- Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
- / ISBN・EAN: 9784575235890
感想・レビュー・書評
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瀕死状態だった仔猫だったもんちゃんは子供のいない夫婦に拾われ、20年の生涯を全うする。
その生涯を通じてかかわった人々を三部構成で描いている。
第一部では子供を流産したばかりの信枝の喪失感が描かれる。
庭に迷い込んだ仔猫を捨てに行く姿、何度でも戻ってきてしまう仔猫の姿はどちらも切ない。
第二部ではもんちゃんとは間接的にかかわった中学生の行雄。
思春期の残虐性や衝動性が克明に描かれていて読んでいて気持ちのいいものではない。
ただ猫とかかわるようになって少しづつ変わっていく少年の様子が救いと言えば救い。
そしてこの本の圧巻は何といっても第三部。
信枝はとうになくなり夫の藤治ともんちゃんだけが残されている。
ともに晩年を生きる一人の老人と一匹の老描。
猫が老いて死にゆく姿を目の当たりにすることによって、自分の老いと死と向き合う籐治。
寡黙な一人の老人が若い獣医師の前で落涙する姿は切ない。
欧米では病気で苦しむペットに対して安楽死を選ぶケースも少なくないと読んだことがあるし、実際小説でも描かれている。
しかしこの小説に登場する獣医師は「猫よりもあなたが耐えられないのなら、今すぐに逝かせてやりましょう」と言う。
この台詞に大いに共感した。
死にゆくことは自然なこと。
決定するのは人間ではなくあくまでも猫だ。
安楽死に反対するわけではないが、それも人間のエゴなのかなと。
猫を飼ったことのある人、飼っている人には辛い辛い小説だと思う。
特に猫を亡くしたばかりの人は涙なしには読めないだろうな・・・。
それでも猫への愛情をきっと感じることのできる作品には間違いない。
☆の数が少ないのはちょっと作品全体が暗すぎるから。
全部読むのがしんどかったので。 -
ホラーと思い込んでいたら、生と死と猫の話だった。文章がいい意味で生々しくて、気づけば登場人物の気持ちに引きずり込まれる没入感がある。
黒崎緑の「未熟の獣」の小さい子どもはビスケットをミルクで浸した匂いがするの言い回しが言い得て妙だったが、今回のペンギンの雛に例えたくだり。えもいわれぬ憎々しさ、腹立たしさはいつかどこかで感じた感情で沸々といてくるこの思い、揺り動かす綴り方に感嘆。
タイトル、猫鳴りも素敵な言葉。 -
先に読んだ「彼女がその名を知らない鳥たち」とはまた違った趣の作品。
3部に分かれたお話はかすかにつながってはいるけれど、
期待していたようなリンクはせず、
ただただ哀しい最期だった。
猫を飼ったことがある人なら知っているであろう
様々な仕草や行動に
微笑ましく感じながらも
なぜか切なくなる。
それはこの先に訪れるであろう結末に気づいているから。
動物と暮らしている人なら
ちょっと読むのが辛く感じるかもしれない。 -
今年、24年近く一緒に過ごした猫を亡くした身には、読むのがとてもつらかった。
特にモンを看取る場面は追体験しているようでつらくてつらくて、何度も読むのを止めようと思ったくらい。
でも読み終わってみると、
不思議とそこには平穏がありました…。 -
第一章と第二章は読み進めていくことに少し恐怖を感じてしまった、躊躇い、どうか私の想像通りに行かないで、と。
第三章はまたがらっと変わって感動的。
私は第二章が好きでした。 -
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ほっこり話かと思ったら違った。
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猫にまつわる人生
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奇妙なホラーサスペンスかと思って手にしたら、見事に泣かされました。猫を通して、生を見つめるお話し。死の匂いが濃いけれど、マイナス寄りにも思えるけれど、読後はそんなに悪くなかったです。
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内容紹介
宿した命を喪った夫婦。思春期の闇にとらわれた少年。愛猫の最期を見守る老人。それぞれのままならぬ人生の途に「奇跡」は訪れた。濃密な文体で、人間の心の襞に分け入ってゆく傑作長編。一匹の猫の存在が物語を貫く。
平成29年12月19日~21日
おお!ここにも猫好きが!!
ブクログって本当に猫好きが多いですよね。
ちょっと重いお話ですが、猫を飼...
おお!ここにも猫好きが!!
ブクログって本当に猫好きが多いですよね。
ちょっと重いお話ですが、猫を飼うスタンスとしてはとっても共感できるほんでした。
私も猫が好きで、猫と暮らしていた事があるのですが最期のお別れの辛さを思い出すと、未だに泣いてします。。。
また一緒...
私も猫が好きで、猫と暮らしていた事があるのですが最期のお別れの辛さを思い出すと、未だに泣いてします。。。
また一緒に暮らしたいのですが、お別れの時の辛さを思うとためらってしまうんです。
この本は私にとっては、辛く感じるかもしれませんがレビューを見て読んでみたいと思いました!いつも素敵なレビューありがとうございます!
そうですよね~、最期のお別れ辛いですよね・・・。
私は人生の大半を猫と一緒に過ごしていますが、いまだに看取っ...
そうですよね~、最期のお別れ辛いですよね・・・。
私は人生の大半を猫と一緒に過ごしていますが、いまだに看取った事がありません。
どこかに行っちゃったり、留守の間に逝ってしまったり・・・。
今我が家にいるにゃん子たちは私が飼い主で室内飼いなので私が看取るんだろうな。
切ないですよね。
私の拙いレビューで読んでみたいと思って頂けて嬉しいです。
ああ、でもどうしよう。
大丈夫かな、この本。
なんだか心配です(^_^;)
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