科学者としての宮沢賢治 (平凡社新書)

著者 :
  • 平凡社
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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582855333

作品紹介・あらすじ

詩人、童話作家、科学者等々、多彩な顔をもつ宮沢賢治。しかしその世界観は一貫しており、幻想的で、四次元的な感覚によって成り立っていた。妹の死や、度重なる肺炎などの病、貧困による絶望感に加えて、故郷の南部北上山地の独特の民俗、歴史、地層などが渾然一体となり、特有の感性が培われていったのだ。現代の科学的知見を手掛かりに、賢治思想の核心に迫る。

感想・レビュー・書評

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  • 賢治は、東山町(一関市)にあり、石灰岩粉末を主原料とする肥料を製造していた東北砕石工場の鈴木東蔵に招聘され、その人柄と語り口が好きになって、これにこたえた。

  •  宮沢賢治を現代科学の観点で読み直すというのが本書の主旨である。著者は理学博士であり、専攻は物理学らしい。だから、論証自体は空想ではない。はたして賢治の作品を科学の切り口で語りきれるかどうかといえばそれははなはだ心もとない。むしろ筆者の思いが、賢治をしてそのような存在になさしめているともいえる。
     全編を通して感じるのは筆者が賢治に対してむける敬愛の念であり、賢治の目を通して逆に現代の現象を見ようとする意欲である。例えば終章などは賢治の世界というよりは、現代のあり方を賢治の視点から照射しようという内容になっている。序文に「宮沢賢治は生きている。新しい時代に向かって再生しつづけるのだ。」とあるのが端的にそれを物語っている。
     文学研究書としての評価は私にはわからないが、一人の作家にほれ込んだ筆者の幸福感は十分に読み取ることができた。

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