死―宮崎学写真集

著者 :
  • 平凡社
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感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (82ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582529364

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  • 山の中・森の中で、動物が死んだ、その後。
    ご馳走のにおいを嗅ぎ付けて次々に動物が集まってくる。小さな動物も少しずつ肉を削り取るように糧にし、ついには骨まで運び去られていく様子を、固定されたカメラを通しあたかも自分が観察しているかのような感覚で追っていくことができます。
    死体が腐敗する、というけれど、この写真集の死体は「うえぇっ」という感覚にはならない。腐敗、という状態に行き着く前に、確かに躍動していた筋肉や骨の動き、視線の動きなどを想像してしまう。
    家族と一緒に見た。
    生きてるってことについて、饒舌に語られるよりも圧倒的な説得力があった。

  • 森の中で著者のカメラマンが出会った動物たちの死体。それらが時の経過とともに、どのようにして自然へと返っていくのかを詳細に記録した一冊。

    もちろん、人間の遺体が載っている訳ではないが、なぜか自分が死んだ後の事をリアルに考えた。それだけの力がこの写真集にはあります。

  • 生きているものが死んで土に返っていくまでを撮影した写真集です。おそらく撮っている最中は凄まじい腐臭がしたのでしょうが、それを耐えてカメラを回し続けたであろう作者の姿に感動です。

    僕がこの写真集をはじめて読んだのがちょうど高校生のころで、そのショッキングな内容ながら、目が離せずに最後まで読んでしまいました。結構残酷な内容なので、読む人を選ぶ写真集だと思いますが、個人的にはイチ押しです。なんらかの形でその「生」を終えたシカやヤギやタヌキが死臭を放ち、ウジを湧かし、動物に肉をかじられ、骨をしゃぶられして、最後は白骨になって土に還っていく。

    その様子が非常に淡々と撮影されていることに、僕は作者に忍耐と根性を感じました。これは書いていいことなのかどうか非常に迷うだけれども、富士の樹海で自ら命を絶った人の写真がインターネットで公開されていて、あえてリンクは張りませんし、そもそもまだ現在でもそのサイトが存在しているのかどうかは定かではありませんので。僕が一時期、まともな精神状態じゃないときによく「彼ら」の写真を見にいっていたことがあるんだけれども、

    土に還っていく過程は、生きとし生けるもの全てにとって平等なんだと、そう思わざるを得ませんでした。

  • ここには全てを言葉で表しきれない何かがある。感動、崇高さ、神秘…全てを言葉で表しきれないことにこの写真集の素晴らしさがある気がする。

  • 鹿 狸 の死体朽ちていく様子を写真に残したものです。

    蛆や骨などそのまま観ることができるので、非常に参考になる。この手の本が好きな方にもオススメ。

  • 写真表現に圧倒されます。
    でも、見て行くうちに「死」に対して抱いていた恐れが清らかに消えて行く。

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著者プロフィール

写真家。1949年長野県生まれ。精密機械会社勤務を経て、1972年、プロ写真家として独立。自然と人間をテーマに、社会的視点にたった「自然界の報道写真家」として活動中。1990年「フクロウ」で第9回土門拳賞、1995年「死」で日本写真協会賞年度賞、「アニマル黙示録」で講談社出版文化賞受賞。2013年IZU PHOTO MUSEUMにて「宮崎学 自然の鉛筆」展を開催。2016年パリ・カルティエ現代美術財団に招かれ、グループ展に参加。著書に『アニマルアイズ・動物の目で環境を見る』(全5巻)『カラスのお宅拝見!』『となりのツキノワグマ』『イマドキの野生動物』他多数。

「2021年 『【新装版】森の探偵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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