殺し屋 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション) (二見文庫 ロ 1-8 ザ・ミステリ・コレクション)

  • 二見書房
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感想 : 31
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  • Amazon.co.jp ・本 (444ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784576981369

感想・レビュー・書評

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  • 伊坂幸太郎が帯で絶賛してました。

  • 短編集。
    主人公の殺し屋が、いかにもな感じじゃ無くて、どこにでもいるサラリーマン的な人物というのが特徴でしょうか。
    内面も殺人ができるということ以外は、特に異常性がありませんね。
    (いや、そこで十分に異常かもしれないけれど、物語上はってことで。)
    犬がらみの話もいいけれど、「ケラーの責任」が一番好み。

  • 書店で平積みされてて何故か猛烈に気になったので購入。

    『殺し屋』なんてズバリなタイトルだけど、殺しの部分はすごくあっさり。
    日常のルーチンワークをただ単にこなしました、くらいのもの。
    だから、映画みたいな派手なアクションだったり殺し方だったりを求めてる人には物足りないと思う。
    この本は殺し自体ではなくて、殺し屋の日常だったり心情だったりを描いたものだと思う。
    殺し屋ももちろん四六時中殺しのことを考えてるわけでもなくてこういう日常を送ってたりするんだろうなと妙に納得。
    本物の殺し屋の生活なんて知らないからあってるかはもちろんわからないけど。

    ただ、これが書かれた時点ではどうだったか知らないけど、こんなにいろんなとこに顔出してると防犯カメラにもガンガン映るだろうし今ならすぐ捕まっちゃうのでは…?なんて思ったり。

  • スカダーを読み終わったので、次は殺し屋シリーズ。
    原題は”HIT MAN”。

    殺し屋の話の割に、彼の仕事の扱いは結構軽い。
    仕事ではなく彼の普段の日常をメインにしているのだろう。

    スカダーの時もそうだったが、
    ブロックは話の本筋よりも人物同士の掛け合いや、
    ちょっとした心情の描写がやはり上手いなぁと思う。

  • タイトル通りの職業(殺し屋)をニヒルにこなしている男、ケラーが主人公の短編連作集です。タイトルは一見、ハードですが、中味はブラックユーモアっぽい、飄々としていて、淡々としたお話ばかり。独り身のニューヨーカーであるケラーは自分なりのセンスと哲学をもって、「ヒット・マン(殺し屋)」として与えられた仕事をこなしつつも、ターゲットを「ヒット」する為に訪れた町に、つい住みたくなってしまったりして、どこか、憎めないキャラクター。そんな彼の性格が、読み進めていくうちに、少しずつ見えてきて、次第に、彼が愛すべき殺し屋に思えてくるのが不思議な所です。それも、ブロックがストーリーテラーたる、ゆえんでしょうか。私の大好きなマット・スカダー・シリーズとは全く違う、少しコミカルでさえある話なのに、存分に楽しませてくれるのも、また、さすがブロック!なのです。

  •  ローレンス・ブロックを読み始めたのは、彼がコーネル・ウールリッチの遺作の補綴をして世に出したからだ。最初に読んだのがマット・スカダーもので、それが気に入ってずっと連作を追いかけて読んできた。ブロックにはそれ以外にも殺し屋ケラーや泥棒バーニイものというシリーズがあっていずれも評価が高いが、読んだことがなかった。ひとつにはこれが連作短篇集だということがある。短篇は難しい。ウールリッチ(アイリッシュ)は名高い短篇の名手だったけれど、それでも長篇の素晴らしさには劣るだろう。
     ケラーという中年の孤独な殺し屋が、雇い人から時おりはいる依頼に応じて大陸を飛行機で横断し、仕事をこなす。その繰り返し。もとより動機はなく、謎解きもなく、手口もありきたり。それで何がおもしろいかというと、スカダーにも通じるケラーのストイックな生き方だろう。仕事のないときのニューヨークでの生活、出先までの移動、ターゲットの監視、日々の行動、会話からにじみ出る孤独と哀愁。この人笑うんだろうか。時に犬を飼い女の子と同棲することもあるが、それも一時で執着しない。群れない一匹狼。そこが読み手の共感を呼ぶ。ある種の読み手かな。誰しもではないにしても。
     そんな短篇が10作。ただそれだけではさすがに変化に乏しいので、ただの依頼殺人ではなくひねった構成にしてあるものを織り交ぜてあり、連作に奥行きを与えている。最後にケラーが足を洗って余生を過ごそうと一級の趣味に手を染めかけたところが、そのせいもあって意外な展開になり次作へ続くことになる。作者は店じまいしようと思ってたのが思わぬ人気でシリーズ化することにしたのかな。生き返ったホームズを思い出す。

  • ハードボイルの伝説的古典と言えば飾りを極力排したものと、華麗なるレトリックを駆使した両極端がある。両作甲乙は付け難いが本作は前者に属する。又、文章は形容詞から腐るという言葉もあるが、このジャンルで多用される商品名等、世相を表す固有名詞が腐らないのは何故だろう?真実が何処にあるのかは分らないが、本作が秀作であり、当面、陳腐化することがないことだけは断言できる。簡潔な短文が続くきびきびした文体。さすがミステリ界の匠の技。精密機械ゴルゴ13に比べるとミス・ショットが多いが、これも生身の人間らしくて好感が持てる。


    先程読了した『グラスホッパー』の著者である伊坂幸太郎が本書の帯で「ローレンス・ブロックからはあからさまに影響を受けていますし、『殺し屋ケラー』シリーズは僕が書きたいものの到達点であるような気すらします。」と絶賛している。同じ殺し屋モノ、その影響とやらをじっくり味わってみるつもり。 2013年02月01日

  • 傑出した作品はないものの、ある程度のレベルは維持されてるかな。

  • ローレンス・ブロックは好きな作家だし、マシュー・スタガーのシリーズなどは全て読んでいる。
    が、この「殺し屋ケラー」のシリーズは、どうしても、あまり好きになれない。ストーリーに、直接は関係のないエピソードや会話やケラーの思考を説明した部分が多く、冗長に感じてしまっているのだと思う。テンポが悪い、と感じてしまうのだ。「直接は」関係がないのだけれども、これらのエピソードなどは、ストーリーに全く関係がない、というわけではなく、それらが話に深みを与えているとも思われるし、そういったエピソードが好きな人も多いだろうので、これは、単純に「好み」の問題だとは思う。

  • 読みやすいです。
    著者と主人公の仕事に関するスタンスが、全く同じように思えます。
    殺し屋は殺しに、作家は著作に、同じように行動しているのでしょう。

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著者プロフィール

ローレンス・ブロック Lawrence Block
1938年、ニューヨーク州生まれ。20代初めの頃から小説を発表し、100冊を超える書籍を出版している。
『過去からの弔鐘』より始まったマット・スカダー・シリーズでは、第9作『倒錯の舞踏』がMWA(アメリカ探偵作家クラブ)最優秀長篇賞、
第11作『死者との誓い』がPWA(アメリカ私立探偵作家クラブ)最優秀長篇賞を受賞した(邦訳はいずれも二見文庫)。
1994年には、MWAグランド・マスター賞を授与され、名実ともにミステリ界の巨匠としていまも精力的に活動している。

「2020年 『石を放つとき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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