昭和史 1926-1945

著者 :
  • 平凡社
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感想 : 79
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  • Amazon.co.jp ・本 (509ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582454307

感想・レビュー・書評

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  • 平成の時代に生まれた私にとって、戦争 の二文字にはどこか実感の伴わない所がある。
    本書を読むまで、私はこの戦争 というものについて(他の同年代の人がそうであるように)教科書で表面上だけを教わり、学んだ気になっていた。
    しかし、教科書の文面には成り行きだけがあって、人々の思惑が無い。
    昭和という時代と戦争という大きな出来事を、本書を読んで漸く少し知った気がした。

  • 2007年〜未読。
    サムライ塾の指定図書にも関わらず、見た目の分厚さに圧倒されて未読。
    08年3月の指定図書なので、頑張って読みます。

  • 今の日本について考えたくて最初に手にとった本。本当に読みやすい。それにつきる。そしてだから面白い。
    日本は勿論間違っていたと思う。けどアメリカだってやらせたようなもんだ。あなおそろし。もっと知りたくなるなる、昭和史です。

  • 今日やっと読了したのが「昭和史」。
    ホントにすごーく時間をかけて、やっと読めた。
    とっても勉強になりました。
    続けて半藤センセの「ノモンハンの夏」を図書館から借りて読み始めてます。
    え、シスアドの本も読みなさいって? はぁ〜い。。。

  •  「賢者は歴史に学び、愚者は体験に学ぶ」
     昭和史の主に「戦争」の姿が描かれるのだが半藤の歴史観には、この「箴言」が生きているように思える。ともあれ、昭和は前半を知るにはうってつけの一冊だろう。教科書の歴史?では知ることが出来ない歴史が、ここにはあり、知っておくべきこと、歴史の面白さもここにある。新聞というマスコミが、読者を戦争へ煽り、読者としての国民が、さらに過激に戦争へと向かっていくエスカレートの循環も描かれている。
     体験だけに固執した「結論」は、社会性無き失敗とも成功とも覚束ない「結論」だけが、生きる。大学生以上の人たちが、読む歴史の教科書だと指定してもいいほどに、右にも左にもぶれず、資料を読み込んで歴史を語っているの思っていた以上に<中立>であり、また読みやすい語り口が採用されている。覚書としてのレビューはまた後で・・・・。
     2・26事件の抜粋である。簡潔に本質を捉えていると思う。陸軍内部の統制派(中国一撃論)と皇道派(対ソ攻撃論)の対立が、統制派に実験が握られた後の皇道派によるクーデターである。
     「宮城をまるまる占拠しようとしたのです。ではどうするか、自分たちが城内に入り込んで数少ない門をぴた−つと閉めてしまえばいいわけです。ただし歩兵第一、第三連隊の兵隊が何があったって宮城内に入れるわけはありません。入れるのは近衛歩兵連隊だけなのです。そこに近衛歩兵第三連隊の役割が出てくるわけです。
       これを率いるのが中橋基明 (なかはしもとあき)中尉です。この中橋中隊は当日は赴援中隊に割り当てられていて、何か事が起きた時には宮城内に自動的に入れます。その中橋中隊約百名がまず宮城に入り、中ですでに守備についている近衛連隊の一中隊を説得して味方に引き入れ、宮城を占拠するという計画を立てました。そして占拠したあとは本庄侍従武官長頼み、ということであったのでしょう。
                                            事実、中橋中尉率いる中隊は半蔵門から宮城に入りました。ところが、ずさんといえばずさんな計画だったんですね。というのは、この連隊が宮城へ行くのに高橋是清邸を通る道があります。現在の虎屋羊羹(とらやようかん)を渋谷の方に進むと左側にある公園が大蔵大臣私邸があったところで、「それならついでに大蔵大臣もやってこい」ということになったのかどうかはわかりませんが、 先ほど言いましたように中橋中隊はそこを襲撃し、高橋是清を惨殺しました。
    ちなみに大蔵大臣をなぜ襲ったのか、先にちょつとふれましたが、予算の問題です。増大する軍部の軍事費増額の要求を一切認めず、高橋蔵相が、軍隊がかんかんに怒るくらいに厳しく予算を絞ったというのが理由で、先ほどの岡田、鈴木、斎藤とは違って、これは憎しみのために襲ったといってもいいのかなと思います。
     そして中隊は半蔵門に着き、事件勃発だということでともかく宮城内赴援中隊として宮城内に入ったのです。中を守る近衛師団は少なくとも同志ではありませんから合意するかどうかは微妙だったものの、この辺も非常に安易に考えていたようで、たぶん大丈夫だろうと思って乗り込んでいくと、これがオッケーしないんですね。はじめから中橋を危険人物祝している。
     ここで歴史にまたイフを持ち出すのはおかしいのですが、もし中橋基明中尉が、もちろん人を一人殺してきていますから気力も萎えていたかもしれませんが、ともかく本気になつていれば…。すなわち、守衛隊司令部で宮城内を守っていた大高少尉は中橋中尉と真っ向から顔を突き合わせて「言うことはきかん、すぐ出て行ってもらいたい」と言った。中橋中尉がそれならば大義のためにと彼を射殺したならば、です。二人とも拳銃を抜き、互いに顔を見合って、と緊迫した状況であったのですから。それなのに現実には、中橋中尉のほうがまず拳銃をしまった、という経緯だったようです。

     面白いのは、警視庁を占拠した野中四郎大尉が率いる歩兵第三連隊は、なんと四百名の
    大所帯です。警視庁といっても、なるほど当時は「新撰組」と称して猛者たちが集まっていたとはいえ今の規模より小さいでしょうから、何も四百人が行く必要があったのか。野中大尉は決起の名義人ですから許されませんでしたが、常盤稔、清原康平、鈴木金次郎ら少尉たちは占拠をしただけで一人も殺してませんので、裁判で死刑を免れて戦後もよく話してくれました。
    「四百人も警視庁へ行って一体何をしたのですか」と尋ねると、清原少尉が言うには、とにかくすぐに屋上に上がり、宮城の方を望遠鏡でずっと見ていたと。そして中橋さんの「話はついた。桜田門より入れ」の朗報を待ってどつと宮城に入り、一気に宮城を押さえてしまう計画だったというのです。つまり門のすべてを押さえるために四百人も動員したのです。
      そして占拠の後は、仲間と思われる人間にはあらかじめ三銭切手(さんせんきって)を手に射ってくるように伝えておいたというのです。三銭切手が同志の合印です。そうすれば宮城の中に入れるというところまで話は進んでいたのです。
     いずれにしろ、二・二六事件の基本には宮城占拠計画があり、それが一番大事な仕事だったのです。が、大高少尉と中橋中尉が拳銃を抜き合って互いに睨み合ったところでお終いになり、いつの間にか中橋中尉その人は宮城から出て行ってしまって反乱軍の将校たちと合流し、中隊長がいなくなった中橋中隊の約百名は、はじめから宮城を守っていた部隊に組み入れられて「坂下門を守れ」などといわれる始末で、今泉義道(いまいずみよしみち)少尉などは「自分たちが反乱軍に回ったのかよくわからないうちに事件が推移していった」というように語っていました。

     最大の狙いである宮城占拠はままならず、しかも理解者と思い込んでいた天皇陛下は自分たちに対してまるで同情的でもなかったことがまもなく「叛乱」軍にも理解されることになる
     

  • 中学校、高校と日本の歴史は学ぶのであるが、昭和にはいるのはだいたい3年生の3学期であり、受験準備のために授業ではあまり詳しく教えないし、また、入試にそんなに出るパートではないので、あまり勉強もしない。というのが、昭和の歴史の学校の授業上の位置づけだと思うし、実際問題、私もこの本を本でみて、知っていたつもりのことが、ほとんど何も知らないに等しいことをあらためて発見した。この本は、2冊シリーズになっている昭和史の第1巻目。昭和が始まってから、太平洋戦争の終結までを扱っている。どのように、日本は戦争への道を歩んでいったのか、どのように日本は敗戦に至ったのか、の流れを追うことを主眼にしている。読み物としても、なかなか面白い。ところで。先日、乗っていた電車の中での女子高校生2人の会話。親の頭の固いことを、2人して嘆いているのであるが、なんと結論は、「昭和生まれだから仕方ないよね」というものであり、愕然としてしまった。そう言えば、去年の夏の甲子園大会で、選手は全員平成生まれとか言っていたな、と。楽天にはいった田中君も、早稲田に行ったハンカチ王子もそうか平成生まれであったな、と。ばりばりの昭和生まれの私としては、自分の生まれた昭和という時代のことを、あまり詳しく知らず、それでも、平成生まれの若者からは「昭和生まれだから仕方ないよね」と言われる歳になってしまったということで愕然としたのである。

  • いわずと知れた半藤一利さんの本。とにかくわかりやすい日本語という印象が最初から強かった。じっくりのんびりと読んでほしい。

  • 日本がどのようにして太平洋戦争への道を歩んでいったのか、一国民の視点で描かれたもの。軍部への手厳しい反論が主。

  • これからの日本の行き先を考える上で、避けては通れない昭和の歴史。物語風だが、かなり信憑性の高い事だけを記しているようです。日・中・韓・露の関係を整理する為にも必読の書です。

  • わかりやすい語り口でイメージがわきやすい。中学生か高校生のときに出会っていたら良かったとつくづく思う。日本史の教科書や授業がこれくらい面白かったらみんな本気で勉強するようになるだろうに。

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著者プロフィール

半藤 一利(はんどう・かずとし):1930年生まれ。作家。東京大学文学部卒業後、文藝春秋社入社。「文藝春秋」「週刊文春」の編集長を経て専務取締役。同社を退社後、昭和史を中心とした歴史関係、夏目漱石関連の著書を多数出版。主な著書に『昭和史』(平凡社 毎日出版文化賞特別賞受賞)、『漱石先生ぞな、もし』(文春文庫新田次郎文学賞受賞)、『聖断』(PHP文庫)、『決定版 日本のいちばん長い日』(文春文庫)、『幕末史』(新潮文庫)、『それからの海舟』(ちくま文庫)等がある。2015年、菊池寛賞受賞。2021年没。

「2024年 『安吾さんの太平洋戦争』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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