- Amazon.co.jp ・本 (520ページ)
- / ISBN・EAN: 9784575245530
感想・レビュー・書評
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宗教団体「褻」で生まれ育ち、洗脳された子供たち。団体トップの石黒に命令されて大量殺人を引き起こした彼らは無罪とされたのにも関わらず、世間からは冷たい扱いを受けて生きていた。ある日石黒の死を知らされた彼らに、何者かが襲撃を仕掛けてくる。刺客に対抗するため、彼らは協力して策を練ると同時に、自らの過去にも向き合うことになる。重苦しい読み心地だけれど、スリリングなミステリです。
恐ろしい事件に「加害者」として関わったとはいえ、当時は子供でしかなかった彼らはたしかに「被害者」なのだと思いますが。しかし世間に受け入れられないという事情も仕方がない気がして。とにかく彼らの境遇が不憫でなりません。特に誰一人殺していないのに責任を負わされるって……それはない。忌避するだけならまだしも、事件にも何の関係もないのに叩く人たちの悪辣さが醜いです。関係のない人の不幸が娯楽だというのはまさしくそうなのかもしれないなあ。
味方になるのはお互いだけ、それでも完全には信じられず、世間の目と刺客に怯える彼らの先行きが非常に不安でした。未来に希望なんてまるでないと思えるけれど、必死に生き延びようとする彼ら。刺客の目的が何なのか、そしてそもそも刺客の正体が何者なのか。孤立無援で絶体絶命な彼らの運命に寄り添ううち、何としても彼らには生きてほしいし救いがあってほしい、と思えるようになります。つらい読み心地なのだけれど、読む手は止まりませんでした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
熱い。逸木さんの最新作は、身も心も熱くなる活劇小説だった。
14年前に宗教団体〈褻〉で起きた惨劇。逃げ場もないまま信者たちが一人、また一人と狩られていく。5人の殺人者は10代の少年少女で、団体トップの石黒望に戦闘術を仕込まれていた。そして現在、彼らの命を狙う〈刺客〉が現れた……。
衝撃の冒頭から終幕まで、休む間もなく描き出される恐怖に圧倒された。彼らに罪はないのか。贖罪の意志はあるのか。犯罪者と犠牲者、狩る者と狩られる者の立場が入れ替わったとき、真実が現れる。 -
すごく面白かった。なぜこんなに評価が低いのかわからない。
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02月-11。3.0点。
かつての宗教団体で育った子供たち。ある事情で「生存者」と呼ばれ、困難な人生。子供たちを「調教」した教団関係者が死亡したとニュースが。。。
途中、中だるみな感じがあり、読むのに時間かかった。テーマは良いと思うがいまいち感情移入できなかった。 -
5人の子どもたちを殺人兵器として育てあげ大量虐殺を行った宗教団体。彼らは「生存者」と呼ばれ社会の中で息をひそめて生きてきた。14年後、再び五人は行動を共にすることになる。最初は面白く読んだのだけれど途中から少しテンポが悪くなったような気がする。真相はあまりスッキリしなかった。
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いやー,長い作品だった。そのせいか,紙が薄くてページがめくりにくかった。なんとも言えないエンディング。スッキリ解決した感はないし,救われる話でもなければ絶望的でもない。もやもやした感じが残る。
山中の新興宗教の居住地で14年前に起きた,教団スポンサーが主犯の信者皆殺し事件。信者たちを手に掛けたのは主犯の石黒望と,石黒が教団に捨てられた子供たちに軍事訓練を仕込んで作り上げた殺人機械たち。事件後,石黒は単独で逃走し子供たちは保護され,少年法と石黒の洗脳を理由にお咎めもなく,世間からは生存者と呼ばれるようになった。生存者の子供たちは法的には裁かれなかったが世間からの迫害は厳しく社会からはじき出されるようにして生きてきた。その一人夏目わかばがある夜謎の人物に襲われる。わかばは相当な手練だと認識するが辛くも逃げ切った。実はこれに先立ち石黒が長野の自宅で死んでいたことがわかった。これを皮切りに,生存者5人を何者かが狙っているらしいことが分かってきた。特に事件後に連絡を取ってこなかった5人は自衛のため再集結し,刺客を撃退すべく行動を始める。
しかし実際,洗脳された幼い子供たちに事件を回避する手段はなかったはずで,それを世間がしつこく糾弾し続けるというのは無理があるように思った。 -
新興宗教、褻(け)。そこで教育されていた子供たち。彼らの辿る壮絶な道のりとは。
前半部は緊張感が高まり不穏さが充満していくが、後半部はグダグダとしてしまうだけでミステリとしてははっきり言って退屈(そもそも本書はミステリではないが)。面白そうな題材だけにもう少しどうにかなるのではないかと感じた。 -
始まりから終わりまでずっと暗い。痛々しい。
暴力のシーンだけがやたらとリアルで読んでいて気分が悪くなった。