星をつなぐ手 桜風堂ものがたり

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569840741

感想・レビュー・書評

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  • ある事情で銀河堂書店を辞め、縁あって桜風堂書店を任されることになった一整くんのその後を描いた作品。
    前作『桜風堂ものがたり』は、なんともやり切れない現実を突き付けられて楽しいばかりの読書ではなかったが、本作はそこまでつらくはなかった。まあ、ままならない配本や露骨な営業担当など、実際経験したことでもあり腹が立ったが……。でも、前作でどん底まで落ちてしまった一整くんが元気だったり、昔の仲間と笑顔で再会したりと嬉しい場面も多かった。そして前作では語られなかったある人物のその後が描かれていて、胸のつかえがおりた。
    人たらしたる一整くんの周囲に人が集う様は、まるで三国志の劉備や、水滸伝における梁山泊のようだ。ある種のファンタジーとも言えるが、これに近いことは現実に起きているらしい。現実も捨てたもんではない。

  • 「桜風堂ものがたり」を読んで続編も、読了後の後味が良かったなあ、ちょっとした恋心もあり、それぞれの人物達を応援したくなった内容でした。

  • 中学校図書館にて

  • 図書館でふっと手に取った本。えらく過去の事件をひっぱるなあ、と思ってたら最後までどんでん返し的なものはなく、あとがきを読んで続編だったことを知る…
    文章のセンスは好き。
    なんだかふわふわ甘い麩菓子みたいな感じで、特に盛り上がることもなく、安定していて、まあそこが持ち味なのか?
    登場人物が皆いい人すぎて、薄っぺらく現実味がないように感じてしまった私は、ひねくれているのか…。
    本屋さんの裏事情のぞけたのは興味深かった。

  • 桜風堂ものがたりの続編であり完結編、百貨の魔法の続編でもある。

    優しさと幸せだけで作られた1冊。すべてをハッピーエンドで終わらせるなんて実に素晴らしい。「世の中こんなにうまくいくか!ご都合主義か」って思ってしまう人もいるんだろうなぁ。でも、現実じゃない物語だから、こういう全ての人々がめでたしめでたしで終わる展開があってもいいと思う。少なくとも俺は支持する。

    読み終わってからアマゾンのレビュー見たら、星1つの人がいて、そのレビューを読むと「なんでこの本を電子書籍化するのか?」という意味での星一つだった。なるほど確かにその気持ちはよくわかる!(笑

  • ・『桜風堂ものがたり』の続編。
    ・この著者の作品は基本的に不愉快な人が出てこないので安心感がある。
    ・町の書店が減ってゆく現状、読む楽しみを知っている人の減少。本たちへのレクイエムでもあり、かつもう一度そんな世界をという祈りでもある作品。
    ・ものごとが恐ろしいまでにうまくいきすぎるのに白ける人もいるでしょうけど、なんかなし余裕の削られてるきょうびこういうファンタジーがあってもいいでしょと思うしまあ登場人物たちの人徳ってことで。
    ・この本を読むと町の本屋に行って一冊買いたくなってきた。ので、これからちょっとでかけてきます。

    ▼桜風堂に関する簡単なメモ

    【アリス】桜風堂にいついた三毛猫。キャラ的には『同居人はひざ、時々、頭のうえ。』のハルな感じ。パートナーは透ということになるか。新参者の一整をとりあえずは認めてくれたようだ。
    【卯佐美苑絵】銀河堂書店児童書担当。内気。絵が得意(おそらく天才レベル)で『四月の魚』のために宣伝用の絵を描いた。見たものを忘れないという能力を持つ。よく転ぶしすぐ泣く。月原一整に恋愛感情を抱いている。絵本作家になるのが夢。『星をつなぐ手』の表紙カバーの女性は苑絵だろうと思うが?横にいるのは当然一整とアリスだろう。
    【卯佐美茉莉也】苑絵の母。元アイドルで今は子供服ブランドを世界展開している実業家として成功している。柏葉鳴海とはアイドル時代からの友人。
    【桜風堂書店】桜野町の書店。主人の体調が悪く閉店も考えていたところに、職を失って旅に出た一整がやってきて、以前からブログ等で親しくしていたこともありそのまま引き継いだ。一整はゆくゆくはブックカフェにできればいいのではと考えているがどうなるかはわからない。店主は最後まで名前が出てこなかった?
    【小野田文房具店】アリスによくしてくれる人々がいる店。最近沢本来未が滞在している。
    【柏葉鳴海】元スーパーアイドルで今大女優。本好き。かつて脚本家として自分を鍛えてくれた団重彦復活の『四月の魚』を応援した人の一人。長いことエッセイの連載を続けている。卯佐美苑絵の母、茉莉也の友人。
    【風猫】桜野町にある音楽喫茶。藤森章太郎がやっている。
    【金田丈/かねだ・じょう】銀河堂書店オーナー。星野百貨店を興す原動力になった一人である伝説の人物。なんの用事か、わざわざ一整を呼び出した。
    【鹿野有香/かの・ゆか】福和出版の若いが敏腕の編集者。耳も脚も早い。団重彦の担当で『四月の魚』出版の力になった。
    【銀河堂書店】風早の街で一整が働いていた書店。他の作品『百貨の魔法』の舞台にもなった地元から絶大な信頼のある老舗星野百貨店内で百貨店の創業時から営業している。
    【紺碧の疾風】遅咲きの作家、高岡源の人気時代物シリーズ。一整が入荷に失敗し悩む。
    【桜野町】忘れられた観光地。《山間の小さな町に文化の香りが漂う》『桜風堂ものがたり』p.174。《ここは旅の終点ではなく、旅人が旅のその途中に立ち寄るための場所でした。》『桜風堂ものがたり』p.182
    【沢本毬乃】来未の姉。桜野町の小野田文房具店を継いだ。本業は染色家でそこそこの知名度がある。コミュ力と行動力が高い。《だから、桜風堂でわたしは新刊を買うのよ》『星をつなぐ手』p.224
    【沢本来未/さわもと・くるみ】たぶん市松人形のような少女、に見えるインドア派女子大生。傷心のところで姉の毬乃に誘われ桜野町に来て引きこもっている。漫画家志望で「ケンタウロスとお茶を」という作品でデビューするかもしれなかった。そういえば『ドラゴンとお茶を』という小説があったなあ。
    【四月の魚/ポワソンダブリル】かつての人気脚本家団重彦が書いた本。銀河堂書店員月原一整が売るために仕掛けようとしていたが・・・。内容は異なるが、ある意味この本と似たような雰囲気の本ではないかと思われる。
    【商売】《店というものはひとを呼んでからが「商売」だった。》『桜風堂ものがたり』p.300
    【世界への恋文】団重彦にとっての『四月の魚』であり苑絵にとっての絵を描くこと。
    【すずめ書店】沢本姉妹の地元にあった書店。おばあちゃんがやっていて来未はおばあちゃんに喜んでもらいたいと思い漫画家デビューを急いでしまった。
    【芹沢結子】星野百貨店に新設されたコンシェルジュ。『百貨の魔法』の主人公でもある。この巻で一整が出会った。初めて会ったのにずっと昔から知っている気になる妖精めいた女性。
    【船長】妙にタイミングのいいセリフを吐くオウム。
    【大切】《わたしは、誰かの大切なものを奪うことはしない》『桜風堂ものがたり』p.170。タフでつよい三神渚砂のけなげな決心。
    【高岡源】遅咲きの人気時代小説作家。山歩きが好き。一整に一方的ではあるが恩義を感じておりを気にかけてくれていた。桜風堂を気に入ってたびたびおとずれるようになった。
    【団重彦】元脚本家でしばらく名前を聞くことがなかった人物。『四月の魚』で復活を果たす。
    【伝える】《伝えることが大事なんだ》『星をつなぐ手』p.15。
    【月原一整】主人公。銀河堂で働いていたが、とあるできごとの結果いられなくなり縁あって桜風堂を任されることになった。隠れた名作を掘り出す嗅覚を持つ。書評ブログ「胡蝶亭」を営んでいる。
    【透】桜風堂書店にいる賢そうな、たぶん美少年。
    【ハナ】桜野町の文具屋の猫。主人ともどもアリスをかわいがってくれる。
    【福本薫】桜野町町長。桜風堂店主の幼馴染み。もともと出版業界の人。年齢不詳、白髪の美女。
    【藤森章太郎】音楽喫茶風猫の店長。元編集者。妻は現役児童書編集者。引退はしたがいまだ出版には未練がある。沢本来未の救世主になったりする?
    【星のカケス】一整のネット仲間。書店員で本の趣味も近くずっと交流がある。その正体は・・・
    【星野百貨店】風早の商店街にある老舗百貨店。最近経営は苦しいらしい。この百貨店がなくなるときは商店街も運命をともにしそうな感じ。かつて一整が働いていた銀河堂書店が入っている。『百貨の魔法』の主舞台でもある。
    【星祭り】桜野町で行われる鞠姫様の伝説に因む祭。
    【万引き】万引きはその書店を殺す。あるいはその書店で働いていた人たちの人生を壊す。古本屋やけど本屋で働いていたこともあったのでそう実感する。もしこの世に万引きというものがなければぼくはかなりの可能性で新刊本屋を開いていただろうと思う。さて、万引きのせいでひどい目にあったこの物語の主人公、月原一整の人生は・・・
    【三神渚砂】銀河堂書店文芸担当にしてカリスマ書店員と呼ばれる実力者。FM放送で番組を持っている。卯佐美苑絵の幼馴染みで自分の恋心を抑え彼女の恋を応援する。父親は夏野耕陽という著名な編集者で他に女ができて別れることになった。風早の街には母の実家があった。この巻でも《わたしは、誰かの大切なものを奪うことはしない》『星をつなぐ手』p.169と改めて考える。
    【物語】《ひとはいつも、物語を探している。》『星をつなぐ手』p.98
    【柳田六郎太/やなぎた・ろくろうた】銀河堂書店店長。業界では有名な人。妻は銀河堂書店のコミック担当。
    【蓬野純也】ビジュアル的にもすぐれている人気作家。一整の従兄弟。すべてを持っている一見嫌味なタイプだが実のところかなり好人物。セントバーナードのようなと評される。渚砂の持つFM放送に出る機会が増えた。このままいけば二人はくっつくのかもしれない?

  • 桜風堂ものがたりの続編。
    お伽話のようなあたたかいお話。山間にある潰れかけた小さな書店を若い書店員が引き受けていく。
    本好きで書店好きとしては、本当にお伽話のようで、純粋にいいなと思います。

  • 暖かい風が吹いた。
    書店員のその後の物語。オーナー、かっこいいじゃん!
    銀河堂書店とのコラボ企画、ステキだった。
    その後のその後も気になるなぁ。

  • みんな本が好きで、周りの人の事を大切に思っていて、読んでいて優しい気持ちになった。

  • 「桜風堂ものがたり」の後編のような一冊。前作で主人公だった一整のほか、周りの人たちがそれぞれに動き出していく。

    やさしくあたたかな未来を語る、そんな優しい本。心が和みました。何度も読む本のひとつになりそう。

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著者プロフィール

1963年長崎県生まれ。『ちいさいえりちゃん』で毎日童話新人賞最優秀賞、第4回椋鳩十児童文学賞を受賞。著書に『シェーラ姫の冒険』(童心社)、『コンビニたそがれ堂』『百貨の魔法』(以上、ポプラ社)、『アカネヒメ物語』『花咲家の人々』『竜宮ホテル』(以上、徳間書店)、『桜風堂ものがたり』『星をつなぐ手』『かなりや荘浪漫』(以上、PHP研究所)、げみ氏との共著に『春の旅人』『トロイメライ』(以上、立東舎)、エッセイ『心にいつも猫をかかえて』(エクスナレッジ)などがある。

「2022年 『魔女たちは眠りを守る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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