ゼラニウムの庭

著者 :
  • ポプラ社
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本棚登録 : 439
感想 : 82
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  • Amazon.co.jp ・本 (279ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591130759

感想・レビュー・書評

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  • 主人公の祖母、豊世の双子の姉妹、嘉栄。
    異質な時間を彼女は生きる・・・ゆっくりと長く・・・彼女は生き続けた。


    この小説は、小説家の主人公が公表しないつもりで書いた記録、
    という形をとっている。

    奇抜な設定なのに地味に感じ、異形を描いているにもかかわらず、現実感を伴う。
    前作「ピエタ」が大好きなので、ものすごい期待して読みはじめ・・・・
    んー・・・やっぱ越えられない感があるかな・・・と思いつつ読了。

    「嘉栄附記」として描かれる後半、
    嘉栄が異形の立場から観る主人公「るる」とその周辺・・・が面白くて、(ソレ以前は☆3つ、これがあるから☆4つ)。
    嘉栄附記を読んだ後、もう一度最初から読みなおしました。
    一度目より、二度目に読んだほうが面白く、胸に沁みるものがあります。



    やさしい言葉遣い、
    夢の中のようなやわらかい、独特な世界観は健在です。
    (ピエタは甘かったけど、これは甘くないかなー。)

  • 大島作品、初読み。資産家一族の抱えている“嘉栄さん”に関する秘密とは一体何なのか、出だしから謎で引き込まれました。。嘉栄さんはどうして、何の為に生まれたのかという事柄自体を追求するのが重要な物語でなく、時の流れの異なる者と係わることでの葛藤や人間模様を紐解くドラマで面白かったです。

  • 大島真寿美さんの作品は中学だったか高校時代から読んでいる

    ゼラニウムの庭、この一冊は今まで読んできた作品とはまるで違う印象を受けた
    ファンタジーに近いからだろうか
    何かこう、真に迫るものを感じる



    やさしい言葉遣いが好きだ
    読み始めると、するすると引き込まれてゆくところも
    夢の中のような、午後の昼下がりのような独特な世界観もどこか中毒性がある

    初めて宙の庭を読んだときみたいな心地になりました

  • 普通の人の半分の速さで成長する女性という設定は
    それだけで興味深いものだけど、
    読んでてあまりグッとくるものがなかった。
    富豪とまではいかなくても、取り巻く環境が生活に困らないほど
    裕福なせいか、本人目線のお話が少なかったからか。
    それでも時間については考えさせられた。
    もしも寿命がもっともっと長ければ、
    今より人間は大らかで達観したものの考え方ができ、
    世の中は平和になるのかもしれないのかなぁ。

  • この物語の語り手が女性作家というだけで単純な私は
    これは大島さんの私小説では?と最初の100Pくらいまで思っていた。
    内容を読んだらあまりにもあり得ないのに。
    その一方で早老症という病気が実在するのだからその逆があってもおかしくはないという本文の記述にも半分肯定しながら読んだ。
    明治に生まれた双子の女の一人が著しく成長が遅いという奇怪な話。
    突飛なシチュエイションなのに双子の二人それぞれの心理描写が真に迫っていた。
    ラストはちょっとぼんやりした感じだったけど
    全体的に私の好きな曽祢まさこさんのコミックの世界のような印象があって読後感は嫌いではない。

  • 人の倍の年月を生きる嘉栄さん。長生きするのも辛いことがある。好きな人は死んでいくし、パスポートが取れないの外国に行けない、自分は死んだことになっている。普通に生まれたかったのかな。

  • 正直、あんま面白くなかったかな~^^;。設定は悪いないと思うんだけど、オチが今一つな感じ。ただ、好きな人や大事な人と一緒に年を取っていくという事は素晴らしいことなんだなとは感じました☆

  • アントワーヌ・ヴァトーの装丁画から、また海外舞台かしらん??と思ったらまさかの日本だったでござるの巻
    でも、なんてーかファンタジーぽいというか・・・絶妙な時空の歪みっていうか・・・
    不思議な感じだったな・・・

  • 人より2倍の寿命を持つ女性が家族にいるお話。
    表紙で外国のお話かと思いましたが、日本の明治から現代のお話でした。
    トム・ハザードを読んだことがあるからか、2倍だとそんなもんかって感じ。最後は実年齢140歳で見た目70歳くらい?
    豊世と嘉栄って名前が好き。
    付記のるるちゃんのその後がなかなかに驚き。
    自分的には嘉栄さんよりもお駒さんの方がぞっとする存在でしたわー。

  • 不思議なお話。いつまでも若い祖母は年老いた祖母の双子の姉妹。生まれ、生きて、死んでいく人を見つめながら、その若い祖母はなかなか年をとらなかった。小説家の孫娘はそんな祖母のことを書き残した。そしてそれを将来祖母が読むと想像しながら。

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著者プロフィール

1962年名古屋市生まれ。92年「春の手品師」で文学界新人賞を受賞し同年『宙の家』で単行本デビュー。『三人姉妹』は2009年上半期本の雑誌ベスト2、2011年10月より『ビターシュガー』がNHKにて連続ドラマ化、2012年『ピエタ』で本屋大賞第3位。主な著作に『水の繭』『チョコリエッタ』『やがて目覚めない朝が来る』『戦友の恋』『空に牡丹』『ツタよ、ツタ』など。2019年『妹背山婦女庭 魂結び』で直木賞を受賞。

「2021年 『モモコとうさぎ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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