絵描きの植田さん

  • ポプラ社
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本棚登録 : 433
感想 : 79
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  • Amazon.co.jp ・本 (141ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591078525

感想・レビュー・書評

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  • 『絵描きの植田さん』読了。
    すごく優しい気分になれる本でした。
    およそ6年前にも読んだけど、また新たにほっこりした…
    雪に囲まれた厳しい冬の時期に湖の向こう側からやってきたメリと出会い、耳が聞こえなくなってから世界を閉ざしていた植田さんがまた自らこの世の音を聴こうとする。
    春の雪解けに近づくにつれ絵を描きはじめようとする植田さん。
    耳は聞こえなくなったけれど残された機能を活かして素晴らしい世界を絵に残そうとする姿が良かったです、非常に…
    メリも植田さんの絵を通して素晴らしい世界に住んでいることに気づいて本当によかったですよ…
    表面的には辛い出来事を表に出していなかったけれど、本当はどこかで無理をしていたのかもしれない。
    イラストがとても素敵でしたのよ…何回か見かけた作風からしてずっと前からこの方のイラストを知っているような気がする。ほっこり〜〜〜笑

    2021.9.15(2回目)

  • 不慮の事故によって、恋人と聴覚を失った絵描きの植田さん。それ以来心を閉ざす毎日。そんな植田さんの住む高原の小さな村にある日引越してきた母と娘。いつも明るく天真爛漫な娘のメリの素直な心に植田さんの心も次第にほぐされていく。しかしメリが吹雪の雪の夜に森で遭難し、病院に運び込まれてしまう事態が…。夢を見るような切ない物語と共に、音のない真っ白な冬山を描いた植田真さんの絵がホントに綺麗で、その儚くてあたたかい世界観にどっぷりハマってしまいました。メリを筆頭に、昔スケート選手だった定食屋のおばちゃんや不器用なトラック運転手のオシダさんなど、村の住人たちがみな暖かくて、植田さんの固く閉ざした心が溶かされていくと同時に、自分自身もあたたかい愛に触れたような、心地いい感覚の中で自然と涙していました。冬の寒い夜、気分だけでもほっこり、あったまるこになってみませんか?

    • シンジュロウさん
      円軌道の外さん、初めまして。真珠瑯と申します。
      フォローとご丁寧なコメント、有難うございました。

      私も円軌道の外さんの本棚を眺めていますと...
      円軌道の外さん、初めまして。真珠瑯と申します。
      フォローとご丁寧なコメント、有難うございました。

      私も円軌道の外さんの本棚を眺めていますと、とても趣味の似たところを感じて、つい見入ってしまいました。

      レビュー率100パーセントというだけでも素晴らしいのに、その一つ一つが丁寧で、読んでいて楽しいですね。

      人見知りなのでこっそりと見ているやもですが、これから宜しくお願いします。
      2012/04/16
  • 絵がかわいい。もちろんいしいさんのお話も。こういう絵が似合う絵本みたいなお話かけるいしいさんはやっぱ好き。



    ねえ、みんな!いままで知っていた?
    考えたことがあった?
    私たち、こんなすばらしい世界に住んでるのよ!

  • のまれるような白の中に、たくさんの色がぽつぽつ浮かぶ、すてきな本でした。絵が描きたくなった。

  • 私たち、こんなすばらしい世界に住んでるのよ!

    メリが口にするセリフです。いしいさんの本に書かれてるとほんとにそんな気がしてきます。
    植田さんのシンプルだけど繊細であたたかみのある絵もすてきです。

  • とてもとても良かったです。
    涙が出ます。

    是非!オススメ!

    自分もまた、繰り返し、ジックリ読みたい。
    文庫版を買っておこうと思います。

  • 絵描きの植田さんの住む村に、ある日、母娘が引っ越してきました。娘メリの天真爛漫な明るさに、植田さんも心がほぐれます。そんなメリが、吹雪の夜森で遭難し、病院に運び込まれ…。植田真の絵が彩る、奇跡みたいな物語。

  • 図書館で借りてきました。すごく良かったです。
    主人公の植田さんもそのまわりの人たちも。
    私は田舎が苦手なのですが、その田舎の私が嫌いな空気というか雰囲気というかを漂わせず、けれどいい感じに田舎で気に入りました。
    悲しい出来事も起こらず、落胆することもなかったのですらすら読めました。
    最後はどきどきはらはらで、最悪の結末も考えましたが、ハッピーエンドで本当にほっとした(笑)
    文章の静けさに雪国(じゃなくても雪が降ったとき)の静けさを感じて冬が恋しくなりました。
    スケート選手なんて現実にはそうそういるはずないのに、なぜそう簡単に物語りに溶け込んでいて、私自身もそれを受け入れられたのでしょうか。
    いしいさんの本はそういう現実とファンタジー(と言ってしまっていいのかな)の融合が面白いです。
    プラネタリウムの双子では少し不協和音を感じたものの、今回はそういうのは一切なく、本当にすんなり受け入れられました。
    雪崩にあったときの話は忘れないでおこうと思いました(笑)いつか役に立つ日がくるかもしれない・・

  • 他のいしい作品は、地球以外のどこかの星で営まれている生活で、ひょっとしたらそこの人たちは地球人とは血の色が違うのかもしれないなぁと(差別的な意味はなく、個性的な意味でね)思うようなことも多々あるのだけど、この作品の登場人物は、私たち地球人と同じあかい血が流れてるなぁと思った。
    わけわからないね。失礼。


    イラストも素晴らしいし、お話も誰かと手をつないでるような安心感があって、素敵。

  • ずっと手許に置いておきたい本です。

著者プロフィール

いしい しんじ:作家。1966年大阪生まれ。京都大学文学部卒業。94年『アムステルダムの犬』でデビュー。2003年『麦ふみクーツェ』で坪田譲二文学賞、12年『ある一日』で織田作之助賞、16年『悪声』で河合隼雄物語賞を受賞。そのほか『トリツカレ男』『ぶらんこ乗り』『ポーの話』『海と山のピアノ』『げんじものがたり』など著書多数。趣味はレコード、蓄音機、歌舞伎、茶道、落語。

「2024年 『マリアさま』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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