ゼラニウムの庭

著者 :
  • ポプラ社
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本棚登録 : 439
感想 : 82
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  • Amazon.co.jp ・本 (279ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591130759

感想・レビュー・書評

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  • 凄い話
    良く思いつくよね
    面白かった

  • 明治が終わる頃から物語が始まる。
    その頃まだ珍しい双子の姉妹。
    一族代々と受け継がれる秘密。
    「喜栄附記」泣けてきた。
    喜栄の気持ちが素直に真っ直ぐで嬉しかった。

  • 「私」の祖母の双子の片割れ「嘉栄」は、なかなか歳を取らないという原因不明の症状をもつ女性。
    そのせいで家族から距離を置かれ、時に疎まれ、長い年月を生きている。
    最初はファンタジー要素溢れる作品かと思って読んでいたけれど、実際「老けない病」というのは世界に存在するらしく、それを知ってからは非常に現実味が増し、恐ろしくなった。
    けれど嘉栄は魅力的だった。
    これはなかなか年を取らない事を差し引いても、魔性というか、そんな性質を持っている。長生きしているのに刹那的というか、長生きしているからこその刹那か。様々なことへの「諦め」がそう映るのかもしれません。

  • リアルなファンタジー

  • 亡くなった祖母が語った、我が家が必死に隠し続けてきたこと。

    祖母の豊世には、双子の姉の嘉栄がいたけれど
    彼女の成長速度は人並み以下だった。

    人の何倍も遅く成長し、人の何倍も老化してくのが遅い嘉栄さんを
    一族は時に蔵に入れて、イギリスにと、ひたすらに隠し続けた。

    戦後になり復興を遂げるめまぐるしい日本のなか
    嘉栄さんはこの世のものとは思えない速度で若さを保ち、浮世離れした存在だった。

    祖母も死に、母も死に、孫のるみ子も死んで
    嘉栄さん自身も戸籍上は亡くなったものとされ、
    るみ子の娘の葵だけが、唯一嘉栄さんのことを知るものとなった。

    不思議な存在ですな。
    終わりがあるからこそ、何事も良いわけで。
    結局なんだったんだろ。

  • 大島真寿美いいなぁ。作家の主人公が一族の秘密に迫る手記形式の小説。主人公の祖母が世間から隠されて暮らさなければならなかったその衝撃の秘密とは。るり子の語り(時には思いこみ)によって話が進むので非常に読みやすく、嘉栄の真実に迫っていく様子が素晴らしく面白い。庭という超個人的空間を閉鎖的な一族にたとえたのかななんて。嘉栄付記も面白い。嘉栄は嫌な奴!と思うこともあったけど、逃れられない宿命を背負った嘉栄が本当は一番不幸なのかなと思ったら可哀相にも思えるし、仕方ないのかなと思うところもある。2012/703

  • 異形の者を蔵に隠す話とくれば小松左京の『くだんのはは』や江戸川乱歩の『孤島の鬼』などもっと禍々しい話を想像してたから呆気ない。やはり、明治から昭和初期という時代のせいか。現代なら秘密にすることもないような…。彼女の不幸は、身体の異様さではなくそれを隠すためにつかなければならない嘘、諦めなければならない愛。まわりの無理解、差別。ありのままの嘉栄さんを一族が受けいれて、オープンにしていたら?明治、大正、昭和の女系家族の物語としてもあまりに駆け足すぎて物足りない。装丁、タイトル共に魅力的なんだけど。

  • 一人の数奇な女の人を中心として、語られる一族の盛衰の物語。のように読めた。
    戦前から現代へ、そして未来へ。たくさんの人を見送った女の計り知れない孤独。
    でも、彼女には時間がたくさんあるだけで、普通の女の人だったのだなぁ、と、附記を読んで思いました。

  • 雨の午後に読むには、ちょっと鬱々としているかも…
    時間の流れに、最初はとまどったけれど、「秘密」がわかってからは、流れるように読み進められた。
    るるちゃんが、書く宿命にあるからこそ語られる物語という発想がおもしろかった。
    だけど、多分、読み返すことはしないだろうな。

  • 嘉栄附記が良い。
    るるちゃんの語りは、後半のためにある。

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著者プロフィール

1962年名古屋市生まれ。92年「春の手品師」で文学界新人賞を受賞し同年『宙の家』で単行本デビュー。『三人姉妹』は2009年上半期本の雑誌ベスト2、2011年10月より『ビターシュガー』がNHKにて連続ドラマ化、2012年『ピエタ』で本屋大賞第3位。主な著作に『水の繭』『チョコリエッタ』『やがて目覚めない朝が来る』『戦友の恋』『空に牡丹』『ツタよ、ツタ』など。2019年『妹背山婦女庭 魂結び』で直木賞を受賞。

「2021年 『モモコとうさぎ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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