猫鳴り

  • 双葉社
3.44
  • (33)
  • (51)
  • (79)
  • (21)
  • (6)
本棚登録 : 330
感想 : 83
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575235890

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 瀕死状態だった仔猫だったもんちゃんは子供のいない夫婦に拾われ、20年の生涯を全うする。
    その生涯を通じてかかわった人々を三部構成で描いている。

    第一部では子供を流産したばかりの信枝の喪失感が描かれる。
    庭に迷い込んだ仔猫を捨てに行く姿、何度でも戻ってきてしまう仔猫の姿はどちらも切ない。

    第二部ではもんちゃんとは間接的にかかわった中学生の行雄。
    思春期の残虐性や衝動性が克明に描かれていて読んでいて気持ちのいいものではない。
    ただ猫とかかわるようになって少しづつ変わっていく少年の様子が救いと言えば救い。

    そしてこの本の圧巻は何といっても第三部。
    信枝はとうになくなり夫の藤治ともんちゃんだけが残されている。
    ともに晩年を生きる一人の老人と一匹の老描。
    猫が老いて死にゆく姿を目の当たりにすることによって、自分の老いと死と向き合う籐治。
    寡黙な一人の老人が若い獣医師の前で落涙する姿は切ない。

    欧米では病気で苦しむペットに対して安楽死を選ぶケースも少なくないと読んだことがあるし、実際小説でも描かれている。
    しかしこの小説に登場する獣医師は「猫よりもあなたが耐えられないのなら、今すぐに逝かせてやりましょう」と言う。
    この台詞に大いに共感した。
    死にゆくことは自然なこと。
    決定するのは人間ではなくあくまでも猫だ。
    安楽死に反対するわけではないが、それも人間のエゴなのかなと。

    猫を飼ったことのある人、飼っている人には辛い辛い小説だと思う。
    特に猫を亡くしたばかりの人は涙なしには読めないだろうな・・・。
    それでも猫への愛情をきっと感じることのできる作品には間違いない。
    ☆の数が少ないのはちょっと作品全体が暗すぎるから。
    全部読むのがしんどかったので。

    • vilureefさん
      ヒョードルさん、こんにちは。

      おお!ここにも猫好きが!!
      ブクログって本当に猫好きが多いですよね。
      ちょっと重いお話ですが、猫を飼...
      ヒョードルさん、こんにちは。

      おお!ここにも猫好きが!!
      ブクログって本当に猫好きが多いですよね。
      ちょっと重いお話ですが、猫を飼うスタンスとしてはとっても共感できるほんでした。


      2013/07/02
    • ユウさん
      こんにちわ!

      私も猫が好きで、猫と暮らしていた事があるのですが最期のお別れの辛さを思い出すと、未だに泣いてします。。。

      また一緒...
      こんにちわ!

      私も猫が好きで、猫と暮らしていた事があるのですが最期のお別れの辛さを思い出すと、未だに泣いてします。。。

      また一緒に暮らしたいのですが、お別れの時の辛さを思うとためらってしまうんです。

      この本は私にとっては、辛く感じるかもしれませんがレビューを見て読んでみたいと思いました!いつも素敵なレビューありがとうございます!
      2013/07/02
    • vilureefさん
      ユウさん、こんにちは☆

      そうですよね~、最期のお別れ辛いですよね・・・。
      私は人生の大半を猫と一緒に過ごしていますが、いまだに看取っ...
      ユウさん、こんにちは☆

      そうですよね~、最期のお別れ辛いですよね・・・。
      私は人生の大半を猫と一緒に過ごしていますが、いまだに看取った事がありません。
      どこかに行っちゃったり、留守の間に逝ってしまったり・・・。
      今我が家にいるにゃん子たちは私が飼い主で室内飼いなので私が看取るんだろうな。
      切ないですよね。

      私の拙いレビューで読んでみたいと思って頂けて嬉しいです。
      ああ、でもどうしよう。
      大丈夫かな、この本。
      なんだか心配です(^_^;)

      .
      2013/07/03
  • ホラーと思い込んでいたら、生と死と猫の話だった。文章がいい意味で生々しくて、気づけば登場人物の気持ちに引きずり込まれる没入感がある。
    黒崎緑の「未熟の獣」の小さい子どもはビスケットをミルクで浸した匂いがするの言い回しが言い得て妙だったが、今回のペンギンの雛に例えたくだり。えもいわれぬ憎々しさ、腹立たしさはいつかどこかで感じた感情で沸々といてくるこの思い、揺り動かす綴り方に感嘆。

    タイトル、猫鳴りも素敵な言葉。

  • 先に読んだ「彼女がその名を知らない鳥たち」とはまた違った趣の作品。

    3部に分かれたお話はかすかにつながってはいるけれど、
    期待していたようなリンクはせず、
    ただただ哀しい最期だった。

    猫を飼ったことがある人なら知っているであろう
    様々な仕草や行動に
    微笑ましく感じながらも
    なぜか切なくなる。
    それはこの先に訪れるであろう結末に気づいているから。

    動物と暮らしている人なら
    ちょっと読むのが辛く感じるかもしれない。

  • 今年、24年近く一緒に過ごした猫を亡くした身には、読むのがとてもつらかった。
    特にモンを看取る場面は追体験しているようでつらくてつらくて、何度も読むのを止めようと思ったくらい。

    でも読み終わってみると、
    不思議とそこには平穏がありました…。

  • 第一章と第二章は読み進めていくことに少し恐怖を感じてしまった、躊躇い、どうか私の想像通りに行かないで、と。
    第三章はまたがらっと変わって感動的。
    私は第二章が好きでした。

  • 荳蛾Κ讒区?縲よ怙霑第オ∫肇縺励◆菫。譫昴?蟄千賢繧呈鏡縺?′豬√l縺溷ュ舌←繧ゅ→繧キ繝ウ繧ッ繝ュ縺励※縺励∪縺??縺ァ謐ィ縺ヲ縺ォ陦後¥縺後?∝ュ千賢縺ッ荳肴ー怜袖縺ォ繧ゆク肴?晁ュー縺ィ菴募コヲ繧よ綾縺」縺ヲ縺上k縲ゆク肴?晁ュー縺ェ蟆大・ウ繧ら樟繧後?∫オ仙ア?縺ッ蟄千賢繧帝」シ縺?%縺ィ縺ォ縺ェ繧九?ゅ◎繧薙↑隨ャ荳?驛ィ縲らャャ莠碁Κ縺ッ縲∽ク咲匳譬。縺ェ逕キ縺ョ蟄舌?隕也キ壹°繧画緒縺九l繧九?らャャ荳?驛ィ縺九i譎る俣縺ッ邨後▲縺ヲ縺?k縺後?∽ク肴?晁ュー縺ェ蟆大・ウ縺ィ蠖シ縺ッ縺ゥ縺?d繧牙酔邏夂函繧峨@縺??ょ?蜿」縺ョ縺ェ縺?サ偵>豌玲戟縺。繧呈戟縺ヲ縺ゅ∪縺励※縺?k縺後?∫宛隕ェ縺後b繧峨▲縺ヲ縺阪◆繝壹Φ繧ョ繝ウ縺ィ縺?≧蜷阪?蟄千賢縺ョ縺翫°縺偵〒蟆大ケエ縺ォ繧ょー代@螟牙喧縺瑚ィェ繧後k縲らャャ荳蛾Κ縺ッ菫。譫昴?豁サ蠕後?∵ョ九&繧後◆螟ォ縺ョ阯、豐サ縺ィ謌宣聞縺励◆蟄千賢縲後Δ繝ウ縲阪→縺ョ縺雁挨繧後∪縺ァ縺ョ隧ア縲
    隨ャ荳蛾Κ縺ォ蜈・縺」縺溘≠縺溘j縺ァ縲檎賢縺ォ譎ゅ?豬√l繧九?阪→縺?≧險?闡峨r諤昴>蜃コ縺励◆縲よオ∫肇縲∽ク咲匳譬。縲∵ュサ縺ェ縺ゥ證励>縺ァ縺阪#縺ィ縺檎カ壹¥縺後?∬ェュ蠕梧─縺ッ荳肴?晁ュー縺ィ貂???@縺九▲縺溘?

  • ほっこり話かと思ったら違った。

  • 猫にまつわる人生

  • 奇妙なホラーサスペンスかと思って手にしたら、見事に泣かされました。猫を通して、生を見つめるお話し。死の匂いが濃いけれど、マイナス寄りにも思えるけれど、読後はそんなに悪くなかったです。

  • 内容紹介

    宿した命を喪った夫婦。思春期の闇にとらわれた少年。愛猫の最期を見守る老人。それぞれのままならぬ人生の途に「奇跡」は訪れた。濃密な文体で、人間の心の襞に分け入ってゆく傑作長編。一匹の猫の存在が物語を貫く。


    平成29年12月19日~21日

全83件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

沼田 まほかる(ぬまた まほかる)
1948年、大阪府生まれの小説家。女性。奈良県在住。読んだあとイヤな後味を残すミステリーの名手として、「イヤミスの女王」という称号で語られることもある。
寺の生まれで、大阪文学学校昼間部に学ぶ。結婚して主婦になり、母方祖父の跡継ぎを頼まれ夫がまず住職となるが、離婚を経て自身が僧侶になる。50代で初めて長編を書き、『九月が永遠に続けば』で第5回ホラーサスペンス大賞を受賞、56歳でデビュー。
2012年『ユリゴコロ』で第14回大藪春彦賞を受賞し、2012年本屋大賞にノミネート(6位)。それを機に書店での仕掛け販売を通じて文庫の既刊が売れ出し知名度を上げた。
代表作『ユリゴコロ』は2017年9月23日に吉高由里子主演で映画化。同年10月、『彼女がその名を知らない鳥たち』も蒼井優・阿部サダヲ主演で映画化された。他の代表作に、『九月が永遠に続けば』、『猫鳴り』、『アミダサマ』。

沼田まほかるの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×