- Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
- / ISBN・EAN: 9784582851786
作品紹介・あらすじ
いまだ根強い民族間の憎悪と、冷戦後の複雑なパワーバランスの中で、紛争地域の人びとは、生存すら脅かされている。NGO活動に従事してきた政治学者が、紛争後社会の国際協力のあり方を提唱する。「祈る平和」から「創り上げる平和」へ。紛争地域で私たちは何ができるのか。
感想・レビュー・書評
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▼「平和構築」の役割は、まず紛争後の社会を平和的に再建することだ。これを、「ポスト・コンフリクト・ピース・ビルディング」(Post Conflict Peace Building)という。さらには、これら国家が紛争社会に戻らないように紛争予防に取り組むことも含まれ、平和構築の扱う範囲は実に広い(本書「あとがき」より)。
▼「憎しみの連鎖は止めなければならない。」そう言うことは簡単だが、際限のない暴力を体感してしまった彼(女)らに、そう言い放つことは酷であろう。
▼なぜ紛争がおこってしまったのか。それを理解しようとしなければ、結局また同じ過ちが繰り返されてしまうに違いない。だが、「真実」を知るために、触れたくない過去を振り返りることもまた残酷なことなのかもしれない。
▼どのようなアプローチで、紛争後の平和を構築していくべきか、冷戦の終わっていないアジア地域に生きる私たちにとって、未だ終焉の見えていない課題である。 -
積極的平和、消極的平和。
平和、について考えさせられる。
平和平和って軽々しく発言しているけれど、世界の状況は非常に複雑で、日本とは訳が違う。
終章にて、一国民国家の努力で解決できるものではない。一部紛争国の固有の問題でもなく、地球に住むすべての人間の安全保障に対する脅威と認識すべきと述べられていて、印象的だった。
まず認識すること、そして行動すること。 -
東南アジアの平和構築。紛争予防は新しい概念で勉強になるやっ!
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貧困、差別、絶望、無視。
負の連鎖と、それを断ち切るために求められる国際協力の在り方とは何か?
講義の教科書ということもあり、簡潔に要所がまとめられているので、わかりやすく手軽に読める。
価格は¥777、と、何かいいこと起きそうな数字。 -
大学の講義の教科書として購入。
教科書に指定されるだけあって、入門書的な内容。
こういった分野に興味がある人には、とっかかりとして丁度いいかも。 -
大学の教授が書いた本。
授業の教科書だったが、基本的に知識を詰め込むことに終始している。
授業と変わらない。
紛争の現状とか、そういうことを知りたい方にはお勧めだが、
特に新しい考え方が自分の中に芽生えるわけではない。
そういう意味で☆は3こ -
戦争、難民でトラウマになっている人が世界にはたくさんいることを忘れてはいけない。民族同士で争うことの恐ろしさを感じる。
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「祈る平和」から「創る平和」へ。
紛争が起こっている地域で一体何ができるのかを考えている本です。
紛争社会の現状、紛争後の社会の平和構築の意義、そして今起こっている紛争の歴史的な背景をたどり、平和構築の実践とその手法・仕組みを詳しく書き手NGOの活動、最後には予防外交の考え方と国際社会の関わり方市民参加の重要性など盛り沢山な内容になっています。
ですが、あまり難しく肩肘張らずに読めるのは著者が教員生活を経て人に教える方法をマスターしていてどう話せば、どう書けばより伝わるか、理解できるかを考えて書いているからでしょうか。
一番よかったのは平和構築の実践とその手法・仕組みでしょうか。
著名なリーダー間での合意が必要というだけでなく、大多数の草の根のリーダーや地元の人々の和解、協力だけでなく実は中間の各セクターで尊敬されているリーダーであるとか、民族的・宗教的なリーダーの関与がとても重要だという事実です。
トップダウンでもボトムアップでもない中間レベルからの波及効果というのはここへのアクセスから見ても容易である点など多数の理由が掲げられてましたが納得する点が非常に多かったと思います。
全体を通しても国際協力に興味があるような初心者から専門的に研究している人まで
誰が読んでもある程度の満足は得られると思います。