茨木のり子の家

著者 :
  • 平凡社
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本棚登録 : 462
感想 : 49
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  • Amazon.co.jp ・本 (124ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582834802

感想・レビュー・書評

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  • 2022 03.

    ハングルへの旅と一緒に図書館で借りた本
    家の設計図、間取り、部屋の写真など
    そこにあるたしかな暮らしの空気が伝わる
    素敵な本だった

  • 好きなものに囲まれた素敵な部屋、帰ってきたくなるような家にしたくて、何回も引っ越しを繰り返している。

    この花器は好きだけど、今のテイストにあわないとか、バランスよく並ぶ様に、欲しくもないサイズ感のカゴを買ったり…そんなことをしている自分が好きではなかった。そうして出来上がった部屋も、友人におしゃれと言われても嬉しくなかった。だから虚しくてまた引っ越しをして家具を手放したり、買ったりしている。

    私が求めていた家の形って、こういうことなんだと思った。家主が亡くなっても、その影を色濃く残す、その人の抜け殻みたいな空間。
    スイッチに殴り書きしてしまえるユーモア。

    多分、どんなにお金をだして、欲しいと願っても今のわたしには手に入らない家。

  • 20代の後半、茨木のり子を知った。
    「自分の感受性くらい」
    ほおをはたかれた気がした。
    その後、「倚りかからず」を知る。
    自分が恥ずかしくなった。

    今回、この本の冒頭にある茨木さんの顔写真を見て、衝撃を受けた。
    なんという知的さ。そしてなんという意志の強そうな。
    落ち着いたら(何度このセリフを言ったり書いたりしたかわからないけれど)、
    西東京市の自宅を遠巻きに見てみたいと思う。
    「倚りかからず」の椅子の写真もあり。

  • 地に足のついたおしゃれな家の本。

    詩と家の写真の醸し出す空気感が素晴らしい。

    『さゆ』と『ある工場』が好きだった。

  • 茨木(いばらぎ)のり子さん(1926.6.12~2006.2.17 享年79)初読みです。もう亡くなられてたんですね。「茨木のり子の家」、2010.11発行。詩人でありエッセイストだったと。家の写真と詩が交互に。最初の詩は「わたしが一番きれいだったとき」です。確かに、詩人というより美人ですね!

  • 恥ずかしながら、好きな表現者なのに、はじめて著作を手に取る。購入してよかった。泪が止まらない。すごく、すごくきれい。そして、年を重ねるごとに、凄く美しい。谷川俊太郎さんの撮った写真やよりかからず、自筆の原稿は、ほんとに美しい。決意であり、名誉。自分というものへの自覚があって、自身を認めつつ、佇んですらある。

    見える部分はこういう風に
    見せかけておいて、ちゃんと見てる

    教養や学歴とはなんの関係もない
    人間の魅力

    話すとわかる 二言 三言で

    しいんと静かな湖か、、 ぼくは、持ちたいなぁ。
    こんなにもステキな恋唄を
    綴ってくれるのなら

    肉体をうしなって
    あなたは一層 あなたになった
    純粋の原酒になって
    一層わたしを酔わしめる

    恋に肉体は不要なのかもしれない

    ぼくは、きっと、表現者を
    一生、手放せない。
    足腰が立たなくなるくらい
    心が震え、喜ぶのだ

    逢いたいなぁ

    もっともっと、文学へ

    そしたら、逢えるのかな

    ことばってすごい
    でも、文学を気取る人はにがて
    雑談を楽しみ、
    夕方からゆっくりと時間をかけ、
    食事と酒と珈琲の匂いを愛する
    ぼくの憧れ

    ぼくは、たぶん、、、。
    やりたいことをする。
    比べることなんて必要ない。

    女々しくなく、且つ、
    女性性をする謳う茨木さんの詩、響きます!

    読んでてさー、嗚咽したの久しぶりでした。
    一分の隙もないのに、チャーミング、笑顔の写真にどきゅんです。そして、よりかからずって言っちゃう。理想の女性だなぁと思った。なんか、ぼくの場合は、相手に合わせて、自分磨きをしちゃうとこが合って、茨木さんと夕御飯を楽しめるように、生きるって、決意したよ。

    ありがとうございました。

  • なんでしょうか、急に来ています、茨木のり子ブーム。

  • 日々の生活を大事にして
    日常を愛していた感じが伝わってくるね。

    やっぱりこちらのお家のように、
    まぁまぁ物があって、適度に片付いている御宅が
    住んでいる人も、遊びに来た人も
    リラックスできて、楽しいんじゃないかな。

    棚やなにか見て、
    「へ~、こういうの、好きなんだぁ」ってね。

  • 装幀も詩もとても素敵な1冊。
    茨城のり子さんのお家の写真とともに詩が挟まれている。
    日々の暮らしの中で生まれる詩のなんとチカラ強いことか。
    お家もとても素敵。気取らず、それでいて凛としている。そんな佇まい。

  • =========
    自分の感受性くらい
    自分で守れ
    ばかものよ
    =========

    このメッセージに
    何度背中を押してもらったかな?

    他にも
    “倚りかからず”
    “わたしが一番きれいだったとき”
    多くの作品を創られたのり子さんの家。

    ページをめくると
    鼻かけの部分にテープが巻かれてまで
    とても愛されていた眼鏡の写真。

    谷川俊太郎さんが撮すポートレート。

    のり子さんの好物の長十郎梨から
    「シグロ」のワイン。

    家から見える金木犀や紫陽花の風景。

    曲げ合板の椅子
    “倚りかからず”の椅子


    あれ?
    のり子さんの写真は??
    白黒写真じゃなくてカラー写真の!



    そうか、亡くなった後に撮影されたんだ。


    なんて
    問いかけてしまいそうなのり子さんの家。

    家人が居ない寂しさや哀しさなんて
    どこからも感じられない。

    やっぱり、そんなところが
    のり子さんらしい。

    ご主人が亡くなり
    約30年もお一人で過ごされました。

    韓国語教室へも通われ
    いつまでも学び続け
    しっかり作品も残されています。

    そして、自筆の死亡通知。

    凛と
    きっちりとした
    生きる心がけや芯の強さを感じます。

    でも、やっぱり女性です。

    無印良品の箱のなかに
    愛するご主人への想いが綴られていた
    原稿もありました。

    ご主人の描かれた
    のり子さんのクロッキーも
    丁寧に貼られていました。

    やはり鉛筆での手書きを見ると
    更に胸がキュンと締め付けられます。

    ===========

    恋唄

    肉体をうしなって
    あなたは一層あなたになった
    純粋の原酒(モルト)になって
    一層わたしを酔わしめる
    恋に肉体は不要なのかもしれない



    のり子さんは これまでも 今でも いつまでも ずっときれいです。

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著者プロフィール

1926年、大阪生まれ。詩人、エッセイスト。1950年代より詩作を始め、53年に川崎洋とともに同人雑誌「櫂」を創刊。日本を代表する現代詩人として活躍。76年から韓国語を学び始め、韓国現代詩の紹介に尽力した。90年に本書『韓国現代詩選』を発表し、読売文学賞を受賞。2006年死去。著書として『対話』『見えない配達夫』『鎮魂歌』『倚りかからず』『歳月』などの詩集、『詩のこころを読む』『ハングルへの旅』などのエッセイ集がある。

「2022年 『韓国現代詩選〈新版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

茨木のり子の作品

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