クローバー・レイン (一般書)

著者 :
  • ポプラ社
4.03
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本棚登録 : 1085
感想 : 233
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  • Amazon.co.jp ・本 (315ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591129661

感想・レビュー・書評

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  • 大崎梢さん初めてかな?何かで紹介されていたのを見てずっと気になっていた作品ですが、みなさんのお話によると別の作品の続編に当たるのですかね?
    でも今作から読まれても全く違和感なく楽しめます。

    いいお話ですね。編集者の熱い思いが感じられます。
    売れっ子ではないけれど心に染みるいい小説とは、こんな風に世の中に発掘されて出てくることもあるんだろうなとリアリティも感じられましたね。

    ただあえて言えば、構成としてはちょっとスムーズじゃないなと感じる箇所がちょっとだけありました。
    例えば「なおちゃん」の話も伏線ははじめの方からありましたが、「ああ、そこにからむのね」と思いつつも何となくずーっと話の流れが本筋から外れ感がありました。自分だけかもしれないですが。
    最後には「あ、そういう風に来るか」的にまとまり落ち着きましたが、ひねくれているのかいい話いい話でまとめようとするあざとさが見えているように感じられました。
    いや、いいお話なのです。感動もしました。
    多分自分が素直に入り込めない人間なのです。

    でもなぁ、もう少し若い頃に読めたらこんなにひねくれた受け止め方しなかっただろうになぁと自分が残念(笑)

    大崎梢さんは本にからむお話をいくつか書かれているようですね。他の本も読んで見たいですね。

  • 図書館にて。
    何かのランキングで評判が良かったので予約して借りてみた。
    苦難の前半から抜けて、本の良さが人々に広がっていく後半への流れが気持ちいい。
    良い本は人の人生を動かす。
    実は前半は主人公の猪突猛進さが痛々しくて読むのに苦労したけれど、本の良さが実感できる1冊。
    ただ、家永先生や彰彦の家族関係をややこしくする必要はあったのかな…
    確かに内容はドラマチックにはなったけれど、売れた作家や地元の名士がつい他の女に手を出して子供作っちゃうって、いかにもステレオタイプの馬鹿って気がして、しかもそんな人がこの本には二人も出てくるって…
    冬美とのことも、彰彦が尚樹と重ねて恋愛感情と思っちゃってるような気もしなくもないし。
    「シロツメクサの頃」も確かにすごくいい作品だったんだろうけど、彰彦本人も言っている通り個人的な事情や思い入れで突っ走ってる感もあり。
    この作品が読者それぞれの感情を呼び覚ますものらしいということが後半描かれているし、個人的な理由が大きいにしても編集者がここまで本を出版することに奔走してくれたということはそれだけの作品だったということだろうけれど、うーん、この恋愛はあんまりうまくいかないんじゃないのかな…
    なんて、うがったことを考えててどうよ私、と思ってしまった笑。

  • 作家と編集者の話。
    私自身、本を読むのが好きで毎日読んでいますが、意外に知らなかった「本を作っている人たちの世界」。
    作家の思いと編集者の思い、そして本を出すまでと出した後の現実を垣間見ることができ、本好きとしては「ほほ~~」の連続でした。
    作家として一生やっていくのは本当に難しいのですね。
    情熱をもって書くだけではもちろんダメで、売れる本を書かなくてはならない。出版社としても、たとえ作家が持ち込んだ作品が非常にいい作品であったとしても、その本が「今、売れる」本でなければ出版まではなかなかこぎつけることができないという状況もわかりました。
    難しい世界ですね。

    そんな中で、編集者としての仕事をしつつもプライベートも気になる工藤氏の気持ちがよく表現されていました。
    ラスト、尚樹氏からのメッセージ、泣けたわ~~。

  • この本を読んで思い出したのは三浦しをんさんの「舟を編む」。
    「舟を編む」は辞書編集の話で、その本も編集プラス恋愛と、この本と少し相似点もあり、そしてとても面白かったので「クローバー・レイン」を読まれた方はそちらもおすすめします。

    「クローバー・レイン」とてもよかったです。
    本というと、作家さんがまず一番に頭に浮かびますが、編集者、そして書店周りの営業担当者が、
    一冊の本ができるまで、それを世に送り出すまで、送り出した後もいかに世の人に知らせるか手にとらせるか読ませるか、
    一冊の本の後ろには、ここまでのことがあるんだということ、陳腐な表現しかできませんがとても勉強になりました。

    主人公の若手編集者の工藤彰彦の編集者としての頑張り、成長も読んでいて面白く楽しめましたが、その彰彦の見つけた、彰彦の頑張りがなければ世に出なかったであろう小説「シロツメクサの頃」に関する話、作家、その娘の話も面白く、そして最後しめくくり、彰彦とその娘冬実の今後、そして彰彦が一番気にかけていた"尚樹"から届いたメール。

    一人の人間の成長、頑張り、恋愛、人を思う気持ち、複雑な家庭環境、そして最後ダブルのハッピーエンド。
    内容盛りだくさんの良い小説です。

    主人公彰彦も素敵ですが、幼い時から、心が屈折してもおかしくない環境の中で生きてきたにもかかわらず、まっすぐ善良に育った(であろう)尚樹にも関心を持ちました。
    今度はこの尚樹を主人公にした小説を書いてほしい、そして「シロツメクサの頃」も小説にしてほしい、と思います。

    大崎梢さん、次々の作品まっています。

    「作家=小説を書く人。文芸編集者=小説のために何でもする人。本を創るために本に携わる人たちのまっすぐな思いに胸が熱くなる一作」

  • 心にしみじみと響くいい本だった。
    本を作る思いと、本を廻る人たちの心模様がひたひたと心に沁み渡っていった感じだった。
    「シロツメクサの頃」を大事に大事に育て上げた人達に感謝。
    いろんな思いに涙が知らずうちに零れた。

  •  一冊の本が世に出るまでにはいろいろあることに気づかされた。メディアに取り上げてもらえる作品はほんの一握り、出版された事さえ忘れられてしまう物やそもそも出版されない作品も多いんだよな。出版業界をほんの少し覗き見できたようでおもしろかった。
     彰彦と、歳の近い叔父「尚樹」の関係もよかった。家庭内で複雑な立場にあっても真っ直ぐに成長し、彰彦に様々な本の種を蒔いてくれた。多額の借金の依頼も変なトラブルの後始末ではなかった、ホッとした、まっとうな人生を歩んでいたんだ。
     作中の作品「シロツメクサの頃」読みたいなぁ❗

  • 一冊の本には色々な想いが込められていることに、改めて気づいた。
    いつもは好きな作家さんの本や話題になっている本しか手に取らないが、
    時にはタイトルや装丁で気になったものを読んでみるのも良いのかもしれない。
    思わぬ出会いが雨となって心にやさしく降り注いでくれるかもしれない。

  • いい本に出会えたなぁ。たくさんの人の手を通って一冊の本になって、届く。当たり前の様に読んできた本の裏側を少しでも知れて良かった。

  • 本を出すということがいかに大変なことかがよく分かる一冊。プラスこの続きが読みたくなった。続編書いてくれないかなー。2人の行く末が気になる。

  • 知人の勤めていた職場近くは出版社が沢山ある通りだった
    そのあたりを想像しながら 登場する人達を想像しながら読み進めていくのはとても楽しかった
    ただ前半部分は重苦しくしんどい展開
    慣れてくるとキャラも立ってきて楽しくなってくる
    読者に余韻を感じさせるラストもよかったです

    こころに沁み込んでいく雨のような感動が
    いろんな人に伝わっていくあたりは
    本の外にいる自分まで嬉しく感じてしまいました
    本の帯の言葉は熱血って感じでちょっと違うな
    読み終えればじんわりくるストーリーです

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著者プロフィール

大崎梢
東京都生まれ。書店勤務を経て、二〇〇六年『配達あかずきん』でデビュー。主な著書に『片耳うさぎ』『夏のくじら』『スノーフレーク』『プリティが多すぎる』『クローバー・レイン』『めぐりんと私。』『バスクル新宿』など。また編著書に『大崎梢リクエスト! 本屋さんのアンソロジー』がある。

「2022年 『ここだけのお金の使いかた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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