1993年の女子プロレス

著者 :
  • 双葉社
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感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (476ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575303261

作品紹介・あらすじ

かつてプロレス界には想像を絶する"危険な季節"が存在した-。世界最狂団体全日本女子プロレスの真実。死をも恐れぬ表現者たちの証言。

感想・レビュー・書評

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  • 女子プロレス界に伝説を残した選手たちとスタッフ、これからを担っていく選手たちのインタビュー集。
    当時爆発的な人気を博し、多くの名勝負を生んだ全日本女子プロレスの選手が中心。
    同じ人物、同じ出来事でも色々な人の口から語られることで違った面が見えてすごく面白かった。
    ある選手にとっては仏のようだった人が別の選手からは恨まれていたりとか。
    多くの選手が証言しているように全女の運営方法や体質は狂気に満ちていて、選手を心身共に破壊するようなやり方が目立つ。選手の血や生命を金に替えておいて給与は支払わなかったりする。いいか悪いかでいったら確実によくはないんだけど、一方で自分はこんなに生命を賭けて何かに取り組んだことがあるだろうか?と振り返らずにいられなかった。

  • どのインタビューも読み応えあり。
    僕は後追いで対抗戦時代の女子プロレスにハマって、長与千種とガイアのファンになったのが、95年頃だったと思う。

    それまで、まったく女子には興味なかったんだけど、レンタルビデオ店でプロレスのビデオをほとんど全部観てしまったので、何となく女子プロレスを観てみたのがきっかけ。そこから一気にハマった。

    で、この本に出てくる人たちの試合を、追いかけてた。

    その頃、女子の試合は観てて怖くなる試合があった。技の危険も有るし、感情剥き出しでぶつかり合う姿勢も、怖かったんだけど、一方で刺激的で魅力的だった。

    本書で選手たちがどう思ってたか?というのが、かなり突っ込んで語ってる。こんなことまで、喋って良いの?とあのも有る。読み応え有り。

    個人的にはFMWとLLPWの選手が入ってるとさらに良かったかな。風間ルミ、シャーク土屋、あとは神取忍。

  • ナイキの赤いジャージを履いてた小学生時代、プロレスごっこの時はタイガー役にはなれず必ず小林邦明役に甘んじていた。しかし、長与千種役は必ず死守でき、高らかに「炎のバイブル」を歌っていた。最狂軍団全女。生で観たブルの金網ギロチンは神々しかった。

  • 柳澤健の「19●●年の○○○○」シリーズ、最後に残った作品。
    90年代に突如始まった女子プロレスの団体対抗戦時代に活躍した
    12人の女子プロレスラーと1人の関係者へのインタビュー、そして一篇
    のコラムから成る、もの凄いボリュームのノンフィクション。あの奇跡
    の時代の当事者たちが、世界最狂のプロレス団体(文中より)である
    全日本女子プロレスと、全女を中心とした団体対抗戦に対する思いを、
    文字通りぶちまけている。

    僕は基本的に女子プロレス否定派なのだが、ある時期だけ、真剣に
    女子プロを観戦したことがある。その時期が正に90年代中盤であり、
    団体対抗戦の時代。爆発する機会となり、終電が終わってもまだ試合を
    やっていた、という伝説の横浜アリーナ大会から、集大成となった
    東京ドーム大会まで、カギとなる興行は全て生観戦しているのだから、
    かなり熱くなっていた筈である。

    そして、この本には間違い無く対抗戦時代の主役だった北斗晶と神取忍
    へのインタビューが無い。神取にはそもそもインタビューを行っておらず、
    北斗はインタビューこそあったものの、単行本への収録を拒否された模様。
    それが決してマイナスにならず、逆に作品にリアリティを出しているのが
    凄い。

    そして、最狂の代名詞に相応しい全日本女子プロレスの凄さが浮き彫りに
    なる作品でもある。現在はプレミアムが付き、入手困難な本だが、気合い
    の入ったマニアなら絶対読むべき。かなり凄いです、コレ。

  • 2013年3月1日

    デザイン/金井久幸、鑓田佳小里(Two Three)
    写真/平工幸雄、島村健、渞忠之、双葉社資料室

  • 対抗戦で隆盛期を迎えた1993年前後にスポットライトを当てて、全12選手にインタビューした一冊。
    主に全女の狂気をあぶりだしつつ、対抗戦の頃を描いているのが面白い。

    『1985年のクラッシュギャルズ』と併せて読むと、女子プロの移り変わりがよくわかるので、女子プロファンは元より、プロレスファンは必読。

  • 全日本女子プロレスの興亡を、93年前後のレスラー達へのインタビューを通してふり返りながら、浮き彫りにした本。「1976年のアントニオ猪木」が面白かったので、この本を読んでみたが、リアルタイムで見ていなかったので、YouTubeを傍らに読み進めることとなった。実際に動画で、ブル中野の金網てっぺんからのギロチンドロップには度肝を抜かれたし、広田さくらのパフォーマンスには笑わされた。職業として割り切るべきはずのプロレスが、己の体ならず命までも削りながら、常軌を逸し過激にエスカレートしていく様は、クレージーと思いながらも、理解できるところがあった。実際男女問わず多くのレスラーが若くして亡くなっているが、彼・彼女たちの人生はリングあってのもので、その中で死んでも本望なのかも知れない。

  • これは力作。
    ゆえに、要の北斗晶のインタビューが掲載許可出なかったというのが残念。
    とりあえず、業界というか全女がどんな団体だったかが今更ながらよくわかる。YouTubeとかで本書で話題になっている試合などは見ることは出来るのだけど、あの当時その現場にいなかったということが実に悔しく、そして気付かなかったことを後悔してしまう。
    腕立て一回も出来なくて入団した広田さくらのインタビュー、緩さとぶっ飛び方がマッチしていて、何か永沢さんの”AV女優”を読んでいるような感覚になってしまった。
    個人的には、風間ルミも一つ読んでみたかった。
    今は銀座の街が私のリングですという、ライオネス飛鳥の会員制クラブ。いつか行ってみたい。

  • 「ミネルバの梟は黄昏に飛び立つ」。ヘーゲルの言葉を引いて、1993年の対抗戦で女子プロレスが放つ異常な輝きを描いています。金網最上段に立つブル中野の週プロ表紙に驚愕したことを思い出しました。その輝きを作り出したのは、筆者曰く、世界最狂の団体という全女というクレージーな空間と、それに負けないくらい本能的なレスラーたちのエモーションの歴史でした。この本で初めて抑え込みルールの存在を知りプロレスというジャンルの奥深さをまた感じました。

  • 1993年を中心とした女子プロレスの歴史書にして、
    今の時代では信じられないほど狂った世界で輝いた当時の選手たちの証言を基にしたインタビュー本。
    いかに語られる話が過激であるかは、本書の帯の言葉をざっと眺めるだけでも伝わることだろう。
    掘り下げても底の尽きない話の数々が、500近いページ数(しかも1ページが二段構成)に表れている。
    当時の女子プロレスを全く知らなくとも、狂いながらもどこか美しき様式美を感じるその世界を覗いてしまえば、
    関心を持たずにはいられない興味深い話の数々であった。

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著者プロフィール

1960年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部卒。文藝春秋に入社し、「週刊文春」「Sports Graphic Number」編集部等に在籍。2003年に退社後、フリーとして活動を開始。デビュー作『1976年のアントニオ猪木』が話題を呼ぶ。他著に『1993年の女子プロレス』『1985年のクラッシュ・ギャルズ』『日本レスリングの物語』『1964年のジャイアント馬場』『1974年のサマークリスマス』『1984年のUWF』がある。

「2017年 『アリ対猪木』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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