(034)恋 (百年文庫)

  • ポプラ社
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  • Amazon.co.jp ・本 (169ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591119167

感想・レビュー・書評

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  • どれも叶わぬ恋の物語だが、情景が細かく美しく描かれている。しかし、吉川英治のオチは、そりゃ反則じゃないのかね?「お前、結婚して子供もおんのかーい!」
    98/100

  • 『隣の嫁』の隣家の主人にはもったいない出来た嫁が自分に惚れていると人から言われた途端に意識しだしてしまう主人公の純真さと言うか初々しさが鮮やかでした。結局誰も幸せにならないけれど恋は止められるものでは無いのだな、と改めて感じました。
    『炭焼の煙』の山奥に一人住む炭焼きの男の切ないこと。雇い主の娘を想い続けて老いる姿が哀しかったです。
    『春の雁』は…え?妻子持ち???に尽きました。

  • 隣りに住む人妻に恋心を抱いている青年のどうしようもない気持ちがせまってきた「隣の嫁」。桜の花見に来たお嬢さんをたまたまおぶったことで恋心を抱いた炭焼きの若者の話が一番切なくもどかしく感じた。若者が何故山の中たった一人で炭をやいているのかも哀れだ。全く知らない作家なので百年文庫に入っていなかったら読むこともなかった。最後の「春の雁」は遊女に惚れて見受けしようとしたのだが遊女の母の愛にふれて、自分も故郷の妻子に思いを馳せるという話。えっ、妻子いたんかい?と時代だといえばそれまでだが不快感がぬぐえなかった。

  • 「隣の嫁」
    昔の結婚の辛いところだ。
    おとよさんも、清六のところに嫁いできたからこそ省作と出会えたのではあるけれど、それでも、せつない。
    気の合う2人、思いあい幸せになれる2人なのに。
    どうせ、両方とも破縁になったのなら、くっついちゃえばいいのに。
    でも、お隣さんだから、ややこしいか。

    「炭焼の煙」
    恋は盲目。
    傍から見れば、この男にお嬢様が気を留めるわけもない。
    みな、何気なく戯れの言葉を口にする。
    絶対にありえないことだから、かえって安心して。
    人慣れしていない、素朴・純朴な真次が、疑いながらも信じてしまった真次が、悲しい。

    「春の雁」
    背筋を伸ばした粋な姿の女たち。
    しかし、心の奥に抱えているものは、重くうす穢くすらあるのだ。
    過去と、生活の影が見えたとき、恋は恋の域をでることはなくなった。
    リアルだな、と思う。

  • 三作品が載っていて、そのうち一番心に残ったのが江見水蔭の「炭焼の煙」。江見水蔭という作家は初めてだが、朴訥な炭焼の真次がよく描けていた。彼の失恋と失望が痛いほど伝わってきた。


    いずれも悲恋物。昔の作品ばかりだけどなかなかよかった。

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