海岸通りポストカードカフェ

著者 :
  • 双葉社
3.63
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本棚登録 : 369
感想 : 73
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575237535

作品紹介・あらすじ

いらっしゃいませ。コーヒーをお飲みになりますか?それともポストカードを読みますか?大切な人からの想い、当店が責任もっておあずかりしております。会いたい気持ちをさよならの言葉をたった一枚の葉書に託してあて先は、港の片隅の喫茶店。

感想・レビュー・書評

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  • 時代が進んでも、人間はテレパシーでやり取りし合う能力をまだ獲得していない。だから言葉にしなければ伝わらない。綴らなければ、届かない
    __________________
    印象に残ったフレーズ。

    最近では「言語化」とか「言葉」を取り上げるビジネス本が、売上ランキング上位に入ってたりして、言葉にして伝えるということの重要性を改めて意識するようになったからこそ、考えさせられる作品。

    「空気を読む」「阿吽の呼吸」言葉を介さず意思の疎通を図るのも、経験や習慣の積み重ねの上で成り立つ高度なコミュニケーションとして素晴らしいものでもある。

    けれど、多様性を考えていくこれからは、異なる価値観を持つ他者とどう関わり合っていくか…そのためには、抽象的な事を言葉にできる力が必要になるんだなあと。

    さらに、言葉にしたとしてもそれが真っ直ぐに伝わるとは限らない…。

    そこをさらに補填する役目が、ポストカードにはあるんじゃないかなと、勝手に感じました。

    インテリアとして飾るためでしか購入したこと無かったので、想いを込めるため、という目的で描かれ、ストーリーが広がっていくポストカードは新鮮でした。

  • シリーズ化して欲しい...!!
    様々な登場人物に焦点が当たる、温かい物語が好きなのでまさに私の好みでした( ¯ ¯ )ᐝ
    ポストカードカフェ、本当にあったら通いたいなあ

  •  個人宛てのポストカードを預かり店内で掲示し、宛先の人物に連絡してくれる。こんな超アナログコミュニケーションを推進するカフェが舞台のヒューマンドラマ。

          * * * * *

     ストーリーもライトミステリー仕立てでとても読みやすい。12 話で構成されていますが、全てカフェスタッフの朝陽の語りで始まる設定もうまいと思います。

     ただ残念だったのは、主要人物であるマスターの龍之介や朝陽にまつわる物語の描き方が他の常連客のそれと同じウエイトだったため、全体的に印象の薄い仕上がりの作品になっていたことでした。

     続編を予定しているなら常連客中心、本作限りなら龍之介・朝陽中心での筋立てでいって欲しかったと思います。

     けれど発想が非常に斬新でおもしろく、楽しめる作品だったので、☆4つにしました。

  • ぶらっと寄った図書館で、詩とカフェと、というミニコーナーの展示があって、目があって借りてきてしまった。人の手元に届けられるとはがきはいつしか忘れられてしまう、けれど、カフェでずっと預かってくれて貼っておいてくれれば、気が向いた時に、また見返すことができる。カフェ宛にはがきを出すと、連絡先がわかればその宛先の人に、あなた宛の葉書が来てますが、カフェにいらっしゃいませんか、と招待される。それが縁でかつての教え子と再会した教師。何の事情も説明せずに出ていった料理人の夫からの葉書を何十年も待っている女性。かつて重役、いま認知症だけれど、店の人や客から暖かく受け入れられている男性と、娘とのすれちがってしまった関係。父との思い出に反発するかのように、しかし一部は受け継いでいるかのようにポストカードカフェを開いたマスター。今どきの若者っぽく見えて、胸に熱いものを秘めた店員。先生に謎めいた手紙を出した顔面麻痺に悩むデザイナー。一方的に別れを告げてモデルと付き合い始めた元彼のことを待ち続けたものか悩む女性。客と店員の織りなす物語が、予定調和なようでいて、一筋縄では行かなくて、みなに愛される場があるからこそ紡がれる物語に、しばし身をゆだねる喜びを感じられた。/「自分ひとりの夢も、なかなか叶わないものでしょ」「うん…」「まして、他人が登場する夢はね、もっと難しいと思うよ。自分を思い通りに動かすより、他人を思い通りに動かす方が、よっぽど大変だもん」(p.77)/「だから、たまには会っとかないと、ってなんとなく思ったんだ。じゃないと、だんだん相手に対する文面じゃなくて、自分に対する日記みたいになっていくんじゃないかって」(p.251)/

  • ポストカードっていいですね。
    郵便制度を作ったのは前島密さんだっけ。
    ポストカードカフェなるものを作ったのは・・・。

    手紙をカフェに公開されている。見知らぬ他人に読まれるということは賛否両論あると思う。それでも、残しておいてもらった手紙は、自分が生きた証になる。その時に考えていたことまでわかってしまうから、気恥ずかしいのだけれども。

    ポストカードを・・・、
    というか、手書きであれば何でもいい。
    手紙を書いてみようかと思った。

  • まだ、メールがなかった頃私は、結構筆まめだった。
    常に、絵はがきと切手を持ち歩き、
    何でもないことを書いてはポストに投函。
    私の突然の便りにも、返事を返してくれる人がほとんどだった。
    内容は、どうでもいいことだったように思う。
    思い出せもしないし。
    今、ポストカードカフェがあったなら、きっと私は絵はがきを送る。いつか、そこを訪れる自分のために。
    やさしいけれど、意外とやさしくないことを突きつけられてる、
    そういうお話。現実にも、容赦ないことは多いけれど、救われることも多いものな。そのバランスで生きてるのかも。

  • 壁一面にポストカードが貼られているカフェ。SNS時代になったからこそポストカードを書いてみませんか?じんわりと温かい気持ちになれるお話です。
    【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
    https://opc.kinjo-u.ac.jp/

  • 続きがありそうな終わりかた…
    カフェとみんなのその後が気になる笑

  • 最近は断捨離をしたりして、物を減らす傾向がある気がするけど、昔からあるものを大事にする大切さを改めて感じました。
    ずっと自分の本棚に置いておきたいと思える本です。

  • カフェを通して色々な人間模様が展開。本当にこんなカフェがあったらいいなと思う。

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著者プロフィール

神奈川県出身。2005年『秋の大三角』で新潮エンターテインメント新人賞を受賞。『劇団6年2組』で第29回うつのみやこども賞受賞。作品に、『チームふたり』からはじまる「チーム」シリーズなど多数。

「2014年 『新装版 チームシリーズ 全6巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

吉野万理子の作品

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