天国からの宅配便 あの人からの贈り物

著者 :
  • 双葉社
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感想 : 30
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575246049

作品紹介・あらすじ

大切な人へ、あなたが最後に贈りたいものはなんですか? 依頼人の託された遺品を届ける「天国宅配便」の配達人が贈る心温まる感動の物語、待望の続編。

感想・レビュー・書評

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  •  「天国宅配便」の第2弾…。「天国宅配便」とは、依頼主の死後、預かった遺品をしかるべき人のもとに届けるサービス、配達は七星律という女性が担っている…。今回も4作の連作短編+エピローグという構成です。

    ・父とカメラと転売人:以前お笑い芸人を目指していた男性が主人公、現在は転売業だが仕事で知り合った人から 高価なカメラを託され、その人の息子探しをすることに…。
    ・七十八年目の手紙:主人公の女の子は、祖母に届いた天国宅配便の文字を解読して読んであげたい一心で行動を 起こすのだが…。
    ・最後の月夜を君と:温室を構える富豪の跡取り息子と、庭師の女性との約束と、ヒスイカズラの花言葉…。
    ・わたしの七人の魔女:7人の老女から、今はバイトで生活をつないでいる女性に贈り物がされる…。
    ・エピローグ:「天国宅配便」が依頼主から受取人に届かないケースについて触れている。

     転売人の基樹のお話は、お笑い芸人を目指していたことだけあって、読んでいてちょっと笑えたりして、よかったです。一番じんわり染み入ったのは庭師の岩子と跡取り息子の広之のお話です。ヒスイカズラ、実際に見たこともあるんで、なおのこと心に響いたんだと思いますが、いいお話でした。どのお話もやっぱりすごくよかったです。この作品って依頼人はすでに他界しているわけだけれど、その依頼人が受取人に遺品とともに、これから先の人生をポジティブに生きるための気づきを与えてくれるんですよね~。

  • ご依頼の人の遺品を、しかるべき方のところへお渡しするという「天国宅配便」の続編である。

    今回も七星が、白い羽根のマークのロゴが入った灰色の制服でしっかりと配達する。
    渡して終わりだけではなく、預けた人の最後の想いまでを丁寧に届ける七星に依頼人も嬉しいだろうと思う。
    今回もさまざまなものを届けている。
    どれもが心のこもった素晴らしい贈り物だった。

    第1話 父とカメラと転売人
    第2話 七十八年目の手紙
    第3話 最後の月夜を君と
    第4話 わたしの七人の魔女

    1話は、転売業をする及川が受け取ったのは、やりとりをしたことのある人からの遺品の高価なカメラだ。
    本当は、息子に譲るつもりが行方が知れず…
    及川が息子を探してよからぬことを企んでいたが、実際本人と会うと、今までの自分の親不孝を恥ずかしく思えてきて。

    2話は、ひいおばあちゃんに届いた手紙が何を書いているのか読めず、小5だけど諦めずに勇気を持って外国の人たちが住んでる近くで声をかけてる。
    次々といろんな国の人を紹介されて協力してもらうが解明できず…。
    ついに自分で見つけたのは暗号化しているという手紙だった。


    3話は、造園業を営む父と出入りしていた矢井田家の温室で出会った年下の泣き虫な男の子に植物のことを教えていた岩子。
    それから時は流れ、男の子も矢井田家当主になり岩子も父の後を継いだ。
    亡くなった当主が渡したモノ。
    それは温室で満月の晴れた夜。
    月明かりを受けて光る青い花は、2人で植えたヒスイカズラだった。
    花言葉は、私を忘れないで。

    4話は、森山亜美が子どもの頃に図書館で優しそうなおばあさんを見つけては声をかけて1日泊めてもらっていた。月曜日はこの人で火曜日はこの人、というふうに7人のおばあさんの家に行っていた。
    その当時亜美はこの辺りをたむろしている迷惑な放置子として有名だった。
    しかし、児童相談所の知ることとなったのだが。
    7人のおばあさんが亡くなったあとに亜美が受け取ったモノ。
    それは思い出のあるものがすてきなネックレスとなっていた。

    どれも心に沁みる話だった。

    特に3話は、会いたいけど会えない想いや伝えたい気持ちを胸に秘めて大人になった岩子の心情がとても切なく思えた。




  • なんとなくタイトルからして悲しいのかもしれないと思って読むのを避けていたんだけど、また図書館で読みなさいとばかりに主張して鎮座していたので観念して借りてきた。
    私、なんでずっと読まずにいたんだろうって位優しい話ばかりだった。
    悲しさの欠片もなかった。
    どの話も良かったけど、私は七人の魔女のお話が一番好きだったな。
    自分がちゃんと愛されていたと知ったら人はきっと強く生きていける。

    • かなさん
      翠さんおはようございます♪
      こちらの作品…私、読んでいて泣きましたっ…。
      ただ悲しいだけでなく、優しい読後感が得られますよね。
      ぜひぜ...
      翠さんおはようございます♪
      こちらの作品…私、読んでいて泣きましたっ…。
      ただ悲しいだけでなく、優しい読後感が得られますよね。
      ぜひぜひ「天国からの宅配便」も手にしてみてくださいね。
      2023/12/11
    • 翠さん
      かなさん、こんにちは(^^)
      いつもありがとうございます。
      この本まさかの続編だったのですね!
      とても良かったので、もう一冊の方も読んでみた...
      かなさん、こんにちは(^^)
      いつもありがとうございます。
      この本まさかの続編だったのですね!
      とても良かったので、もう一冊の方も読んでみたいと思います。
      2023/12/11
  • 天国からの宅配便続編。かなさんレビューありがとうございます。
    またうっかり寝る前に読んでしまい涙止まらず寝付けなかった。
    父親と息子との分かり合えなさ、戦時中の収容所での友情、秘めた想いを温室で育てあったその後、近所のおばあちゃまたちとの演技指導など、登場人物毎に物語の設定が変わり、独特な空気感を持つな魅力的で人たちが多い構成。展開のわかりそうでわかってなくて種明かしされる。
    生前に伝えきれなかった想いをかかえていた側の心情を考えるととても切ない。伝えたかったことを届けられたら、それぞれに新しい息吹が生まれるような心地よさ。
    七星のおひさま満腹教はいいなあ、今からしよう。
    「お腹いっぱい食べて、日に当たると、だいたいなんでもOK」

    • かなさん
      ベルガモットさん、おはようございます(^^)
      読んでいたでけて嬉しいですっ♪
      私も、泣くの、我慢できませんでした…。
      このお話に出てく...
      ベルガモットさん、おはようございます(^^)
      読んでいたでけて嬉しいですっ♪
      私も、泣くの、我慢できませんでした…。
      このお話に出てくる「ヒスイカズラ」
      独特の色合いで一度見たら忘れません。
      だから花言葉も「私を忘れないで」なのかなって…
      続編出してくれるといいですよ、ね!!
      2023/12/04
    • ☆ベルガモット☆さん
      かなさん、コメントありがとうございます!!!
      気づいてなくてお返事が今になってしまい失礼しました<(_ _)>
      そうなんです、涙腺が崩壊...
      かなさん、コメントありがとうございます!!!
      気づいてなくてお返事が今になってしまい失礼しました<(_ _)>
      そうなんです、涙腺が崩壊してしまう切ないお話でした。
      ヒスイカズラ、せっかくなので調べてみました。
      ほんと、独特の色合いですね!続編あるとまた読みたいです♪
      2024/03/06
  • シリーズ2作目。
    亡くなった人から届く宅配便っていう設定自体が、なんとも切ない。
    今作も自分と重ねたりしながら読んだ。
    第3話「最後の月夜を君と」が一番好きだった。
    宅配便の中身がわかってからラストの辺りが、二人の関係性を表していて素敵。
    また続編があるといいな。

  •  遠く離れてしまった人に気持ちを伝えておきたい。そんな願いを託せるサービスがある。
     ただし気持ちを込めた品が相手の手に届くのは、依頼人の死後になる。それがこのサービスのルールだ。 
     それでも自分に死期が近づいたことを覚った人はさまざまな気持ちを込めて、この宅配サービスを利用する。
     そのサービスの名は「天国宅配便」。

     気持ちを伝える側と伝えられる側。それぞれの思いを切なく描くヒューマンファンタジー。シリーズ2作目。
              ◇
     若い頃にコンビ漫才師を夢見た及川。夢破れた今では、転売屋というダークな稼業で暮らしを立てている。「小さな商社」だと見栄を張ってはいるが、胸を張れる仕事でないことは自覚しているので気持ちは荒む一方だ。

     ある日、「天国宅配便」の七星という配達員が届けにきた荷物。中身は高級カメラだった。
     依頼人はカメラマニアの老人。かつて同好の士を装おって近づいた及川が、値打もののカメラを何台か安く譲ってもらった相手だ。もちろんカメラは、密かに転売してたんまり儲けたのである。

     件の老人が仲違いして家を出た息子にと思って残しておいたというのが送られてきたカメラで、ライカのレア物だ。本体だけで100万円はする。
     荷物はもう1つあって、それは息子の成長を記録したアルバムだった。

     当初はカメラを売り飛ばす気満々だった及川だが、アルバムを見るうちしんみりした気持ちになり、息子を探すことにした。 
     プロのミュージシャンを目指し、父の反対を押し切って家を出たという息子。その足取りを追ううち及川の心境にも変化が訪れ……。(第1話「父とカメラと転売人」)全4話およびエピローグからなる。

          * * * * *

     これまで言えなかった気持ちをその人に伝えたい。これはよくわかります。でも、相手に届けられるのは自分の死後という設定には驚いてしまいました。

     けれど、読み始めると不思議に違和感がなくなりました。この宅配業者なら申し込み時の対応で信頼できると依頼人もわかるだろうから。( エピローグからも、この宅配事務所のスタンスを推し量ることができますね。)

     どれもいい話でしたが、特に気に入ったのは第2話「七十八年目の手紙」です。
     一生懸命な仁美の描写に、まっすぐな純粋さや優しさがじわじわ感じられて、思わず感情移入してしまうほどでした。
     相手をまっすぐ思いやる心は国境をも越えるんだ。ステキなメッセージだったと思います。

     第3話も感動的だったけれど、岩子さんには家庭的な幸せもつかんで欲しかった。
     このまま広之の思い出を抱いて一生涯を独り身で生きていくのかな。岩子さんのその後が気になります。

     続編があるなら、社長さんや七星律さんがこの仕事に就くことになったいきさつを読んでみたいと思っています。

    • かなさん
      Funyaさん、おはようございます!
      このシリーズ、ホント、続編を期待したいですよね!!
      この作品に出てくる「ヒスイカズラ」、
      すごく...
      Funyaさん、おはようございます!
      このシリーズ、ホント、続編を期待したいですよね!!
      この作品に出てくる「ヒスイカズラ」、
      すごくきれいな色なんですよ(^-^)
      ネット検索すると、すぐに出てくるんで、
      よかったら見てくださいね、
      この作品を読んだ後だと、また違って見えると思います。
      2023/10/13
    • Funyaさん
      かなさんへ

       コメントありがとうございます。
       ヒスイカズラ、検索しました。確かに美しい。華やかというより神秘的な美しさですね。かなさんは...
      かなさんへ

       コメントありがとうございます。
       ヒスイカズラ、検索しました。確かに美しい。華やかというより神秘的な美しさですね。かなさんはじかにご覧になったことがあるのですね。羨ましい。余談ですが、花の蜜はオオコウモリの好物とかで、生き物好きの私にとっては嬉しい情報でした。検索してよかったです!

       実は1話目を読んでいるときに、かなさんのレビューが先に投稿されたことに気づきました。かなさんが☆5つをつけていらっしゃるのを見て、これは間違いなくいい作品なんだとわかって、安心して読めました。(レビューは、作品を読み終わってから拝見しました。)

       実際、各話とも読後にため息が出るほどの余韻を感じる作品でした。さすが我が師、その目に間違いはないと再認識できてひそかによろこんでいます。

       続編が出て欲しいと願ってやまないのはもちろんですが、早く1作目も読みたいと気が逸ります。
      2023/10/13
  • 初読みの作家さん。
    悪くはないが、今ひとつ。
    (前作があるとは知らなかった。しかしそちらも読んでみようという気は残念ながら起きない)

  • 今回もほっこり。
    ぎゅっと胸が苦しくなることもあったけど
    最後はあったかい。
    7人の魔女、素敵だ。
    今が続けば良いと思ってしまうけど
    愛を持って手放すことも時には必要だ。

  • 前作同様要所要所で涙。
    今回はなんだかこの宅配業者の存在が現実に実在するものとして物語を読み進めることができた。
    人生最後に誰かに届けてほしいものがあるとしたら自分はどうするだろう。
    届けたあとの反応を知ることが出来ないなら生きているうちに届けたいなと思ってしまう現実主義の今日このごろ。
    もう会うことのできない人に受け取ってほしいものがあるとしたら死期をみたタイミングがベストになるのか。。
    色々考えてはみたけど送るより受け取るほうが嬉しいのかもしれないな。

  • <落>
    あれ,いきなり面白い読みやすいな,と思った。著者の前作を読んだ印象だと なんだかなーで,もろ手を挙げて面白かった記憶は無いのだが。二作目の方が面白くなることもあるのかなぁ。まあ あるのだろうなぁ。そしてそういう作品を読めた事がこれまた嬉しいのだ。

    前段に書いた様にどのお話もプロットはとてもいい。だから読み始めは大変興味が沸いてきて,おっこりゃどういう話の展開になってゆくのかなぁ とワクワクする。ところが 最後の オチ がいけない。いけないというより オチ が無い。例えば「仁美は去り行く彼の後姿を見つめた。」みたいな三文小説で仕方なく終わる時の文章に成り下がっている。途中まで面白い話題と登場人物とで引っ張って来てる最後にはこのように見事にこける。作者もなんとかしたいなぁ,とは思っているのだろうが実はそこが難しいんだよね。やれやれ。

    気になる描き方が本作にもあったので書き置く。本文212ページから引く。「亜美は(大型バイクのライダーである) 七星がバイクにまたがった後で,後部座席に乗り込んだ。」おいっ その書き方はどう考えても車の場合だろう。バイクの場合は「後部座席にまたがった」と云った方が良いぞ。とは言ってもこの作者はバイクの後部座席にまたがった実体験が無いんだろうな。だから同じ乗り物の車の表現しか知らないのだ。これまた やれやれだ。

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著者プロフィール

小説家

「2022年 『お銀ちゃんの明治舶来たべもの帖』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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