図書館炎上―二つの世界大戦とルーヴァン大学図書館 (叢書・ウニベルシタス 385)

  • 法政大学出版局
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  • Amazon.co.jp ・本 (273ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784588003851

作品紹介・あらすじ

ある大学図書館の二度にわたる炎上と再建をめぐって,底流をなす文化の葛藤を,背景をなす時代の相貌を描き出す。ミステリーの味わいをもつ歴史ノンフィクション。

感想・レビュー・書評

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  • 第一次世界大戦中の1914年、ドイツにより炎上したベルギー・ルーヴァン大学図書館の復興を扱うノンフィクション。
    戦後、ドイツは蔵書の弁償を求められる。被害額の見積もりはいくらか?古書は買って返すのか、ドイツの図書館が所蔵するオリジナル古書を差し出すのか?買い付けのための委員会、有限会社の設立。敵国でありながら時に協調しあい、時に駆け引きを行う図書館関係者たち。
    そしてフランス、英国、アメリカ等による国際支援。特にアメリカによる建物再建の支援では、バトラー、ウォレン、フーヴァーと色々な事業家?が登場しては寄付集めに難渋する。ようやく建ったら、ドイツ批判の碑文を載せるかどうかでまた一騒動。そして第二次世界大戦でまた炎上。
    図書館がただの建物でなく、文化的・イデオロギー的な破壊と復興の象徴として祀り上げられていくさまが面白い。また主要な働きをしていた人物が恋愛を理由に突然表舞台を去ったり(道ならぬ恋だったのか)、図書購入の権限を握った人物がだんだん愛書家趣味に走って研究者と対立したりと、やたら人間くさい理由で歴史が動いていく。
    ところで1915~1925の各国委員会によるルーヴァンへの図書寄付運動では、日本が1万5千冊くらいの日本の書物を送っているそう。日本側での送り出しの動きも知りたいものだ。

  • 1914年8月、ドイツ軍の攻撃によって焼失したルーヴァン大学図書館の復興をめぐる記録。戦後ドイツによる賠償スキーム、フランスやアメリカからの寄付金集めが、関係者の思惑、全般的な政治情勢の中の小国ベルギーの立場、イデオロギー闘争の思惑ともからんで二転三転してゆくさまを描く。復興したルーヴァン大学図書館は第二次世界大戦で再びドイツ軍によって破壊され、戦後、大学がフラマン系とワロン系に分裂することで、「三度目の図書館破壊とも言うべき事態」に立ち至るとのこと。

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