新書080少年犯罪 (平凡社新書 80)

著者 :
  • 平凡社
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本棚登録 : 78
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (217ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582850802

作品紹介・あらすじ

マスメディアによる少年犯罪報道は、ほんとうに正しいのだろうか。一九九〇年代に「頂点」に達したといわれる少年犯罪の本質を、報道のされ方、統計の見方などの側面から歴史的に検討し、現在の少年犯罪の課題についても論及。「互いに働きかけあい、相互に行為しあうなかで作り出されるもの」として考察する。少年犯罪を考えるための基準点をステレオタイプな説明を避けて提示する。

感想・レビュー・書評

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  • 思っていたのと内容が違かったが、最後まで読ませていただきました。

  • 150円購入2014-03-30

  • 今と昔はそんなに大きくは変わっていないんだな。人間なんてそんなにすぐには変わらないもんだ。
    変わっていると信じる方が気持ちが救われるんだろう。

  • 「少年犯罪」とは何か。「少年犯罪」は「少年非行」の下位概念だということを知らなかった。
    本書にある通り、「少年非行」よりも「少年犯罪」という方がインパクトが強いように感じる。

    「少年犯罪」に関連する統計として出てくる数字をどう受け取るべきか。
    その時々の社会状況が取り締まりの強度と関係あることは当然のことだろう。(重大事件が発生しているのに、人員を割かないことはあり得ない)
    統計の数だけを取り上げて論じるのは、議論としてずれたものになるのは間違いない。

    第一章を読むだけでかなり考えさせられた。
    第二章〜第五章(歴史部分)はざくっと読み。
    第六章の冒頭の20の事件と少年の年齢については、知らない事件も多く、驚かされた。

  • 「戦前の少年犯罪」を読む前に。
    昔の犯罪は飢えや貧しさからの犯罪だったって定説が案の定嘘っぱちだったのを確認。

  • けっこう既成概念を覆された。
    犯罪=経済による物とは限らない。

  • [ 内容 ]
    マスメディアによる少年犯罪報道は、ほんとうに正しいのだろうか。
    一九九〇年代に「頂点」に達したといわれる少年犯罪の本質を、報道のされ方、統計の見方などの側面から歴史的に検討し、現在の少年犯罪の課題についても論及。
    「互いに働きかけあい、相互に行為しあうなかで作り出されるもの」として考察する。
    少年犯罪を考えるための基準点をステレオタイプな説明を避けて提示する。

    [ 目次 ]
    第1章 少年犯罪とは何か
    第2章 明治の少年犯罪
    第3章 大正の少年犯罪
    第4章 昭和(戦前)の少年犯罪
    第5章 昭和(戦後)の少年犯罪
    第6章 少年犯罪の現在
    第7章 改正少年法と犯罪少年の処遇

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    [ 参考となる書評 ]

  • イメージだけで凶悪化したことにされてる現代っ子たちへの誤解を解こうという試み。

    大人になって、なおかつ今の子と接点のない暮らしをしていれば、そりゃあいまどきの子どものことなんてわからない。
    わからないものは怖い→わからないのは知らないからじゃなくて今の子がわけのわからないモノだからだ。

    わからないことをわかろうとする努力がめんどくさいなら、そりゃもう「奴らがわけのわからないものだから俺がわからないのも仕方ない」と納得するのが手っ取り早い。
    ゆえに、いまどきの若いモンは遥か昔からろくでもないし、近頃のガキは凶悪化してるって思いたい。

    でも凶悪化した子どもがいっぱいいると思い込むのは不安なことだ。
    怖がられる子どもたちには不幸なことだ。

  •  少年犯罪とは具体的にどのようなものなのか、明治から昭和、現代にかけての歴史的変遷、2000年の改正少年法の解説などが載っている。
     まず、単純に「少年犯罪が増えた」と言って統計を出されても、それらの統計を鵜呑みにしてはならないということが解説されている。物事を批判的に見るにあたって、統計資料の読み取りを表面的なもので終わらせないにすることが重要であることがよく分かる例となっている。大正・昭和の少年犯罪の話の中では、いかに「活動写真」が少年犯罪の温床になっているのか、ということが分かって興味深い。今の映画館とはちょっと雰囲気が違うようだ。戦前の「保護室の落書き」というのも初めて見た。また「少年犯罪とマスメディア」、「ニューメディアと少年犯罪」の部分は、今一度議論を深める必要がある部分だと思う。
     全体的に、少年犯罪についての著者個人の主張というよりも、少年犯罪の実態に関する研究成果の紹介という感じになっている。(11/03/25)

  • 私はこの本を読んで、少年犯罪は単に心理的にではなく、人々が互いに働きかけあう過程を通じて構築されるものだと考えました。少年犯罪の歴史は深く、明治から放火、家族皆殺しなど過激さをきわめていました。しかし、そこにも人による働きかけがあり、それによって少年による犯罪が起こされてしまうとこの本に実感させられました。日本の法は決してゆるいわけではなく、他の先進国と比較しても決して引けを取るものではないので、少年犯罪をなくしていくには、もっと人々の心掛けが大切になってくるのだと思いました。

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著者プロフィール

関西学院大学名誉教授。少年非行、犯罪学、刑事政策、逸脱行動、社会問題研究。博士(人間科学)。保護司、更生保護施設評議員、学校法人評議員、少年院視察委員会委員。1952年愛知県生まれ、東京大学文学部第四類(心理学・社会学)卒業、大阪大学大学院人間科学研究科後期博士課程中途退学。松山商科大学(現・松山大学)人文学部社会学科専任講師、金城学院大学文学部社会学科・現代文化学部福祉社会学科教授、関西学院大学法学部教授、スウェーデン国立犯罪防止委員会客員研究員、南イリノイ大学カーボンデール校フルブライト研究員、ケンブリッジ大学、ウィーン大学、デラウェア大学客員研究員、中国・吉林大学、蘇州大学、中国人民大学への派遣教授、法務省法務総合研究所研究評価検討委員会委員、地方自治体選挙管理委員会委員、法務省矯正研修所支所、家庭裁判所調査官研修所の講師などを務めた。

主要著編書・訳書
単著に、Juvenile Crimes and Social Problems in Japan: A Social Constructionist Approach, Koyo Shobo, 2019、『再検証 犯罪被害者とその支援』、『新しい視点で考える犯罪と刑事政策』(2010、 2017ともに昭和堂)、『新版少年非行の社会学』(2002、世界思想社)、『少年犯罪』(2000、平凡社新書)、『犯罪学入門』(1997、講談社現代新書)、編著に『新訂逸脱行動論』 (2006、放送大学教育振興会)、監修に『戦前期少年犯罪基本文献集』全44巻(2009-2012、日本図書センター)などがある。

「2022年 『新版 少年非行』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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