怠惰への讃歌 (平凡社ライブラリー)

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  • Amazon.co.jp ・本 (271ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582766769

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  • いかにも英国らしいシニカルなユーモアのあるエッセー集。

    生産効率の上がった現代では1日4時間労働にして閑暇を人生のために使うべきという表題作は、現代のワークシェアリング論の祖形ともいえるが、働く根本の意味を閑暇を得るためとする根本的な議論である。

    貨幣への過度の崇拝(現代版マイダス王)への批判も、いわゆる資本原理主義批判に通ずる部分はあるが、情緒ではなく論理によっている。

    ファシズム、共産主義といった「極論」への批判は全く同感。社会計画に重きを置いているのは古臭いが、市場メカニズムへの理解は、適切な規制方法も含めてこの時代より格段に進んだと言うべきであろう。

    アメリカの標準化、画一化を皮肉りつつも、ある程度共感しているのはおもしろい。

  •  英国哲学の中で、そしてすうがくの歴史において、さらには世界平和に奔走した人間としても、有名な哲学者B.ラッセルによる平和・幸福実現に向けたエッセイ集。
     一番最初はこの本のタイトルにもなっている「怠惰への讃歌」。今でも全くもって同様な議論がされる位、先見性があるエッセイである。内容は、そもそも労働が善であるという意識が我々に不幸をもたらした。そもそも怠惰こそ享楽とすべきなのではないか、と言ったところか。それ以外にも、今にも通用するような議論がなされている。ちょっと流し読みしてしまったせいで、あまり内容が入ってない。。なので、読み直しということで。

著者プロフィール

1872-1970。イギリスの哲学者。17世紀以来のイギリスの貴族ラッセル家に生れる。ケンブリッジ大学で数学・哲学を学ぶ。1895年ドイツを訪れ、社会民主主義の研究に打込む。1910-13年にはホワイトヘッドと共に画期的な著作『プリンキピア・マテマティカ』(3巻)を著わし、論理学や数学基礎論に貢献した。第一次大戦が勃発するや平和運動に身を投じて母校の講師の職を追われ、1918年に4カ月半投獄される。1920年労働党代表団とともに革命後のロシアを訪問。以後社会評論や哲学の著述に専念、ヴィトゲンシュタインとの相互影響のもとに論理実証主義の形成によって大きな影響を与えた。1950年哲学者として3度目のノーベル文学賞受賞。また原水爆禁止運動の指導者のひとりとして99歳の生涯を閉じるまで活動を続けた。多数の著作のうち邦訳の主なものは『西洋哲学史』(1954-56)のほか『懐疑論集』(1963)『ラッセルは語る』(1964)『人生についての断章』(1979)『私の哲学の発展』(1979、以上みすず書房)『哲学入門』(1965、角川書店)『ラッセル自叙伝』(全3巻、1968-73、理想社)など。

「2020年 『西洋哲学史【新装合本】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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