近代日本暗殺史 (PHP新書)

著者 :
  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569855097

作品紹介・あらすじ

 大久保利通暗殺後、犯人である島田一郎を主人公にした小説が刊行されて大評判となった。また、爆弾を投げつけられて一命をとりとめた大隈重信は犯人の勇気を称賛し、そのことで大隈の人気も上がった。日本には暗殺者への同情的文化が確かに存在していたのである。一方、原敬暗殺の真因は、これまであまり語られてこなかった犯人中岡艮一(こんいち)の個人的背景にあった。犯人が抱えていた個人的行き詰まり・挫折感は、現代の暗殺――安倍元首相暗殺事件にそのままつながるものである。 近現代史研究の第一人者が、明治と大正の暗殺を丁寧に語り、さらに暗殺に同情的な文化ができた歴史的背景についても考察する。 [本書で扱う暗殺事件] ●赤坂喰違の変(明治7年) 岩倉具視暗殺未遂事件 ●紀尾井坂の変(明治11年) 大久保利通暗殺事件●板垣退助岐阜遭難事件(明治15年)●森有礼暗殺事件(明治22年)●大隈重信爆弾遭難事件(明治22年)●星亨暗殺事件(明治34年)●朝日平吾事件(安田善次郎暗殺事件)(大正10年)●原敬首相暗殺事件(大正10年)

感想・レビュー・書評

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  • 筒井 清忠 | 研究員 | 東京財団政策研究所
    https://www.tkfd.or.jp/experts/detail.php?id=16

    近代日本暗殺史 | 筒井 清忠著 | 書籍 | PHP研究所
    https://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-85509-7

  •  明治と大正の暗殺8件。ただ原敬事件が本書の4割を占め、ややバランスは良くない。
     結びで触れる昭和期も含め暗殺者への同情が多く、大隈重信は現場で自決した自らの暗殺未遂犯を称賛すらしているのは驚く。著者は、判官びいき、若者への鎮魂文化、仇討ち文化、暗殺による世直し、の長期的文化的背景を挙げる。
     その上で、明治期の暗殺は天下国家を論じる士族中心的、武士道。一方で大正期はマスメディアを意識し大衆社会的で、個人的不幸や社会的不平等に起因。今日にも通じる現代的暗殺の特質は後者に始まると著者は指摘する。

  • 学問書であり、読み物としては全く面白くない。明治編のみで読むのをやめてしまった。

  • 本朝の暗殺への反応でおおきな特徴をあげると
    ①判官びいき
    ②暗殺者の非業の死を悼み鎮魂
    ③仇討ちへの理解
    ④暗殺による革命
    となる
    明治期の暗殺は世直し的であるが、大正期には
    弱者への同情からの政府批判(と、見せかけた
    浅はかな功名心もある)

    本書の出版時期と安倍首相暗殺が重なる(´・ω・`)

  • <目次>
    第1章  明治編
    第2章  大正編

    <内容>
    「VOICE」連載のものをまとめたもの。明治編は割と淡々とした筆致であるが、大正編は、朝日平吾による安田善四郎暗殺、中岡艮一による原敬暗殺を詳細に論じている。面白いのは、この後の昭和に起きる五・一五事件、二・二六事件と共に、暗殺者への大衆の賛美が見られること。これを結びで論じているが、マスコミを含めて、判官贔屓や弱者が強者をくじく、という雰囲気が世間に広がっていたこと、らしい。

  • 明治期の士族による政治的な動機による暗殺と、大正期の大衆社会の到来による思想的・個人的な動機による暗殺との対比が興味深い。

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著者プロフィール

1948年生まれ。帝京大学文学部長・大学院文学研究科長。東京財団政策研究所主席研究員。専門は日本近現代史、歴史社会学。著書『昭和戦前期の政党政治』『天皇・コロナ・ポピュリズム』(以上、ちくま新書)、『昭和史講義』『昭和史講義2』『昭和史講義3』『昭和史講義【軍人篇】』『昭和史講義【戦前文化人篇】』『昭和史講義【戦後篇】上・下』『明治史講義【人物篇】』『大正史講義』『大正史講義【文化篇】』(以上編著、ちくま新書)、『戦前日本のポピュリズム』(中公新書)、『近衛文麿』(岩波現代文庫)、『満州事変はなぜ起きたのか』(中公選書)、『帝都復興の時代』(中公文庫)、『石橋湛山』(中公叢書)、『二・二六事件と青年将校』(吉川弘文館)など。

「2022年 『昭和史講義【戦後文化篇】(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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