真夜中のパン屋さん 午前0時のレシピ (ポプラ文庫) (ポプラ文庫 お 7-1)

著者 :
  • ポプラ社
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591124796

作品紹介・あらすじ

都会の片隅に、真夜中にだけオープンする不思議なパン屋さんがあった。あたたかい食卓がなくても、パンは誰にでも平等に美味しい。心地良い居場所を見つける物語。

謎多き笑顔のオーナー・暮林と、口の悪いイケメンパン職人・弘基が働くこの店には、パンの香りに誘われて、なぜか珍客ばかりが訪れる……。
夜の街を徘徊する小学生、ワケありなオカマ、ひきこもりの脚本家。
夜な夜な都会のはぐれ者たちが集まり、次々と困った事件を巻き起こすのだった。

家庭の事情により親元を離れ、「ブランジェリークレバヤシ」の2階に居候することになった
女子高生・希実は、“焼きたてパン万引き事件”に端を発した失踪騒動へと巻き込まれていく…。
期待の新鋭が描く、ほろ苦さと甘酸っぱさに心が満ちる物語。
人気漫画家の山中ヒコ氏が装画を担当

2013年4月に滝沢秀明主演でドラマ化!

感想・レビュー・書評

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  • 完璧な存在のパンで繋がる、完璧な存在にはなれない人間たち。
    それぞれに寂しさを抱えた登場人物たちが、ブランジェリークレバヤシを通じて柔らかく繋がりあっていく様が、読んでいて心地好いです。
    最後の章の、「歪んだ部分が誰かとうまくはまることもあるし」という暮林さんの言葉に、すっと心を掬ってもらえるような、温かい読後感でした。
    続きを読むのが楽しみになるシリーズ一作目でした。

  • 真夜中のパン屋さん
    午前0時のレシピ
    大沼紀子

    ∞----------------------∞

    真夜中に開くパン屋さん、ブランジェリークレバヤシ。オーナーの暮林とコックの柳弘基のお店に集まってくる人達。

    いつも母親に托卵させられる娘の希美は、母に「この人はあなたの腹違いの姉よ」という置手紙によって、既に亡くなってしまった暮林陽介の妻の美和子へと托卵された。
    彼女の年齢からそんなはずはないと分かりつつ、暮林は受け入れる。

    希美のように、母親のネグレクトで食べるものに苦労している小学生男子のこだまだったり、覗き趣味の引きこもり斑目や、元男でガタイも大きいけど心はその辺の女性より女性なソフィアは、弘基の作るパンの虜になっていく。
    変な人たちばかりで不安材料は多いけど、どんどん仲間が増えていく感覚がとても楽しい。

    そして暮林さんはパンを作るのは下手だけど、色んな人の心を掴むのがとても上手い。

    パンの話かと思ってたら実に人間関係が中心で、そこがたまたまパン屋だって言うくらいに、あまりパンについては描かれていない。

    カギカッコがない言い合いがこの小説の特徴なのかな。

    2024/02/05 読了(図書館)

  • パンを買って帰りたくなり、駅の近くのパン屋で、シナモンの効いたフレンチトーストを買って帰りました。

  • こんな甘くない世の中だけど、こんな甘いパン屋さんがあってもいいかもしれない。大上段に構えたいい話のような押し付けがなくて、クレさんが何気なく投げかける言葉がちょっと嬉しい。

  • 友達に勧められて読んだ本。夢中になって読んでいたので電車も乗り過ごした。
    どのキャラクターも好きだったけどやっぱり暮林さんが好きだったなぁ。柔らかいのにちゃんと芯があって、人の中にある毒を解毒してくれるような言葉をいつも周りの人にかけてて、自分の毒も解毒された感覚だった。でも完璧なわけじゃなくて不器用なところもあるのもより好きになるポイントだったのかも。私自身は希実ちゃんの素直じゃない感じが似てるのか共感するところが多くて希実ちゃん目線で読んでた。
    とても心温まるお話だった。続編も早く読みたい。

  • 寸断が相次ぎ、少し緩慢な読書になってしまいました。もしかしたら自分には合わないのかな?中断しようと思いながらも新聞に紹介された推奨文が頭をよぎって何とか続行し、読み終えました。いい話だと思いますが、ちと自分には合わなかったかな。と。きちんと読めばもっと評価を上げられたと思います。読む側の責任もあります。けれど、感動的だといわれるオチに二度読んでも?スンマセン。
     ただ、若かったころはよく食べたパンも最近はあまり食べなくなった。でもこの本を読んでとても恋しくなった。パン屋さん宣伝効果抜群な本です。パン屋さんへ行こうっと!

  • 単に真夜中に営業するほっこりパン屋さんかと思ったら‥
    人の数だけ悩みがあって、個別の向き合い方があるんだなぁと思いました‥
    私は苦労人は無情の愛が滲み出てると思ってますが、身近な方の笑顔、優しさの奥底の辛い経験を分かち合える人になれたらなぁと思います‥‥
    人の苦労を大人びていて"深みのある優しい人"で片付けたくないなと、、

  • 真夜中の深夜帯のみに開店するパン屋。
    その店を切り盛りするのはパン職人の男性とオーナーの2人。
    深夜のみの営業という事で珍客が多い店ではあるではあるが、
    ある日、荷物を抱えた女子高生が転がり込んでくることになって
    予期せぬ日々が訪れ始める。

    登場人物は皆、中々に闇を抱えた人ばかり。
    特に親子の愛憎に端を発した問題が起きるが
    パン屋のオーナーが作り出す不思議な優しいオーラに絆されて
    事態は好転していく。

    こんなオーナーのような男性になれたらなと思わせるいい本でした。

  • 色々な登場人物の過去や、人間関係、抱えている問題、、、幸せそうに見えてもその人なりに色々あるんだな。
    こんなパン屋さんがあったら、利用してみたいな。新しい出会いやワクワクするようなことが起きる気がする。
    「美和子のパンは平等な食べ物なんだもの。道端でも公園でもどこでだって食べられる。
    囲むべき食卓がなくても、誰が隣にいなくても、平気でかじりつける。美味しいパンは、誰にでも平等ににおいしいだけなんだもの。」
    この言葉が心をじわっと温かくしてくれた。

  • 10年以上前に読んでいた本を読み返したのだが全く覚えていなく最後まで読めた。
    学生時代には気にならなかった現実ではあり得ない点が気になったりもしたが、それぞれの視点から人と関わることの大切さが見えてよかった。

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著者プロフィール

1975年、岐阜県生まれ。2005年に「ゆくとし くるとし」で第9回坊っちゃん文学賞大賞を受賞し、小説家としてデビュー。『真夜中のパン屋さん』で注目を集める。

「2019年 『路地裏のほたる食堂 3つの嘘』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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