ときどき旅に出るカフェ

著者 :
  • 双葉社
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感想 : 336
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575240290

感想・レビュー・書評

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  • 世界のスイーツが楽しめるカフェを舞台とした連作短編集。
    完全にジャケ買い。可愛くって買わずにはいられなかった。
    独身アラフォー女性の元同僚が一人で切り盛りするカフェはそこにいるだけで旅に出た気分になれるお得なカフェ。世界中を旅しているだけあってか否か、日常の謎解きも鮮やか。
    聞いたことのないスイーツばかりでも説明が的確で想像が広がる。食べてみたいものばかり。苺のスープって本当にあるのかなぁ。
    やりたい事に正直な人は芯がぶれてなくてかっこいい。
    訪ねてみたい素敵なカフェでした。

  • 海外旅行、ふらっと行ってみたいな。
    常識だとか、自分が勝手に作り出した自分のしがらみを解くために。

  • こんなカフェが近くにあったら、行ってしまうよね。
    経営者の葛井さんは、とても芯が強くて、でも人当たりもよくて、素敵な人物だなぁって思います。
    一方、主人公の奈良さんもいい人。悩んだり、傷ついたりする描写もある分、感情移入しやすい。
    後半はゴタゴタもあるけど、全体的に幸せな気分になれるお話。
    近藤さんの本は、読みやすいし、食べ物が出てくるお話がとても好き。

  • こういうカフェが近所にあったら、楽しいだろうな。旅はしばらくしていない。カフェに行って、あちこちのお菓子などをいただいてその国に思いをはせて、世界が広がる思いとなっていいだろうなと思う。

    トルコやアラブで好まれているめちゃくちゃ甘いお菓子に驚きながら、
    「でも、同時に世界ってすごく広いと思ったんです。自分が囚われてるものなんて、小さなもので、その枠から出てしまえば、常識だと言われているものが、常識でも何でもないってことに気付きました。」と。
    視点を変えれば、悩みも悩みでなくなるように思い、気持ちが軽くなった。

  • 面白かったです
    ほんわかミステリー
    美味しいカフェに行きたくなります

  • 『フレーズ』
    〇日常の話のような、そうでないような。事件が起きる場所が小さなカフェだったりするだけで、その内容はどちらかといえばよくないことばかり。

    〇気持ち的にいまいちなのがなぜなのか考えてみると、登場人物に共感しないからだとわかった。話のキーパーソンであるカフェのオーナー円は魅力的だが、主人公の瑛子はナレーターが役目でそれ以外何をするでもなし。他の人はやっかいな問題を持ち込んでくる、もしくは問題が発覚する人ばかり。問題解決しても気持ちよくならないし。

    〇話に出てくる料理やデザートはいい感じ。決して具体的に想像できるわけではないが、食べてみたいと感じさせる。

  • 37歳独身、普通のOLが近所に居心地のいいカフェを見つける、そのカフェの店主は元同僚だった。店主が作るカフェのメニューは日本では珍しい世界の料理やスイーツばかり、行かずしてまるで世界旅行をしているようだ。
    聞いた事のないスイーツは美味しそうでネットで調べて食べたくなった。
    そんな中、小さな事件が起こる。結婚、夫婦、パワハラ、家族、介護、どれも現代社会の問題だ。少し心がざわつく、胸が痛くなるお話もあるがサクサクと読める1冊だ。最後には「えっ!そうなの?」と驚かされた。
    世界のスイーツを現代の悩める人に·····。
    コージーミステリー with スイーツ。
    ✩✩✩ 3.0

    「ときどき旅に出るカフェ」

    Menu

    第一話 苺のスープ ······························ 7
    第二話 ロシア風チーズケーキ ·········· 37
    第三話 月はどこに消えた? ················ 65
    第四話 幾層にもなった心 ·················· 91
    第五話 おがくずのスイーツ ·············· 117
    第六話 鴛鴦茶のように ······················ 143
    第七話 ホイップクリームの決意 ······ 173
    第八話 食いしん坊のコーヒー ·········· 197
    第九話 思い出のバクラヴァ ·············· 221
    最終話 ··················································· 245

  • 2018/10/16読了



    ミステリーともいえるし、人生モノでもあるし。
    グルメ小説(食 を題材にしている)ではあるんだけど、いろんな要素を含んでいる。
    小説はこれまでにもいろいろ読んできたけど、その中でもかなり好きな小説となりました。
    主人公が、オーナーである円と程よい距離感のある瑛子だから、円についてのエピソードに関してはある意味第三者的の目線でいられるのも良かったと思う。
    瑛子のどことなく灰色の生活が、カフェ・ルーズの異国文化と料理とオーナーの影響でゆっくり色づいていくのもいい。
    ソファが唯一の場所であった彼女が、豊かな気持ちになり
    幾つかの問題も、円がだすスイーツや人間性や会話を通してヒントとなり解決へと導いていく。
    そのあらゆることが癒しとなっていく。
    とても、読んでいて楽しい作品でした。
    円自身を示すこともある、(最終的に彼女のアイデンティティにもかかわっていく)「異」というものを
    柔らかく解いていくのが、この作品のテーマかなと。


    とにかく、あたたかな気持ちになれる小説でした。よかた!

  • 私にとっては『サクリファイス』の印象が強い作者だけれど、
    自転車競技とはまったく異なる分野のお話もたくさん書かれていて、
    出会う度にちょっとびっくりする。

    今回は、店主が旅先で味わった記憶をシェアするような、
    風変わりで魅力的なカフェの話。

    主人公の瑛子の前に現れる謎に
    店主の円(まどか)が手がかりを与えるという、
    安楽椅子探偵ものタイプの短編集。
    読者には提示されていない手がかりも多く、
    推理小説ではなく謎解きを見届けるお話だった。

    37歳勤続15年の会社員・瑛子が世界で一番好きな場所は、
    中古で買った一人暮らし1LDKマンションの
    二人掛けソファ(オットマン付きの結構いいやつ)。
    両親とは距離をおいており、
    恋人や子どもはおらず欲しいとも思わず、
    趣味もない。
    勤め先の会社に女性は多いが育休社員や退職者の補充はなく、
    リストラされる不安もなくはない。
    その設定でうっすら予想できる彼女の少し憂鬱な毎日が、
    カフェに通い始めたことで変わっていく。

    ドラマにありそうな状況で読み口も軽いが、
    大切なことがあちこちに挟み込まれている。
    生きていると少しずつ響いてくる、大切なこと。
    忘備録みたいだ。
    でも、自然な流れで描かれていて、
    おしつけがましくはない。
    子どもの頃に知っていたら、少し違った人生だっただろうなと思う。
    その知識が今すぐ役に立つのは、
    登場人物たちと同じ女性なのだろうけれど、
    私はこの本を、男性に読んでほしいと思った。
    パワハラとかセクハラとか、介護とか年齢とか。
    自分はそういう話題とは関係ないと思っている男性に、読んでみてほしい。

    出てくるメニューは本当に様々で、知っているものもいくつかあった。
    温かいココナッツミルク、嫌いじゃないけど、
    私も飲むなら冷たい方だなあとか。
    (お豆やさつまいも入りのぜんざいみたいなココナッツミルクって、
    甘いものというよりごはんのおかずっぽくて、
    お茶を飲むときには選ばない)
    激甘の中東のお菓子、昔食べたなあとか。
    (あの頃はなにも考えず、
    ただ、出してくれた人を喜ばせたくてたくさん食べた……。
    どれだけのカロリー……。
    若いって素晴らしすぎる)

    円の恋人の件で、予想があたったのが自慢!
    で、瑛子は円に、ちゃんと謝ったの?

  • 日本食にはない海外の食の取り合わせの妙や 発想が
    不倫や 結婚サギ 子育ての解決策になるのは
    やや 出来すぎですけど夢のカフェですから 
    そこは目をつぶり想像の味を楽しみます

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著者プロフィール

1969年大阪府生まれ。大阪芸術大学文芸学科卒業。1993年『凍える島』で「鮎川哲也賞」を受賞し、デビュー。2008年『サクリファイス』で、「大藪春彦賞」を受賞。「ビストロ・パ・マル」シリーズをはじめ、『おはようおかえり』『たまごの旅人』『夜の向こうの蛹たち』『ときどき旅に出るカフェ』『スーツケースの半分は』『岩窟姫』『三つの名を持つ犬』『ホテル・カイザリン』等、多数発表する。

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