- Amazon.co.jp ・本 (447ページ)
- / ISBN・EAN: 9784582837919
作品紹介・あらすじ
鴻巣友季子さん推薦!
「弾圧をはねのけ「知」の光へと向かうケイレブとベサイアの魂は今も生きている!
初期ハーバード大学にはネイティブ・アメリカンの学生がいた――史実を基に白人キリスト教少女の目を通しアメリカ社会を描いた全米ベストセラー小説。
各紙誌絶賛! 全米ベストセラー、待望の邦訳!!
これほど味わい深い作品はない……ブルックスは、しなやかな筆致で含蓄のある小説を書く当代屈指の作家として知られる。その評判は本物だ。――ニューヨーク・タイムズ
ブルックスは、ベサイアの目を通して植民地時代のアメリカを描く。17世紀の言葉遣いを忠実に再現した語りは、読者を物語の時代に引き込む。――ニューヨーカー
驚くべき想像力……ブルックスはケイレブに関する数少ない資料を基に、美しい物語を構築した。――ボストン・グローブ
ブルックスが作り上げたベサイアの人物像が魅力的だ……その姿は、現代アメリカに暮らす女性たちの奮闘に通じるものがある。――ロサンゼルス・タイムズ
登場人物は魂の問題に絶えず向き合う。その困難な道のりは、過酷で果てしない。――ワシントン・ポスト
解題:森本あんり(国際基督教大学教授)
感想・レビュー・書評
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油絵を思わせる本のカバーにまず目を奪われた。砂浜に立つ二人は、先住民ワンパノアグ族の酋長の息子ケイレブと、入植したイギリス人牧師の娘べサイアだ。
17世紀のアメリカで、ハーバード大学を卒業したネイティブ・アメリカンがいたことに驚く。この時代は「女性に学問は不要」との考えが当たり前で、べサイアはお兄さんを学校に行かせるために奉公に出されてしまう。
「女のくせに…」「きちんとした妻は、そんな口の利き方をするもんじゃない」高圧的な言葉に憤りながらも、多くの女性が声をあげることができないそんな時代だった。
女に値はありや、なしや
女に理なしと言う者には知らしめよ
母親のかわりに家事を切り盛りし、妹のソレスの面倒も一人でみてきた。ケイレブと出会ってワンパノアグ語も話せるようになり、島の植生や薬草の勉強もした。けれど船の事故で亡くなったお父さんのかわりに宣教師になることは叶わない。「女だから」ずっとだれかのために17歳の私の人生はささげられる。「奴隷になんかなるんじゃないぞ」と言ったケイレブ。彼もまたワンパノアグの仲間のために、みんなが生きるために改宗し大学へ進もうとしている。
時代の中で抑圧された立場にいる者の思いが、見事に描写されていると思った。
同時に"知識を得ること" "自分で考えて進む道を決めること" など大切なことを教えてくれる。
手記という形を取り、べサイアの言葉で語られる。時代が前後して読みづらさを感じるところもあり、ケイレブの思いをもう少し知りたいとも思ったが、壮大なスケールの物語に出会えたことに感謝したい。
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17世紀、ハーバード大学に入学したネイティブ・アメリカンがいた。この史実を元に、間近で見てきた少女の目線で描いた壮大なフィクション。
さまざまな制約のなかで、自らの人生を選んでゆくことの大切さを感じた。 -
17世紀のハーバード大学にネイティヴアメリカンの学生がいたという史実をもとに、そのネイティブアメリカンの幼馴染の少女が出会いから進学・学生生活などを語るという形式のフィクション。
イギリスからアメリカの島へやって来た宣教師家族の娘ベサイア。15歳で亡くなった母の代わりに家事を背負っている。まだ、母がいたころは野山を駆け回り、そこで先住民の少年ケイレブと仲良くなる。ベサイアが教える英語をケイレブは吸収し、ケイレブが教える先住民の言葉をベサイアが理解する。やがて、ケイレブはベサイアの兄と共にハーバードを目指す。
先住民に対する偏見、女性に読み書きは必要ないという常識、先住民をキリスト教に改宗することが正義。乗り越えるべき様々な課題にぶつかるベサイアとケイレブ。お互いを信頼する気持ちは終生変わらず、並外れた才能で困難に望んでいく。
いろいろ考えることの多い状況ながら、読後感は良かった。もっと良い環境が待っていたであろうという気持ちもあるけれど、信頼感に支えられた二人の友情は美しい。 -
積読中
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1636年にハーバード大学が設立された。入植から僅か6年しか経っておらず、当時は宣教のための牧師を育成する目的として設立。先住民を対象にした学寮も作られ、1665年に実際に先住民が卒業していた。すごいとしかいいようがありません。部族の言葉しか知らない若者が、大学に入学を許可されるのは、ラテン語、ギリシャ語を習得していなければならなかったのです。勿論本人の意思だけではなく、開拓者の熱意があったからです。内容はディープだが、中高生にも読みやすい文体かと思う。それ故、なんかこう、「いいこちゃん」な雰囲気が漂う。
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初期ハーバード大学には、ネイティブ・アメリカンのケイレブという学生がいた-。史実を基に、白人キリスト教少女の目を通して、アメリカ社会を描いた物語。森本あんりによる解題付き。
引き込まれて一気読みしてしまった。 -
こういう物語こそ世に広まってほしい。
ジェラルディン・ブルックスにハズレなし。