動物園の文化史―ひとと動物の5000年

著者 :
  • 勉誠出版
4.08
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784585220824

作品紹介・あらすじ

古代動物コレクションから生態系改造計画まで、野生空間で捕らえた動物を、檻や濠のなかで飼育する「動物園」はメソポタミアの古代文明から現在まで、さまざまな形に変化してきた。生活スタイル、環境、宗教、植民地支配などに影響されながら変化してきたひとと動物のかかわりを探るとともに、自然観をあらわす鏡としての動物園の魅力に迫る。

感想・レビュー・書評

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  • MY5a

  • 人と動物(或いは人と人)の関わり方としての動物園を歴史から読む文献。動物園を見る視点、語る視点が増えます。ただ動物を外から眺めてお終い、とならないためにも有効かと思われます。

  • 爽快な総覧ぶり、オチの皮肉も良い、近代動物保護へ一石

  • 8/8 NHKドキュメンタリーURLはこちら http://www4.nhk.or.jp/P3219/ 『「世界最高峰!究極の動物エンターテインメント〜スイス・チューリヒ動物園の舞台裏〜」』 : 
    これを見ながら、動物園の将来って? と考えた。
    検索してこの本に行き着いたので、読み始めたところ。

    人間は、ずいぶん昔(メソポタミア文明とか)から、動物を集め囲い込むことをしているのには驚いた。
    旧約聖書には、人間が他の生き物を支配すると書かれていて、ノアの方舟でも、生物を絶滅させるかは人間にかかっている。
    一方、お釈迦様以降のインドでは、真逆な動物園?があるとか? 生類憐れみの令のもっと極端な様子らしい。
    ジュラシック・パークとその新作「ジュラシック・ワールド」を見てきたところだし、
    この本は興味深い内容のようです、これから、読み続けます。

    本書では、専門向けではないけれどかなり詳しく『動物園』の歴史について述べられています。
    内容は、驚くようなことが多く、人間が動物を支配する考えのもと、飼育方法も飼育環境もいいとはいえない状態で多くの動物が飼われていました。

    ダーウィンの「進化論」が浸透していった近代。
    動物に対する人々の考えは変わっていきますが、『動物園』は、一般人々の娯楽として大人気。
    サーカスなども併設されたり エキゾチックな建物が使われたりと趣向が凝らされます。
    さらに、人間(異民族)までが展示されたのには驚き!

    現在では、環境破壊などによる動物の絶滅に対する動物園の役割は、重要になっています。
     数が少なくなった動物を人工的に繁殖させて自然に返す、それを世界規模のネットワークで行っているとのこと。
    最終章は、心を打たれるような濃い内容で、時間はかかったけれど最後まで読んで良かった。
    全般にこだわりの内容ですが、いい本だと思いました。


    本書の用語
    ・ 「動物コレクション (animal collection)」〜古代(4世紀まで)から中世(5〜15世紀)にかけて、さまざまな目的のために存在した動物飼育施設。
    ・ 「メナジェリー (menagerie)」〜近世ヨーロッパ(16〜18世紀)の王たちが、みずからの権威をアピールするために作らせた飼育舎。
    ・ 「動物園 (zoological garden)」〜研究・教育を目的としてつくられた、近現代(19世紀以降)の動物飼育施設


    2015/08/08 予約 8/15 借りて読み始める。 6/7 読み終わる。

    内容と目次・著者は

    動物園の文化史―ひとと動物の5000年

    内容 :
    野生空間で捕らえた動物を檻や濠のなかで飼育する「動物園」は、メソポタミアの古代文明から現在まで、さまざまな形に変化してきた。
    ひとと動物のかかわりを探るとともに、自然観をあらわす鏡としての動物園の魅力に迫る。
    目次 :

    動物園の世界へようこそ

    第1章 「動物コレクション」の起源
     狩猟民と動物たち
     最古の文明と動物コレクション
     非ヨーロッパ圏の動物コレクション

    第2章 古代・中世ヨーロッパの動物コレクション
     古代ヨーロッパの動物コレクション
     中世ヨーロッパの動物コレクション
     変わりゆくヨーロッパ人の自然観
     【コラム1】動物裁判

    第3章 飼育舎は八角形?―近世におけるメナジェリーの発達
     王侯貴族の娯楽と動物たち
     近世ヨーロッパのメナジェリー
     動物はただの「機械」なのか?―かわりゆく近世ヨーロッパの動物観
     クマ濠、ライオン舎、巡回メナジェリー―民衆と外来の動物たち
     【コラム2】野獣の主伝説

    第4章 近代動物園の誕生
     「表」になる自然―新しい分類法の誕生
     近代動物園の成立
     人間の「親戚」としての動物たち

    第5章 動物園は大洋をこえて―アメリカと日本
     アメリカの動物園と「ショーマンシップ」
     日本の動物園と日本人の自然観

    第6章 動物園でひとを展示する!?―「動物王」ハーゲンベックとその事業
     ハーゲンベックと動物たち
     ハーゲンベックと「民族展」
     【コラム3】幻の恐竜飼育

    第7章 ベルリンの〈ジュラシック・パーク〉
     絶滅動物を再生せよ! ―ナチス・ドイツの仰天計画
     絶滅動物をよみがえらせる

    最終章 ノアの箱舟―動物園の存在意義をめぐって
     謎の巨大建造物
     動物園の役割とは?
     環を閉じる―『ジュラシック・パーク』再考

    あとがき
    参考文献一覧

    著者 : 溝井裕一
    1979年兵庫県生まれ。関西大学大学院文学研究科博士課程後期課程学位取得修了。博士(文学)。
    著書に「ファウスト伝説」「グリムと民間伝承」など。

  • 動物園のイメージがジュラシックパークだというところから始まるのは?だったけれど、主にヨーロッパの動物園・動物観の歴史のお話。ハーゲンベックの「民族展」(人間の展示)の話は知らなかったなぁ。これじゃあサムライも展示されかねなかったなと思ったり。

  • 西洋を中心とした動物園の歴史について書かれた本。そのタイトルの通り、古代メソポタミアの動物コレクションから始め、近世のメナジェリー、現代の動物園に至るまで書かれている。

    ただ単純に動物園の歴史を書くだけではなく、各時代・地域における動物観・自然観にも言及しているのがよい。この本ではヨーロッパがメインとなっているため、聖書の記述が特に強い。つまり、人間は他の動植物を支配する権利を持っているのだ、と。

    全体を通してみると、動物園の歴史とは支配の歴史であることが分かる。いかにして人間は自然を支配しようとしてきたのか。そしてその支配対象は動物のみならず、民衆も含まれている。それが各々の動物園の形態に反映されているのだ。

  • <閲覧スタッフより>
    「動物園」というと家族で行った、遠足で行った、という思い出はあっても、「文化史」と結び付けて考えたことはない人の方が多いかもしれません。
    この本では人と動物がどのようにかかわってきたのか、ヨーロッパを中心とした動物園の歴史を辿りながら述べられています。
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    所在記号:480.76||ミソ
    資料番号:10225620
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  • 11月新着

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著者プロフィール

1979年兵庫県生まれ。関西大学文学部准教授、関西大学博士(文学)、ドイツ民間伝承研究・西洋文化史、ひとと動物の関係史、主要著作に『動物園の文化史――ひとと動物の5000 年』(単著 勉誠出版 2014年)、『ファウスト伝説――悪魔と魔法の西洋文化史』(単著 文理閣 2009年)、『ドイツ奇人街道』(共著関西大学出版部 2014年)、『グリムと民間伝承――東西民話研究の地平』(編著麻生出版 2013年)。

「2015年 『欧米社会の集団妄想とカルト症候群』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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