- Amazon.co.jp ・本 (155ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591121726
作品紹介・あらすじ
ロンドン郊外の「幽霊屋敷」に合理主義の権化のようなアメリカ公使の一家が入居した。「輝かしい閲歴」をもつ幽霊は家人を怖がらせようと必死になるが…(ワイルド『カンタヴィルの幽霊』)。領地に出没する「裸の少年」の戦慄すべき正体(サキ『ガブリエル・アーネスト』)。怒りにまかせ悪口雑言を浴びせかけるかと思えば、うろたえ「泊まっていってくれ」と哀願する屋敷の主人。不気味さをこらえ「客」となった男が語る、恐るべき物語(ウォルポール『ラント夫人』)。超現実の闇とユーモア、奇々怪々の三篇。
感想・レビュー・書評
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ワイルド「カンタヴィルの幽霊」
サキ「ガブリエル・アーネスト」
ウォルポール「ラント夫人」
恐怖にも品格ってあるよね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
夏なので怪談を。ウォルポールのホラーが現代的。63/100
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幽霊の国・イギリスの作家ばかり3人。
「カンタヴィルの幽霊」
モンスターズインク的な楽しい話。
幽霊は怖れられて、人を不幸にすることが名誉なのに、怖がってくれない家族に心を砕かれるのが、面白い。
ああ、幽霊も人間なんだな、と、笑えた。
怪奇現象をあっけらかんとかわし、楽しんですらいるようなオースティー家一同の逞しさも、愉快だった。
話の終末、サー・サイモンの哀れな最期のところは落ち着いた口調で語られていた。
面白かった。
「ガブリエル・アーネスト」
少年が何者か、読者はすぐにピンとくる。
伯母は最後までその気味悪さに気づけない、というあたりが、少しおもしろい。
赤ずきんを思い出した。
古今東西、女性は悪い男に騙されやすい存在だという認識があるのだろうか。
「ラント夫人」
幽霊もなかなか、臭い上に力強いのだなあ。
物理的存在感が強い幽霊。
さすがイギリス。 -
サキの小説を初めて読みました。「ガブリエル・アーネスト」うまいなあ。
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このシリーズは作品を丁寧に選んでいる感じがすごくして、好感が持てる。
今回は『幽』のタイトル通り、幽霊あるいはそれに準ずるものの話。どれも語りすぎず適度なところで切り上げているのがよい。 -
8/21 読了。
「ぼくが君のこころを持っている限り、君は君の秘密を持つがいい」 -
ワイルド『カンタヴィルの幽霊』
サキ『ガブリエル・アーネスト』
ウォルポール『ラント夫人』 -
装画 / 安井 寿磨子
装幀・題字 / 緒方 修一
底本 / 『アーサー・サヴィル卿の犯罪』(国書刊行会)、『恐怖の愉しみ 上』(創元推理文庫)