第です。
ただ、どのような時代になっても稼ぐ力を身につけておくに
越したことはありません。
ABSでは、自ら考え、社会で新たな価値を創造していきたい方の
チャレンジをお待ちしています! -
2012年に書かれた本で、今後10年やそれ以降の日本・世界の出来事や変化の予測が多く書かれている。
印象的なのは2024年には会社がなくなるのではないか、の部分で実際にそうなってきていると思う。
・会社では社員が育たない-事業が歳をとるから
・会社では、無から有を生み出す経験が積めない
・一部の仕事をしている社員が抜けると、会社には何も残らない
ここの流れは共感した。
歴史は70年周期も印象的。 -
3章から読みましょう。1-2章は正直筆者らしからぬ妄言の類に近く、ここで読むのを投げ出してしまう方がいそうで大変もったいない(編集者の失敗だと思う)。出版年は古いが、3章以降は時代問わず援用可能な考え方に満ちており、未来予測の一端を体感できるかと思います。
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本書の内容を簡単にまとめると、
・70年周期説(歴史は70年を1つとして繰り返すという説)によれば2022年までに太平洋戦争の終戦や明治維新と同じ程度の社会の大変革が起こる
・このままだと、消費世代である40歳代の人口から、景気の上昇は考えられない
・会社の成長サイクルを考えればそろそろ会社という形態は寿命であり、2024年ころには会社がなくなる
・だから、海外留学やボランティア等をして、リーダーになる決意を抱き、スキルを磨くことで、変革を乗り越え成功者になることができる
という感じ
ただ、そもそも70年周期説が胡散臭すぎる。
70年周期の根拠としている過去の出来事も著者が都合のよいものを持ってきているだけだし、過去3回合致しただけで将来もその周期に適合するはずだとか統計的有意性のない主張だし、、、
なお、1回目では理解できず
2回ほど読んで趣旨はつかめたものの、根拠のない主張を無理やり結論に結びつけているためか非常にわかりにくかった。
【なるほどな点】
自分を超える決意があなたのキャリアを安定させる。
エクス・フォーメーション(内の認識を外に形創る)
検索できない答えに価値がある
本当に熱中できる仕事にリスクはない -
1.この本をひと言でまとめると
未来の予測、そして未来の世界を生き抜く方法
2.お気に入りコンテンツとその理由を3から5個程度
・大人が引きこもるなら、子供たちの可能性と選択肢を奪う(p113)
→グローバル社会待ったなしの感じ。海外へ行く機会を探したい。
・会社というコンセプト自体を革新していくべき(p137)
→今の会社を見つめなおす機会。イノベーションが出てないような気がする。
・NPOで経験を積む(p153)
→会社の外でも成長する機会はある。成長するために自分で作ってみるのも面白そう。
・検索できない答えに価値がある(p184)
→知識は売り物にならない。自分で考える力が必要ということ。
・知識創造時代における成長の四段階(p194)
→読書会の発展型を教えてもらいました。
・起業力=生きる力(p233)
→常に企業を考えることが重要。そういう人たちと付き合うようにしたい。
・過去からの延長線上に夢は描けない(p246)
→自分自身はこれまでの価値観にかなり縛られている気がする。考え直したい。
3.突っ込みどころ
・新しい歴史サイクルに入った後の時代がどのようなものか明確なイメージができなかった
・価値観が大きく変わるというが、変わらないものを見ぬく必要もあるのでは?
4.自分語り
・今やっていることと将来の成長産業とライフワークをどのように近づけるか
・やるべきことが具体的でよい
・ドラッカーの「ネクストソサエティ」を読んでみたくなった