木のあかちゃんズ

著者 :
  • 平凡社
4.11
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本棚登録 : 208
感想 : 38
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  • Amazon.co.jp ・本 (32ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582835328

作品紹介・あらすじ

風と光に向かって、ヘリコプターにのるボダイジュ、金髪のムクゲ、マント姿のクマシデ…ちっちゃなタネたちの大きな努力。子どもたちの未来に祈りをこめて、いのちの芽ぶきの物語。

感想・レビュー・書評

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  • 楽しく、顔がほころんできます

    木のあかちゃんズ
    2011.07発行。字の大きさは…中。

    木のあかちゃん(実など)が、飛び立っていく様子を書いた絵本です。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    大好きな伊勢秀子さんの絵が、とても楽しくて見ているだけで心が癒され、ほがらかになって行きます。鉛筆(?)で、描かれた絵に2枚だけ水彩で色付けしています。
    この2枚が、あかちゃんのゆうもらすな、ユニークな、ほがらかな白黒の世界から、おちついた色彩の世界へ、見事に変化をもたらしています。さすがに素晴らしいです。
    何回も見て楽しんでいます。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    【読後】
    絵本の大きさは、A5版ほどの大きさを横にしたものです。
    小さな絵本という感じで、絵は、見開きで描かれています。
    15枚の絵の内2枚がカラーで、他は白黒です。
    始めは、下書きか(?)と思って見ていましたが、途中から、これは下書きでなく完成されたものだと納得しました。伊勢さんのこのような絵を見たのは初めてです。
    2021.07.10読了

  • 昔、絵本に興味を持ち、好きで集めていた時期があったのですが、最近、私がフォローしている方々の感想を読むうちに、再度読みたくなりました。

    まずは、「いせひでこ」さんの「木のあかちゃんズ」。

    色々な木の種を、人間の赤ちゃんに擬人化するというアイデアが、一見シンプルに見えて、実は、こんなに奥が深いものに感じられるとは、思いませんでした。

    絵の大部分が、鉛筆画のような白黒のラフな描写には、どんな色をしているのだろうと、想像力を育むような雰囲気がありながら、木や葉っぱの絵柄には、はっきりと、それぞれの特徴を捉えてあり、私が知らなかった木の葉っぱって、こんな形でこんな役割があるのだなと、良い勉強になりました。

    その上、それらにあかちゃんズが関わると、新しい世界に繰り出そうとする姿が、本当に可愛らしくて癒されました。特に、どの帽子を被ろうか悩んでいるあかちゃんズが、私のお気に入り。後ろ姿が、またチャーミング。

    これを読んだお子さんは、間違いなく、木に興味を持つんじゃないでしょうかね。正に最後の絵柄みたいな感じで。木を見る意識が変わると思いますし、木も生きているんだよという、当たり前だけど、大切なことを再実感させられる、素敵な絵本だと思いました。

  • 色々な木の赤ちゃんズ
    金髪をなびかせるむくげのあかちゃん、かなりロックな絵でかわいい
    空をとんで旅立っていくようす、また絵がとても素敵。小さめサイズの絵本で、ほぼ白黒だが十分色があるように感じるステキな一冊

  • 大きな木のような人、ルリユールおじさんと、木と向き合ってきた
    いせひでこさんならではの、木のあかちゃん、つまり種子たちの図鑑。
    いせさんには、あかちゃんズの声が聞こえてしまうのだろう。
    母なる木、枝たちの声が聞こえているのだろう…。

  • 繊細なえんぴつ画の絵本。
    舞い落ちる枯葉や種は赤ちゃん。
    大人向けだと思います。
    どんぐりのぼうしやさんが可愛すぎる。

  • 命がつながれていくことの大切さと、命がつながっていくために必要な強さを感じる作品でした。

    子どもなら、植物ごとに赤ちゃんの姿がこんなにも違うのだということを楽しめるでしょう。おとなでも、可愛い絵本として和むこともできるし、生について生真面目に考えることができる作品にもなるように思います。

    書店で手にして、何度か迷い、何回か通ってやっぱり欲しいと購入。
    一日に一度だけ、偶然開いたページの絵だけを楽しんでみたり、通しで読んでみたり、繰り返し読み、眺めている絵本です。

  • 震災後に描かれた絵本。
    ほぼスケッチ画で色がつけられているのは数ページだけ。
    いろいろなどんぐりたちがかわいらしくて、木のあかちゃんの紹介本としても楽しい。
    いせさんはヤドリギが一番好きなんでしょうね。

    飯野町に全村避難した飯舘村の子供たち(約360人分だと聞いた)全員にこの本を題材にしたイラストとメッセージを一言ずつ描いたものを(二日二晩で描き上げたものですって……!)プレゼントしたそうです。

  • いせひでこさんの絵本と出会って半年後、東北被災地へ絵本を読みに行こう!
    と、思わせてくれたのがこの絵本です。

    2011年に出た新刊です。

    東北のことを想い、たった1ヶ月で描き上げられたと言う、情熱のこもった作品。

    岩手県、福島県、そして東京のチャリティライブにて語り紡がせていただきました。

    こどもたちよ、元気に育ってね。

  • 【東日本大震災関連・その27】
    (2011.10.13読了)(2011.10.13借入)
    10月8日放映の「週刊ブックレビュー」で紹介された本です。
    以下のように内容が紹介されています。(ホームページより)
    「様々な木の種を人間の赤ちゃんにたとえ、新しい命の芽生えと成長の姿を、鉛筆だけの柔らかいタッチで描いた絵本です。
    登場する木の種「あかちゃんズ」は二十種類以上。ヘリコプターのように遠くまで飛んでいくボダイジュ。どちらが遠くまで飛べたかを競い合う、双子のモミジの種。金髪をなびかせながら空を舞うムクゲ。
    そして、80年もの眠りから覚めて、地上に顔を出すメマツヨイグサの種。
    擬人化されてはいるものの、正確な描写力で、植物の生き生きとした様子をユーモアたっぷりに伝えています。
    世界的に活躍する絵本作家の著者が、東日本大震災に衝撃を受けたことを契機に、未来への希望と祈りを込めて、生命の力強さを描き出しました。」

    うちの神さんは植物が好きで、あれこれと教えてくれます。この本に出ている中では、くるくる回転しながら落ちてくる「アオギリ」。双子で仲良しの「モミジ」。などを教えてもらいました。
    ドングリは、いまでも通勤路に落ちています。ときどき子供連れの親子がやってきて嬉しそうに拾って行きます。うちの神さんは、ドングリを拾ってきたら、しばらくしてどんどん虫が出てきたのにがっかりして、それ以来拾ってこなくなりました。
    マツボックリは、以前住んでいたアパートの敷地で、子供たちが集めてきて遊んでいました。マツボックリが落ちる頃には、中の小部屋の種をみんな飛ばした後だったとは、そのころ知りました。
    ヤドリギは、桜の木についているのをよく見かけます。種は鳥が運んでくれるんですね。
    「タンポポのおかあさんは しらがのおばあさんになってから せがのびる」とは、不思議です。うちのおばあさんは、タンポポの花が枯れて種がまだつぼんでいる状態の時に、枯れて畳んである、花の部分を集めてきて、お日様で乾かして、煙草として吸ってました。
    植物のことをいろいろ知ると、自然の中の散策が楽しくなります。
    (2011年10月14日・記)

  • 優しい線で擬人化した植物のタネ(赤ちゃん)を描いた作品。
    赤ちゃんの丸い背中とおしりがたまらなくいとおしい。

    ただ可愛いだけでなく、植物たちの特徴もよく描かれている。
    双子のように連なって風に乗るカエデや、様々の形のドングリなど、わかりやすくタネたちの様子を知ることができる。
    育ちやすい環境が整うまで80年も地中で発芽を待つマツヨイグサの話は驚きだった。

    眺めて楽しむにも、植物の生態の学習の入り口にも。
    繊細な筆致なので大勢で見るには向いていないが、何らかの方法で拡大できれば「植物」のブックトークにも良い。

    小学校中学年〜大人向け。

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著者プロフィール

[著者紹介]いせひでこ(伊勢英子)
画家、絵本作家。1949年生まれ。13歳まで北海道で育つ。東京藝術大学卒業。創作童話『マキちゃんのえにっき』で野間児童文芸新人賞を受賞。絵本の代表作に『ルリユールおじさん』『1000の風 1000のチェロ』『絵描き』『大きな木のような人』『あの路』『木のあかちゃんズ』『最初の質問』『チェロの木』『幼い子は微笑む』『ねえ、しってる?』『けんちゃんのもみの木』『たぬき』など、単行本・エッセイに『旅する絵描き』『七つめの絵の具』『わたしの木、こころの木』『こぶしのなかの宇宙』『猫だもの』『見えない蝶をさがして』『風のことば 空のことば』など多数。


「2022年 『愛蔵版 グレイがまってるから』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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