- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784575237832
作品紹介・あらすじ
天文19年(1550年)、夏。武田の信濃への侵攻は、ますます激しくなっていた。村上、小笠原、遠藤を中心とした信濃勢と武田晴信との戦いの火蓋が、ついにきって落とされる。真田幸隆、仁科盛明など名だたる豪将がせめぎ合うなか、石堂一徹は、再び天下という夢に向かって動きだす。「若菜と天下を二つながらに我がものとしてみせようぞ」。
感想・レビュー・書評
-
「哄(わら)う合戦屋」「奔(はし)る合戦屋」に続く合戦屋第3弾。
「哄う」では、孤高の天才軍師「石堂一徹」、人望・行政能力はあるが軍事は凡人の領主「遠藤吉弘」、領全体の求心力となっている娘「若葉」。一徹は自らの功名に全く関心がなく戦に勝つことのみに専念するが、それが理解できない周囲の鬱屈へと繋がっていく。
「奔る」では、「哄う」の16年前、一徹があれほど頑なになった過去の悲劇が明らかになる。最後に3人で旅に出て終わったので、もう一冊第2弾「奔る」に繋がる合戦屋が描かれるのを確信したが、「翔(かけ)る」は「哄う」の続編だった。
群雄割拠の信州の史実に、フィクションの人物を見事に織り込み活躍させている。しかも「朝日」「若菜」という女性の描き方が実にすがすがしくてすばらしい。若菜「体の芯から溢れ出てくる豊かな輝きがあり、その動作にも表情にもいかにも生き生きとした個性が躍動している。しかもあくまでも朝露を含んだ新芽のようにきらきらと清冽で少しも崩れたところがない。」
朝日「私は見た通りの体格でございまので、たいへん食が進みます。私も人の二倍食べて三倍働けばよろしいのでございますね。うれしゅうございます。」
また、一貫して一徹の思いは「家臣の才能が主君のそれと比べて釣り合いを逸すると、互いに不幸になるのではないか」ということ。東大工学部卒の作者のサラリーマン生活時代の思いなのかもしれない。
ラストで「一徹は義理堅い性格で、しかも意気に感ずるところがある。景虎から懇望されれば再び立つことがあるやもしれぬ。」と、また続編に含みを持たせている。うれしいやら完結とした方がいいやら。でも第4弾は間違いない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
合戦屋シリーズ完結。作品的には、第一作の続編。
作者も巻末にて触れているが、史実とフィクションは織り混ざって物語は展開。
ただ、そういったことは抜きにして面白い。史実ではないが、微妙に、またうまいこと史実を絡めてきている。石堂一徹の生き方、戦略が見事。 -
合戦屋シリーズ堂々完結。多くの苦悩を抱えつつも乱世に生きる1人の男の生き様。石堂一徹は単に戦人では無く、軍師だけにも収まらず、人であった。正に合戦屋だ。読了後、今でははっきりと謙信の後ろに、架空の人物である石堂一徹の姿が見える。戦国物でこの切り口は面白いな。
-
思わず本当かと思って地図を確かめたり、人物チェックしたり、史実と想像の絶妙のバランス!お見事!
-
いやいや、相変わらず爽快だった。年に何回か戦国モノが読みたくなって、そんな時の最近の定番だった合戦屋シリーズもこの3作目で完結だそうで、なんとも残念。
-
260405読了。
以前一作目を読んだことがあったため、期待先行だったが、拍子抜けした感じ。一作目にあったスピード感に欠けている気がする。
ラストはとりあえずハッピーエンド。かな。 -
ある種のハッピーエンド。
だけど、ぶっちゃけ不満~(苦笑。
なんかさ、TVで言えば
硬派刑事ドラマ観てたら、いつのまにかファミリー人情ものにシフトしてた、みたいな感覚。
■ ■ ■ ■ ■
そうだ 一徹くん!
相手が気にしようがしまいが
マエカノのことを、そんなふうに話すのって
やっぱりどうかってオバちゃん思うよ?
男として「ナイ」わ…。
■ ■ ■ ■ ■
前作・前々作が良かっただけに、敢えて星は2個。 -
合戦屋シリーズ 最終巻
1,2作目までは良かったが、今回はちょっと間延びした感じ。
スピード感がない。
エンディングに向けてうまくまとめようとしたのかも知れないが、
最後まで突っ走ってほしかったなぁ。