(P[ふ]2-2)船に乗れ! I (ポプラ文庫ピュアフル)

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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591123997

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    『船に乗れ!』 藤谷 治

    友人のチェロ弾きから「面白いよ」と薦められて読んだ本です。

    全3巻。
    Ⅰ 合奏と協奏
    Ⅱ 独奏
    Ⅲ 合奏協奏曲
    と副題がついているように、音楽が題材になっている物語です。

    物語は、30代後半の「僕」が自分の高校時代を振り返る形式で語られる青春小説。

    エリート音楽一家に生まれ育った主人公のサトルは、祖父が学長を務める音楽高校に入学し、
    初めて手に取ったチェロと格闘しつつ、ヴァイオリンを専攻する枝里子と出会い、
    クラシック音楽という共通項を通して夢や恋を膨らませていく。

    その描写はすごく甘酸っぱい。
    気持ち悪くなるくらい甘酸っぱい。

    (かっこ内は私のつっこみです)
    もらった手紙に
    「演奏している津島君は、最高にきれいです。 南枝里子」

    「私、あの先輩のヴァイオリン、嫌い」
      ・・・中略・・・
    「僕のチェロはどう?」
    「好きだよ」
    (チェロはというあたりがぎこちない 笑)

    「僕とオペラ見に行かない?」
      ・・・中略・・・
    「あのさ、オペラさ、デートなんだけど」
    「分かってるよ」
    (初デートがオペラかよ!)
    一巻は、さわやかな青春小説として王道ともいえる物語展開。

    こういうのは、ずっとは続かないんだよねー

    なんて、ニヤニヤしながら読んでいたのですが・・・

    その展開は私が思っていたよりずっとずっと衝撃的で・・・

    ネタバレになるので、詳しくは書きませんが、

    2巻のP232のたった一言で胸がズキンとなり、
    それから涙がドバーっと滝のように流れました。

    そんなことってねーだろーそんな気持ち。

    絶望と挫折。

    3巻はその後「僕」がとった結論と話は進んでいきます。

    友人は「面白い」といって薦めてくれましたが、
    私にはあまり面白くない作品でした。
    面白いというよりは痛い。

    なんか、心の後ろにたまった膿をチクチクつつかれる
    そんな痛さ・・・。

    クラシックの知識がなくても読めます。
    クラシックの知識があると、どんな曲か分かります。
    子供のころからクラシックを弾いていると、僕の気持ちが痛いほど分かります。

    2010年本屋大賞にノミネートされている本です。

  • 一瞬の風になれのような爽快青春小説かと思いきや、明るいのは1巻目だけで2巻目以降はやたらに暗い。
    主人公が過去を振り返る体裁なのだけど、それもやたらに冗長かつ暗い未来を匂わしてばかりだし、作者の趣味なのかやたらに哲学の話が出てきて辛い。作家なのだから青春や人生について語りたいなら哲学者の言葉を借りるのではなく自分の言葉で表現して欲しかったところ。
    甘やかされて天狗になっていたお坊ちゃまが挫折する姿を見て楽しみたい方にはいいのでは。

  • 青春音楽小説三部作。
    音楽の専門的な言葉が多いため、話の流れに乗れなかった。

  • 前半、ちょっと期待はずれ。
    中だるみがあって、オーケストラの本番、ピアノトリオあたりから俄然読みごたえが出て来たので良かったです。

著者プロフィール

1963年、東京都生まれ。2003年、『アンダンテ・モッツァレラ・チーズ』(小学館)でデビュー。2014年、『世界でいちばん美しい』(小学館)で織田作之助賞を受賞。主な作品に『おがたQ、という女』(小学館)、『下北沢』(リトルモア/ポプラ文庫)、『いつか棺桶はやってくる』(小学館)、『船に乗れ!』(ジャイブ/ポプラ文庫)、『我が異邦』(新潮社)、『燃えよ、あんず』(小学館)など多数。エッセイ集に『小説は君のためにある』(ちくまプリマ―新書)など。

「2021年 『睦家四姉妹図』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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