森に眠る魚 (双葉文庫)

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  • 双葉社
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  • Amazon.co.jp ・本 (456ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575514643

感想・レビュー・書評

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  • 私にも子供がいるので、ここまで親密なママ友さんはいません。
    とはいえ、飲みに行ったりするママ友さんもいて、すごく楽しいお付き合いをしています。

    友人から何度かママ友さんの悩みを聞いた事がありますが、親しくし過ぎると色々あるだろうし、程よい距離感は必要かな…と、私は思います。
    ママ友だけじゃなく夫婦でも、親子でも、自分とは別の人間なのだから考え方が違うのは当然のこと。

    この本を読んでママ友って怖いと思われなければよいのですが…。

    本の内容はすごく引き込まれる内容で、とても良かったです。

  • 私自身ママ友と呼べるような人はいないまま子供が大きくなり、
    今更親しくなる人は出来ないと思う。
    会えば何となく立ち話をして笑って話せる人はいるけれど、
    あくまでその場限りの付き合いしかしていない。
    子供同士が遊ぶことはあっても、家族ぐるみでは出かけない。
    学校以外で、遊ぶことも一切ない。
    気が楽ではあるけれど、文中、一生の友達になれそうだと感じる4人を
    ほんの少し、羨ましく感じた。

    でもそれがちょっとしたことから段々歪み始めると、
    やっぱりママ友なんていなくてよかった・・・と思う。
    実際私は卑しい人間で、
    自分の子よりも優秀だったら妬ましくなるだろうし、
    自分の子の方が優秀だったら得意気になってしまうだろう。
    純粋な友情は築けそうにない。

    この小説を3~4年前に読まなくて良かった。
    今なら過ぎ去った過去のこととして読めるけれど、
    当時の私はこの物語に入り込んだようになったかもしれない。
    鼻息荒く、お受験したいと言い出しかねない。
    もしそうだとしたら、
    私は一体5人の中の誰のようになるのだろう。

  • 都内に住んでる主婦のいろんな生き方や考え方を覗ける本。
    私は子供がいないから、いる人の気持ちはわからないけど、世間体を気にして〇〇さんが〇〇幼稚園に行くから、お受験するから、〇〇塾に行くから、とかって一生懸命になる母親って疲れるんじゃないかなと。
    ママ友も本音同士の付き合いじゃなくてうわべだけの付き合いで、自分だったら絶対疲れるだろなぁと。
    子供ができたら、勉強はある程度頑張ってほしいとは思うけど、子供がやりたいことを優先させたいなぁと。
    あとは世間体ばかり気にして子供や家族のことを考えれなくなってしまったり、自分の考えだけで突き進んでしまったり、そんな人にはなりたくないなぁと思った。

  • 女たちの感情がだんだんと恐ろしい方向へ変化していく様が、リアルで怖い。とにかく夢中で読める。さすが角田さん。お風呂で読んでいたら、気がついた時には、お湯はすっかり冷めてお尻が痛〜くなってたよ。わたしは子どもはいないけど…どのママたちの感情も、自分には沸き起こることはないなんて言い切れない。自分のことも怖くなる一冊。

  • 何か読んでいて恐ろしくなった。実際にこんなことがあるのだろうかと思わずにいられない。私はまだ独り者なので子育ての経験はないけど、ある意味家族が嫌いになる。

    こんなに世の中の主婦は大変なんだなあとつくづく感心した。内容はいわゆるママ友の話である。幼稚園に通う同世代の子供を持つ5人母親が偶然知り合いになり、ママ友付合いが始まるのだが、次第に小学校受験とか子供の教育方針とかが絡んできてお互いに疑心暗鬼となり、次第にいがみ合いが始まっていき、最後には自分自身が過食症とかになり、ママ友同士ねたみやさげすみが起きるようになる。

    結局、子育ての問題、夫婦の問題、親子の問題、等々いろんな事が重なり合い、今まで、普通に付き合ってきたママ友が次第に離れていくというお話。解決策とかは書いてないが、こんなにも重く深いテーマはないのではないかと思った。

  • 心が崩れるのは、一瞬で、危険をはらんでる

  • 2016/12/25
    女のこういう嫉妬とか人と比べちゃうところとか、本当に嫌だ。
    でも自分にもこういう部分があることも認めざるを得ないと思う。
    私はこんなお母さんにならないように気をつけよう。

  • 2016/12/18読了

  • クソつまんねぇ

  • どこにでもいる母親達、よくある子供込みの人間関係。ほんの一瞬、ちょっとした相手の一言で、大きく揺れて翻ってしまう心が描かれる。

    この本では受験が大きな要素だが、たとえ受験が関係しなくても、母親が集まれば成立してしまう物語だろう。だからこそ、読み進むうちに居心地が悪くなる。ああ、自分もそうだったと、苦い思い出がよみがえるから。

  • BGM I Wish You Love / Ann Sally

  • 登場人物の母親たちに「子どもの視点」がないことが特徴的だ。みんながみんな、自分のことしか考えていないように見える。そういう子育てでよいのだろうか?
    私にとっても、人生はずっと自分のものだった。自分さえよければいい、自分のためだけに生きる、自分勝手で自己中心的、自分の権利が侵害されようものなら烈火のごとく怒る。でも子どもが生まれ、子育てをするようになり、悩んだり苦しんだりするうちに、もう自分の人生は自分のものではないような気がしてきている。
    「人生は他者だ(永い言い訳より)」
    世間がどうだ、とか、他の家庭がこうだから自分も、とか、自分の夢と理想はこうだからステータスからしてもこうすべき、とか、そういうことではなく、この子にとってどうすべきか、という視点が大事だと感じた。
    世間から褒められるような良い母親になるのではない、子どもにとって最高の母親になれればそれでいいのかもしれない。子どもを自分の理想を追求するための道具にしてはならないし、ママ友の存在が自分を見失うきっかけになるのなら、そんな友達なんていらない、と堂々と胸を張って言いたいところだ。
    けれど、自分が確立できていなかったり、誰か話をきいてくれる人がいてほしかったり、夫との関係がうまくいっていなかったり、両親との関係が最悪だったりすると、やはりママ友がいた方が心休まるのかもしれない。
    人はどんなときでも誰かに話しをきいてもらいたい、と思っていて、話をきいてもらえる誰かがいると安心する。

  • 価値観のズレにより人間関係が崩れドロドロに…。
    ハラハラしながら読みました。

  • 小学校のお受験を控えた子どもを持つ
    ママ友5人の怖いお話でした。
    私自身も子どもも全くお受験に興味なく
    お受験を控えたママの気持ちは全くわかりませんが、
    親の思い描く未来に子どもが向かって行かないと、親はストレスを抱えるというそんな時代になっているのだと
    思いました。
    誰かが気になる、誰かよりはいい人生を歩みたいそんな積み重ねがモンスターを生み出すんですよね
    意外と人は目の前にある幸せに気付かないものですね

    角田作品の感情揺さぶる作品好きです。

  • 2016/11/22

  • 人間関係の閉塞感

  • 「読書芸人」で若林さんが紹介していて、あれ、角田さんでこの本は読んでないな、と思い翌日即購入。

    今までママ友がテーマになった話は何冊も読んだことあるけど、やはり角田さん、これが一番リアルなような気がしました。

    みーんな、心の中ではいろいろ思ってるけど、それをあえて口には出さず、何も言わず距離をとってみたりして、誤解を生む。
    特にこれは「お受験」が絡んでいるので、ママ友の探りあいは相当なものでしょう……。

    私の住んでいるところは中学受験をする子が毎年片手で数えられるくらいいるかな~、という田舎なので、こういう幼稚園や小学校からお受験するっていうのはピンとこないし、正直そこまで頑張る必要ある? とも思っちゃうけど、受験するのが当たり前、みたいな地域にもし住んでいたら、私もそういうこと考えたかなぁと色々思いました。

    朝比奈さんの解説で、これが実際にあった事件をモチーフにしているのだと知って、「ああ、あの事件か」と思い出しました。

  • 2016.11.15再読
    母親になった今読み返すと、何だかザワザワとする…

  • 角田光代さん、さすがに心理描写が最高に上手です!自分自身もママ友の世界では苦しんだので、共感できるところもたくさんあり、一気読みしました。

  • アメトークの読書芸人で若林が紹介。ママ友同士のドロドロしたいざこざ?

  • 2016.10.24
    小さな勘違いや、言わずにいたこと、それがちょっとずつちょっとずつズレていって追い込まれていくところがとても現実的で怖かった。
    千花やかおりに少し未来が見え、私としては光が見えたエンディングだった。瞳や容子もなんとか自分を見つけて欲しい。同じ女として、共感することが多かった。

  • 5人のママ友が、小学生受験の過程で、それぞれ嫉妬やネガティブな感情に苛まれ、それぞれ心を病んでいく。
    自分は自分、他人は他人と強く心に言い聞かせていなければ、人はこんなにも周りに左右されるものなのかと、思わずにはいられなかった。

  • 読むにあたって、怖いとは聞いていたが 怖かった〜〜 1人じゃ読めへんわ
    人間の弱くて醜くいところ、見たくないところがクローズアップされている 自分に置き換えて将来大丈夫かなとか人のふり見て我がふり直せて感じかな、考えてしまう〜〜
    書き方が 独特 て言えばいいのかな 起承転結の結がないけど、始まり方と終わりかたでうまくまとめられている感じ

  • 読んでる間ずーっと心がザワついて、、心が疲弊した。
    私は保育園ママで仕事もあったから、あそこまでではなかったけど、ママ友との関係や子供のこれからのことを考えて同じように不安になることはあった。
    もう数年前だけど保育園時代のこと、いろいろ思い出してザワザワした。。
    登場した5人のママの中で、1番共感できたのは瞳かな。
    改めて、子供はのびのび育てようと思った。

  •  解説を読んで、1999年の「文京区音羽幼女殺人事件」がモチーフになっていると知った。友達の娘を殺害するという衝撃的な事件だった。かたや合格、かたや不合格という悲劇的な結末の幼稚園お受験に絡めて、「お受験殺人」とも呼ばれていた。
     私自身は「自分は自分、子供は子供」という考えで、お金のかかる私立校受験のことなど露とも考えなかったし、考える環境になかった。もし文京区のようなお受験地区に住んでいたら考えは変わっていただろうか…いや、子育て期、私の生活拠点は職場にあったのだから、やはりすんなりと公立へ行かせていたでしょう。
     この事件に関するネット記事の中で、ある主婦がこんなコメントをしている。
    「この街では、たとえ自分の夫が医者でも尊敬されない。自分の子供を国立大付属に入れた親がチャンピオンなんです。その制服を着た子を連れて歩くのがステイタス」
    夫とか子供とかって…自分自身はどこに存在するのでしょうか。○○ちゃんのママとか、○○さんの奥様としか呼ばれないのって寂しくないか?
     だから小説の中で瞳が参加していたボランティア団体「ひまわりプロジェクト」のような、個人としての居場所が女性にも必要なのだ。実際、瞳はその仕事と仲間に充実と安心を見出していた。仕事、サークル、習い事…形態はなんであれ、一個人としての活躍の場。
     夫や子供、あげくは友達にさえ依存するからめんどくさいことになるのだ。
     解説の中で、作家の朝比奈あすか氏はこう締めくくっている。
    「幼稚園を卒園し、小学校へ。この小説をどう読むかは読者に委ねられているが、わたしには彼女たちがこどもの手を握り、一歩ずつ前へ歩いている姿が見える気がした。向かう先には途切れることなく続いてゆく「母親」という尊い日常があると思った。」
    …果たしてそうだろうか?母親という尊い日常なんていつかは終わる。その先へつながる自分の道を一個人として考える必要があるのではないでしょうか。

  • お受験というものを通じて炙り出される、母であり女であり妻である女たちの嫉妬と葛藤、憎悪と狂気。読んで幸せになる類いの小説ではない。でもある意味真実だろうと思う。ここまでではないにしろ、追い詰められる世界であったのだろうなと思う。

  • 初の角田光代さん。子供は欲しいけれど、ママ友や子育て、受験が始まると思うと憂鬱になってしまった。笑
    自分が母になってから読むと、また感想も変わってくるんだろうなぁ。
    角田さんの力量がすごいと感じた本。

  • かなり前に文京区であったお受験殺人?を題材にした本。狭いママ友の世界で、誰もが追い詰められていく。誰が犯罪者になってもおかしくないような展開。実際の事件がどうだったのかは、本人達にしか分からないけれど、勝手に自分で自分を追い込んでいくママ達の心理は想像がついてしまいぞっとする。
    ママ友というのは、子どもの年齢が近いからとか子どもたちが仲がいいからとか、環境が近いからという理由でできる、学生時代とかの人間関係とはかなり違う関係。でも初めの内は良かったけど、段々相手のことが分かってくると上手くいかなくなる…そういう人間関係はよくあるはず。
    専業主婦で閉塞的な世界にいると、その失ったママ友が恋の相手のようになってしまい、ストーカー化してしまうのかも。狭い社会にいるとそれが全てと思ってしまうけれど、被害妄想をせず自分の居場所をしっかり探していくことが大切と改めて思った。

  • 小さな子を持つ母親たちのお話。無いものねだりをしていく母親たちに、同世代の子を持つ母親として、鳥肌が立った。自分の中にどれだけ幸せを見い出せるか、子どもをきちんと見てあげているか、肝に銘じようと思った。様々な立場の母親の視点に立ち、ストーリーが目まぐるしく展開するので、特に後半は一気に読めました。

  • 怖面白い。一気読みしました。

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著者プロフィール

1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。90年『幸福な遊戯』で「海燕新人文学賞」を受賞し、デビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で、「野間文芸新人賞」、2003年『空中庭園』で「婦人公論文芸賞」、05年『対岸の彼女』で「直木賞」、07年『八日目の蝉』で「中央公論文芸賞」、11年『ツリーハウス』で「伊藤整文学賞」、12年『かなたの子』で「泉鏡花文学賞」、『紙の月』で「柴田錬三郎賞」、14年『私のなかの彼女』で「河合隼雄物語賞」、21年『源氏物語』の完全新訳で「読売文学賞」を受賞する。他の著書に、『月と雷』『坂の途中の家』『銀の夜』『タラント』、エッセイ集『世界は終わりそうにない』『月夜の散歩』等がある。

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