真相 (双葉文庫 よ 15-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (341ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575511000

感想・レビュー・書評

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  • 面白かった。読みやすい。

  • ある意味、身勝手な主人公たち(運命に翻弄されるも含む)を中心に展開される短編集です。

    そんな各主人公の気持ちに感情移入できるかどうかで、この作品の評価は大きく変わってくると思います。

    5作品の中で、「花輪の海」のみが共感できました。

    意外だったのは、短編集として、陰の季節、動機、顔、深追い、第3の時効の次の作品だった点。

    以前に書かれた5作品はかなりの力作なのに・・

  •  被害者家族や目撃者など、犯罪の周囲を中心に描いた連作短編。『真相』は最初こそ同情していたが、だんだんとその語り口がおかしくなる様に、疑問が湧いて来る。息子を信じすぎるその親の気持ちに、うすら寒い気持ちさえ覚えた。しかし親とはそういうものなのかもしれない。

  • 表題作でもある『真相』は横山作品中もっとも好きな作のひとつ。事件(物語)の隠れていた事実の炙り出されていく風な巧い展開に感心。『他人の家』は作中の登場人物夫婦にもたらされる奇縁のその扱いを人情譚へと結んでみせるが、自分ならこのすぐれた着想(アイデア)の方向というか物語の着地あるいは装いを「奇妙な味」に向ける。

  • 短編5編からなるミステリー小説。
    どれも面白かった。
    読みやすい文章な上に、主人公の内面の葛藤や暗さが巧みに描かれていて、誰しも持っている心の弱さや偏窟な人間性に心が惹かれる。物語一つ一つの「真相」が気になって進む手が止まらず、終始ハラハラドキドキした。特に「18番ホール」が印象的で、「世にも奇妙な物語」を思い出させられた。

  • 短編集。読後感はよろしくないのが多い。
    真相を知ることは、必ずしもすっきりして良い気持ちで終わるというわけではないね。知らぬが仏とも言うし。

  • まさに真相を語る短編集
    いつものように雰囲気は暗く重い展開でしたが、楽しめました。
    本作では5本の短編が収録されています。

     真相
     18番ホール
     不眠
     花輪の海
     他人の家

    「真相」
    10年前に殺害された息子の犯人の自供で知る息子の本当の顔。そしてそこから知ってしまう10年前の殺害の真相、そしてそこに至るまでの10年間の真相。家族の苦悩も含めて、切ない真相でした。

    「18番ホール」
    県庁を退庁してまで出馬した村長選挙。担ぎ出された選挙で絶対当選にこだわりる主人公が、当落状況に追いつめられ、疑心暗鬼に。そもそも当選にこだわるのは村の開発計画にまつわる自らの過去の罪。
    選挙の結果は?自分は嵌められていたのか?過去の犯してしまった罪はどうなる?
    結果は、ちょっと変化球でした(笑)

    「不眠」
    リストラされたビジネスマンの哀愁漂う物語。
    睡眠実験の被験者のバイトを通して、不眠になってしまった主人公が深夜目撃してしまった事件。そして、主人公が結果的に暴いてしまうその事件の真相。
    これまた、哀しく、切ない真相でした。

    「花輪の海」
    10年以上前の大学空手部の合宿で起きた部員の死亡事故。仲間の死に後悔し続けた主人公たちの苦悩。合宿で彼を救えなかった後ろめたさ。そして今を生きる人生の辛さ。その人生の辛さから結果的に明らかになる死の合宿での真相。これまた切ない..

    「他人の家」
    前科を持つ主人公が苦しむ世の中の風当たり。前科者ということで仕事も追われ、アパートも追われようとしている中で、差しのべられた救いの手。それでハッピーエンドと思いきや、過去の事件で投獄されていた主犯の男が登場。再び恐喝される主人公。そして、結果的に明かされる「救いの手」の真相。
    これは、ちょっとおもしろい展開でした。

    ということでいずれの5作も、心理描写が暗く、重いストーリで、横山さんらしい展開でした。
    さらに、最後に救われる展開でもなく、哀しく切ない真相が明らかになる物語ばかりでした。
    しかしながら、こういうの好き(笑)
    お勧めです!

  • 面白かった。とにかく先々が気になるサスペンス。このタイトル通り真相に近づいていくそのドキドキ感ハンパなかった。

    犯人やら被害者やら、とにかく追い詰められる気分を本人の立場となり同時に追い詰められる読者。とにかくどうなるのか。どう終わるのか、気になる一冊です。

    短編ですが全てが疾走感とスリルに見舞われます!!!!!!!

    あっという間に読める一冊!!!!!!

  • 人生の階段を踏み外した男たちがもがき苦しむ様を観察出来る短編集です。リストラや、人間関係、前科などに翻弄される姿はサラリーマンとしてはなかなか胸に暗い影が落ちる気持ちがしました。さすがは横山秀夫引き込まれました。

  • 『真相』
    『18番ホール』
    『不眠』
    『花輪の海』
    『他人の家』

    犯人逮捕は事件の終わりではない。そこから始まるもうひとつのドラマがある。
    ー息子を殺された男が、犯人の自供によって知る息子の別の顔の「真相」、選挙に出馬した男の、絶対に当選しなければいけない理由「18番ホール」など、事件の奥に隠された個人対個人の物語を5編収録。人間の心理・心情を鋭く描いた傑作短編集。
    (裏表紙より)


    事件そのものではなく、事件関係者のその後のストーリー。どの話も、クライマックスに向けての疾走感がすごい。この後どうなってしまうのか、とハラハラし通しでした。
    小さな事でも、大きな事でも、やはり悪い事はしてはいけない。
    でも窮地に立たされるにつれ、小さな悪事を許容してしまい、それが致命的な大きな悪事に繋がってしまう。
    そんな雪だるま状態に、人は陥りやすいのかもしれない。
    (2016/4/5 読了)

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著者プロフィール

1957年東京生まれ。新聞記者、フリーライターを経て、1998年「陰の季節」で松本清張賞を受賞し、デビュー。2000年、第2作「動機」で、日本推理作家協会賞を受賞。2002年、『半落ち』が各ベストテンの1位を獲得、ベストセラーとなる。その後、『顔』、『クライマーズ・ハイ』、『看守眼』『臨場』『深追い』など、立て続けに話題作を刊行。7年の空白を経て、2012年『64』を刊行し、「このミステリーがすごい!」「週刊文春」などミステリーベストテンの1位に。そして、英国推理作家協会賞インターナショナル・ダガー賞(翻訳部門)の最終候補5作に選出される。また、ドイツ・ミステリー大賞海外部門第1位にも選ばれ、国際的な評価も高い。他の著書に、『真相』『影踏み』『震度ゼロ』『ルパンの消息』『ノースライト』など多数。

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