死への祈り (二見文庫 B 1-18)

  • 二見書房
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (541ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784576061894

作品紹介・あらすじ

ある夜、マンハッタンの邸宅に住む弁護士のホランダー夫妻が、帰宅直後に惨殺された!資産家を狙った強盗の仕業と思われたその事件は、数日後に犯人たちの死体が発見されたことによって決着を見た。しかし、被害者の姪から気がかりな話を聞かされたスカダーは、背後に更なる"第三の男"が存在しているのではという疑念を抱き、事件に潜む闇へと足を踏み入れていく…。姿なき悪意の影にスカダーが挑むシリーズ新境地、待望の文庫化。

感想・レビュー・書評

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  • 落ち着いてきたなーとは思うけど(順番通りに読んでない自分が悪い)

  • マットスカダー第十五作、原題"HOPE TO DIE"。

    初めてスカダー以外の視点で語られる場面が入る。
    ストーリー自体は前回のようなアクションは息を潜め、
    犯人をじわじわと追い詰めていく展開。
    これまでのように聞き込みではなくTJのネットを使った調査のせいか、
    大味な感は否めないが、さして気にせず読める。

    珍しく次巻に続くような引き。
    そしてそこはかとなく漂う終息感。

  • 主人公のマット・スカダー目線ではない文章がところどころに入ってくるものの、
    冒頭の語りといい、なじんだ登場人物たちといい、話の展開といい、まったりとした感じ。
    既視感とでも言おうか。

    それでいて今までにない、元家族との問題や結末から来る緊張感があり、
    その既視感はマンネリとは呼べない。

    しかも、この緊張感は次の作品まで続きそうだ。

  • マット・スカダーシリーズももう何冊目だろう。文庫の帯で数えるとこれが13冊目か。すさまじかった前作「皆殺し」と比べると本作は登場人物も少ないし、落ち着いた進行。半分くらいでもう事件は終わってしまって、あとは犯人をつかまえるだけなのになんでこんなに先が長いのだろうと思う。ところがどっこい、完全な結末は次作に持ち越されるというから驚き。その次作「すべては死にゆく」はまだ文庫化されていないのが残念。
    ローレンス・ブロックを最初に知ったのは、コーネル・ウールリッチの遺作「夜の闇の中へ」の補綴者としてだった。当時(今も)ウールリッチに心酔していたぼくは、ちぇ余計な筆を入れやがってとか思ったものだが、ああして誰かが手を入れなければせっかくの作品も陽の目をみない。感謝すべきなのだ。モーツァルト「レクイエム」もしかり。
    しかし、スカダーも年とったな。ミックとの夜の会話なんてもう枯淡の境地だ。このあとどうなるのだろう。

  •  マッドスカダーシリーズ。
     弁護士夫婦が惨殺された。後日その犯人は、死体となって発見されるが、事件に不信なものを感じた夫婦の姪が、スカダーに解決を依頼する。

     今までスカダーシリーズって、スカダーの主観だけで描かれていた、はずだ。
     けれど、これは犯人の主観が交互にはいってくる。
     解説では、シリーズの終わりを示しているのではないかと、書いてあった。それはなんともいえないが、終わりまで読んでいくとこの形にした意味がわかる。わかるが、やっぱりシリーズの終焉が近いのかとも思う。
     でもって、こんな風に思うのは、ブロックが相変わらず上手いからだ。
     
     主人公の主観と、犯人の主観が交錯するなんて、今じゃステレオともいえるような手法だ。普通のことをしていても、普通に終わらない。だって、ブロックだから。
     やられました。

  • アル中探偵マット・スカダーシリーズ!順番に読んでいないのですが…だいたい、読み尽くしています。どれもいいですねー!!これも、アルコールは断ち、エレインと結婚しているしー、TJや、ダニー・ボーイ・ベルに、ミック・バルーと、いつもの魅力的なメンバーが活躍!!マットの行動力、推理力、人脈ってやつ?素敵です。でもー、マットも年取ったからか、ハードボイルドさは、ちょっと欠ける気がする…

  • ひさびさに私立探偵マット・スカダーのシリーズ。このシリーズもずーっと読んでいて、「八百万の死にざま」はわたしのオールタイムベストテン上位に入るんだけど、とにかく雰囲気が大好き。アル中を克服したニューヨークの中年の私立探偵。渋い。ハードボイルド。会話がいちいち哲学的。かつユーモアがある。かっこいい。わたしも守ってもらいたい……。 今回、謎解きもけっこう複雑で、すごくスリリングな展開。でも、マットの調査はなんというか、ひたすらききこみをしていく地味な感じでたとえば自分が危ない現場に乗り出していくっていう感じじゃなくて、そういう客観的な感じ?も好きで。 次作の文庫化が待たれるー。

  • マット・スカダーとも長いお付き合いになります。完全にアルコールと縁を切り、身も固めて、いよいよ大団円と思いきや、この作品だけでは終わらないのでありました。

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著者プロフィール

ローレンス・ブロック Lawrence Block
1938年、ニューヨーク州生まれ。20代初めの頃から小説を発表し、100冊を超える書籍を出版している。
『過去からの弔鐘』より始まったマット・スカダー・シリーズでは、第9作『倒錯の舞踏』がMWA(アメリカ探偵作家クラブ)最優秀長篇賞、
第11作『死者との誓い』がPWA(アメリカ私立探偵作家クラブ)最優秀長篇賞を受賞した(邦訳はいずれも二見文庫)。
1994年には、MWAグランド・マスター賞を授与され、名実ともにミステリ界の巨匠としていまも精力的に活動している。

「2020年 『石を放つとき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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