(P[に]2-4)子どもたちの長い放課後 YAミステリ傑作 (ポプラ文庫ピュアフル)

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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591124529

感想・レビュー・書評

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  • 若竹七海さんが仁木さんの「こどももの」の中から選んだ短編作品集。書籍初収録作品に惹かれ購入。作品が古いため多少表現に違和感を感じる部分はありますが、それがなければ現代の作品と言われても違和感ない新鮮さがあり、再読でも楽しめました。暗い描写の内容でも、あまりそれを感じさせないのが仁木さんの魅力だと思います。

  • 著者の「子どももの」の短編集ということで軽い気持ちで読み始めましたが、なかなか毒が利いており良質なミステリーでした。
    子ども時代を懐かしく思うとともに、「そうそう、こんな風に憤りや苦しみも感じていた」と思い出すことが多かったです。無邪気で楽しいだけではない子ども達が描かれています。


    【一匹や二匹】2匹のねこを拾ったことから事件に巻き込まれる2人の少年。貰ってくれる人を探すため努力する2人ですが、やっぱりいいや、と返されてしまったりと捨て猫に対する人々の冷たさと厳しさも感じてしまいます。
    2人の目撃者というちょっとした捻りや、鍵の隠し場所など子どもでも無理のない推理と展開も良い。最初から最後まで猫がキーとなっていて綺麗にまとまったのもうれしいです。

    【うす紫の午後】これはびっくりしました。ひとつ前の話「一匹や二匹」の少年が活発でしっかり者だっただけに、主人公の女の子の見当はずれな行動に物足りなさを感じていましたが、それもひっくり返されてしまいました。
    似た境遇にある千加と小夜子の昏い心の内が、思わぬ真相へと繋がります。

    【誘拐者たち】軽い気持ちでやったことが大事になってしまった時の後悔というのは、覚えがあるだけに苦しい。猫を愛するおばあちゃんが可愛くて可哀想。

    【倉の中の実験】舅と嫁問題、介護、というようなドロドロした関係がなんとも嫌な感じです。おじいちゃんが可哀想で辛い。
    おじいちゃんの本への愛が詰まった暖かくも恐ろしいお話でした。
    マジックのようなネタはおもしろいです。

    【花は夜散る】母の殺人容疑を晴らすために奔走する小学生の息子・正樹。正樹が小学生ながら必死に考え、調査し、着実に真相に迫っていく過程が丁寧です。
    知らない人に勇気をもって話しかけたり、電車に乗るのを躊躇ったりという子どもの視点が健気。
    「一匹や二匹」で登場した究介と彼のちょっとした友情の話もとても良い。
    母を助けようとする子どもの活躍を描いた暖かい話ながら、良質なミステリーでもありました。

    【やさしい少女たち】少年たちが主人公のお話と違って、少女たちは暗く残酷です。
    しかし、こういった殺人方法は好きなのでおもしろかったです。確実ではないものの、復讐としては陰険で良いと思います。
    タイトルからしてちょっと怖いです。

    【影は死んでいた】窓から目撃した殺人。しかし現場に行くと何事もない…。楽しいシチェーションです。
    今度は兄の為に妹が奔走します。「花は夜散る」の桜木くんも活躍。
    本当なら調べたらすぐにわかるような事をしでかすことに疑問がわくのですが、これは犯人がこういった方法をとった理由に説得力がありました。
    最後の兄と妹の姿も微笑ましい。勉強が好きなお兄ちゃん素敵です。

  •  子どもが主人公のミステリー短編集。小学生のころ、仁木悦子の短編を読んで印象深かったという若竹七海が編集。
     子どもといっても、小学生から高校生まであり、ケースも様々。携帯もテレビゲームもない昭和の時代が舞台なのに、少しも古臭く感じない。今更ながら、仁木悦子ってスゴイ!!

  • 通俗的なミステリーとはひと味違う仁木悦子ワールド

  • 初出が3、40年前の短編7編ですが、さして古さは気にならずスイスイ読めました。
    なかなかおもしろかったので、他の作品も読んでみたいと思います。
    仁木さんの本を初めて読む私には編者後記がとても参考になりました。

著者プロフィール

1928 - 1986。小説家。ミステリーや童話を手がけ、1957年に長編デビュー作『猫は知っていた』で江戸川乱歩賞を受賞。明快で爽やかな作風で、「日本のクリスティー」と称された。1981年には「赤い猫」で日本推理作家協会賞を受賞。無類の猫好きとして知られる。

「2023年 『不思議の国の猫たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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