夢・アフォリズム・詩 (平凡社ライブラリー)

  • 平凡社
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本棚登録 : 209
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582761498

感想・レビュー・書評

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  • <価値ある名文を手もとに! 手紙「オスカー・ポラック宛(一九〇四年一月二四日)」収録!!>


     保険会社勤めの傍らで執筆していたとされるカフカの作品群に、自分でも働くようになってから、より強く興味をひかれるようになりました★
    『変身』『失踪者』『審判』いずれも読み返すたびにイメージが変わり、不安を感じるときもあれば、コミカルさが伝わってくることも。不思議な魅力にとりつかれています。

     白水社から出た池内紀訳の全集は、身近な日本語でチャーミングな印象。新潮社の全集決定版(?)には、硬派な良さを感じます。ただ、どちらにせよ、全集は場所取りだから自宅に置くのは厳しい……
     よって、うちの本棚に迎えるにあたり、ありがたいのがコンパクトな本書なのです★ 平凡社ライブラリーは常に装丁が洗練されていて、本書も例にもれず素敵♡ 翻訳文の硬軟は、新潮社の感じに近いです。

     この本におさめられている詩や断片は、自由でユニーク。ノートや手紙に関しては覗き見するような感覚も相まって、どきどき感があります♡ 小説より熱意をもって読んでいるかもしれません。
     人の手紙をさらすのも評すのもいかがなものかと迷いましたが、さっきから悪いことをしたい! 同じように感じた人は多いらしく、ネット検索すると、親友オスカー・ポラック宛の手紙からの引用をいくつも見かけます。私も愛してやまないその名フレーズは、下記に付します★ [→フレーズ機能へ]
     まるで辞典で殴りつけてくるような、衝撃のある読書観。野蛮で、暴力的でさえあります。でも、上品にゆっくりちびちび舐めるようなのより、こんな風にガツンと来る方が「分かる!」と声を上げたくなるのです✧

     また、カフカは、夢についての記述を、実にたくさん遺しています。とくに夜に見た夢と限定しなくてもいいんじゃないでしょうか? 創作された夢、編集された夢であってもかまわない☆ 言ってみれば、カフカの小説だって、とらえどころのない夢の記録だったのではないか……? そんなことを思わせられました。

  • 坂口恭平「自分の薬をつくる」つながりで。アフォリズムのところからいくつか拾い読み。「この場所に、わたしはまだ一度も来たことがない----呼吸が変だ。太陽よりもまぶしく、その隣に星が輝いている。」p.155の浮遊感というか、ぶっとんだかんじとか、「悪に対して分割払いはきかないのだが、人はしょっちゅうそれを試みている。」p.164のユーモラスさ、「絶望しないこと、またお前が絶望しないことにも絶望しないこと」p.270の重さあたりが気になった。p.199の「お前が家を出て行く必要はない」ではじまる、じっとしてるだけで、最後は、世界がかまってほしそうにうっとりと身をくねらせるあたりのが出色かなあ。

  • 人間は、自分のなかにあるなにか<不壊-フエ-なるもの>、破壊できないものへの永続的な信頼なくしては生きることができない。その際、不壊なるものも、また信頼も、彼には永続的に隠されたままであるかもしれない。こうした<隠されたままであること>を表す可能性の一つが、人間になぞらえた<人格神>への信仰である。

  • 引っ越しで本棚を整理してたら出てきた。
    そのうち買おうとAmazonの本棚に入ってたのに、昔買ってたようだ
    そしてどうやら90ページくらいまで読んでたようだ

    気になったページをドッグイヤーして、シャーペンで線を引いてる

    これはいつころの読むくせか
    マーキングをするかしないか、何でマーキングするか、ドッグイヤーするのか、マーキングのルールはどうなってるか、そんなこととかでなんとなくの時期がわかったりもするけども、本はやっぱりいつ読んだのか印をつけておくことが大事なようだ

    落ち着いて、買った日、買った場所、読み始めた日、読み終えた日、そんなのを見返しとかなんでも適当にメモしとくべきだろう

    とはいえ、買って帰ってそのまま積読で発酵させたりするのが好きなので、買った日とかはとても書けないから、今は読み終わった日しか書いてない

    とはいえ、この本は、いつ読んだのか忘れたように本棚か、出てくるには嬉しい本の種類ではある
    夢・アフォリズム・詩、は、記録の日時とかの構造的な世界観からは自由でいて欲しい

    とかいったものの、僕はこの本、あまり読めなかった
    引っ越しやコロナウイルスのせいで電車で読書する気分になれない、とかで、暫く読書が出来てなかった
    なので集中力や読書コンディションが下がってるというのもあるけども、アフォリズムがどうしても苦手だ
    読めない

    パラパラとめくって、ほかの人が引用してるところを眺めたくらいだった

    まぁ、大事に読みたいのに大事に読めなかった、そういう読書もいくらだってあります

  • なかなか読み進められなかった。
    息苦しい本。
    カフカの小説のそれとは違う息苦しさ。

  • 文学

  • 『夢・アフォリズム・詩』
    フランツ・カフカ
    吉田仙太郎編訳

    ドン・キホーテの不運は、彼の想像力ではなく、サンチョ・パンサであった。(p92)

    『ドン・キホーテ』の考察。続けて、p94にもそれが書かれている。
     本来であれば、「ドン・キホーテ」なるものはサンチョ・パンサが担うものであった。だが「ドン・キホーテ」的なもの(悪魔)が主人にいった為、ある種の責任感から着いて行ったと書かれている。

     すべては幻影だ、家族も、オフィスも、友人たちも、通りも、遠いものも近いものもすべては幻影だ。女性も、これがいちばん身近な幻影。でも真実は、お前が頭を、窓もドアもない独房の壁に押しつけているだけのこと。(p294)

     カフカらしい。

     ……本は、僕たちの内部の凍結した海を砕く斧でなければならない。そう僕は思う。(p315)

     私もそう思う。

  • カフカは自虐の人ではあったが、けして自虐趣味の人ではなかった。

  • 蓮井さんから借り物

  • ことばというものは、感覚の世界以外のすべてに対しては、ひたすら暗示的にしか使うことはできない。ほんのおおよそのところで比喩的に使うことも、決してできないのである。それはことばが、感覚の世界に対応して、所有と所有の諸関係だけを扱うからだ。

    秋の道のようだ――掃き清められたかと思うと、また枯葉に覆われる。

    鳥籠が鳥を探しに出かけて行った。

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著者プロフィール

1883年プラハ生まれのユダヤ人。カフカとはチェコ語でカラスの意味。生涯を一役人としてすごし、一部を除きその作品は死後発表された。1924年没。

「2022年 『変身』 で使われていた紹介文から引用しています。」

フランツ・カフカの作品

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