月のうた

著者 :
  • ポプラ社
4.05
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本棚登録 : 193
感想 : 50
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  • Amazon.co.jp ・本 (217ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591099551

感想・レビュー・書評

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  • 「本当のやさしさってのはね、自分のことは全部背負いこんで、きっちり落とし前をつける強さがないと出てこないもんなの。そういう覚悟がある人だけが他人に本当にやさしくできるの」

    登場人物の視点を変えながら、同じ状況を違う視点で描きながら、物語は少しずつ進んでいく。
    ”死”が絡んでいるのもあると思うけれど、其々が互いを思いやる気持ちにあふれていて、心に沁みる。

    伊吹有喜の本を好きだとここに書いたら、穂高明の本も好きかもよ!とここで教えて下さったので、読んでみました。ありがとうございます。(通勤電車で読むのは危険)

  • 読了後に余韻が強く残る家族の物語。
    章ごとに分かれた人物たちの心模様が読みやすい。
    そして章ごとに読むと人物たちの本心が垣間見える。
    そんな不器用で衝突ばかりの家族がイジらしく愛おしい。
    読み手が優しく見守る形になる構成や、内容の深さや現実など熟読して読むことが出来た本。

  • そっかこれも月の本だったんだ。
    すっかり忘れてた。
    眼鏡かけて星見るとこだけは憶えてたなあ。
    そうそう月は同じとこしか見えないんだよね。
    すっかり忘れてた。

  • 子どもと大人というのは時間軸の話で、人間としての度量の大きさとか優しさとかはは子どもと大人という縦軸とはまた違ったベクトルで決まっているような気がします。
    もちろん経験によるものも多大とは思いますが、死ぬまで心が狭くて優しくない人なんて腐るほどいますから。
    主人公の民子は中学生ながらナチュラルに度量が大きく、大人縦軸の拡張でさらに将来開花しそうな、意思も強くて優しい女の子。でもそういう風にあからさまに書いていないのが憎い。それなりにイライラしたりぶつかったりするし、基本愛想が不足しているのですが文章から読み取れる情報だけでも真っ直ぐ育っているのが感じられます。
    民子は母を早くに亡くし、その後若い後妻が来るのがポイントなのですが、ここは是非読んで確認して頂きたいです。父親がちょっとあんぽんたんなのは女性陣を引き立てる為なのでしょう。

  • 「むすびや」でその世界にハマったのをきっかけに読んだが、思ったほどのイメージではなかった。でも、人の温かさに通じるものはあって良かった。

  • ほっとするような、やさしいお話だった。
    1章は母を亡くした民子、2章は継母の宏子、3章は母の親友の祥子、4章は父親…と、視点が変わっていく。
    どの人物の感情も理解できて、読みやすかった。

  • 第1章は母を亡くした民子の目線。
    第2章は継母の宏子、
    第3章は亡き母の親友祥子、
    第4章は父親の目線で語られている。

    1章を読む限りでは継母どうよ、と思ったりしたが、2章ですっかり継母にシンパシーを抱いてしまった。
    祥子さんとその息子陽一君、母方の祖母婆んば、皆優しさの芯に強さを持っていて、民子を見守る感じがとてもいい。

  • 美智子が亡くなったあとに、娘の民子や後妻の宏子、親友だった祥子、夫が綴っていく話。
    なんとなくとっつきにくい文章かなぁと思ったけど、読んでるうちに涙が流れた。登場人物がみんな誠実な人柄を表していた。

  • 義理の関係、こんな風にうまくいくといいのに。
    ちょっとお父さんが情けないね。
    それに比べ、出てくる女性はみんな力強く生きているなね。

  • 小学5年生の時、最愛の母が癌で亡くなった。その2年後に父が再婚した。実母とはまったくタイプの違う天真爛漫な女性だった。中学生になった民子、継母の宏子、母・美智子の親友の祥子、父・亮太の視点で語られる。


    大きな事件が起こるわけではなく、強いけど揺れ動く民子の心、彼女を取り囲むあたたかい人たちとの交流が胸を打つ。民子の幼なじみであり、祥子の息子でもある陽一との関係がつかず離れずでステキだな。継母の宏子も、難しい立場にいながらも、頑なだった民子の心をほどいたかわいらしい女性だった。いろんな立場ではいるけど、誰もがいい人。ホッとする話だった。

著者プロフィール

一九七五年、宮城県生まれ。早稲田大学大学院修士課程修了。二〇〇七年『月のうた』で第二回ポプラ社小説大賞優秀賞を受賞。同作は、傑出した筆力を書評家などから絶賛された。他の著書に『かなりや』(ポプラ社)、『これからの誕生日』『むすびや』(双葉社)、『夜明けのカノープス』(実業之日本社)がある。

「2019年 『青と白と』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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