([も]1-1)路地の匂い 町の音 (ポプラ文庫 も 1-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591119945

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  • 生まれたのは東京都荒川区。でも、生後1年も経たずに現在の実家が
    ある場所に越して来たので、ほとんど埼玉育ちである。

    だから、「東京へ行く」と言えば上野か浅草。このふたつの町は子供の
    頃から親しんでいるし、その周辺を散歩するのは今でも好きだ。

    なので、下町を描いたエッセイは大好き。タウン誌「谷根千」の編集人と
    して下町ブームの火付け役ともなった著者の作品も何作か読んで来た。
    勿論(?)未だに積みっぱなしの作品もある。

    本書も東京の町を題材にしたエッセイということで手にした。だが、何か
    が違う。短いエッセイを集めて1冊にしたものだから、統一感がないのは
    仕方ないのかもしれない。

    読んでいて違和感ばかりが増したのは、下町の良さを強調するあまり
    に、ほかのことを引き合いに出しているからなのかもしれない。

    東京の老舗の親しみ易さを説明するのに、京都の老舗を持ち出すのは
    いかがなものか。

    なかでも一番引っかかったのは、下町商店街とデパートの比較だ。
    こんなかけ離れた場所を比較して「下町商店街はサイコー」と言わ
    れてもなぁ。

    商店街は日常の買い物をするところ。デパートは特別な日の買い物を
    するところと思っているので、「こりゃやっちゃいけないだろう」と思って
    しまった。

    市民運動にも関わっているせいか、行間からほんのりと政治の匂い
    がするのも好きになれなかったな。この人のエッセイは、もう読まなくて
    もいいのかもしれない。

    あ…積んである本はどうしよう。汗。

著者プロフィール

1954年生まれ。中学生の時に大杉栄や伊藤野枝、林芙美子を知り、アナキズムに関心を持つ。大学卒業後、PR会社、出版社を経て、84年、地域雑誌『谷中・根津・千駄木』を創刊。聞き書きから、記憶を記録に替えてきた。
その中から『谷中スケッチブック』『不思議の町 根津』(ちくま文庫)が生まれ、その後『鷗外の坂』(芸術選奨文部大臣新人賞)、『彰義隊遺聞』(集英社文庫)、『「青鞜」の冒険』(集英社文庫、紫式部文学賞受賞)、『暗い時代の人々』『谷根千のイロハ』『聖子』(亜紀書房)、『子規の音』(新潮文庫)などを送り出している。
近著に『路上のポルトレ』(羽鳥書店)、『しごと放浪記』(集英社インターナショナル)、『京都府案内』(世界思想社)がある。数々の震災復興建築の保存にもかかわってきた。

「2023年 『聞き書き・関東大震災』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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